とにかくカッとなり声を荒立ててしまう、イライラした後に落込む、急に顔が熱くなる、汗が止まらない、どうしてこんなに頭が痛いの? など、30~40代の「プレ更年期」や、40~50代の「更年期」の女性には、自分ではどうにもならない不調が現れるもの。
実は、その不調には漢方がよく効くことをご存知でしたか?
私の不調にも漢方が効くのか知りたい! どうすれば根本解消できるの? そんな女性たちの疑問を、漢方の専門家に解説してもらいます。
第51回のテーマは、「早朝覚醒」です。北海道科学大学薬学部准教授である、若命浩二先生に教えてもらいました。
1.寝たいのに目が覚めてしまう…姑からは嫌味…
ユウコさん 49歳女性、サービス業の方からご質問を頂きました。
「最近、朝の4時ごろには目が覚めてしまい困っています。しかも目がぱっちり、すっきり目覚めるわけではありません。眠りが浅いというか、もやもやした気分で、日中には眠気が襲ってくるんです。姑からは『昼寝なんて私の時にはできる身分じゃなかったわ』なんてぐちぐち言われます。
30代までは、休日は10時過ぎまで寝るのが当たり前で、二度寝、三度寝に幸せを感じていたのに……。なるべく遅くまで起きているようにしても、熟睡できず。同僚に相談したら『気持ちを切り替えて朝活なんか試してみたら?』と言われましたが、とてもそんなテンションにはなれません。眠れないわけじゃないし、ただ年齢のせいだと諦めるしかないのでしょうか?」
ご質問ありがとうございます。不眠は本人にしかわからない症状なので、悩みをひとりで抱えてしまい、つらいですよね。ただ怠けている、家事や仕事ができない人と思われてしまう不眠患者さんも数多くいらっしゃいます。
実は、その症状は更年期によるホルモンバランスの乱れが原因かもしれません。
2.不眠の原因は更年期?
更年期がはじまると心とからだに多くの変化があらわれますが、ぐっすり眠ることのできない悩みは深刻です。
睡眠障害には「寝つきが悪い」、「眠りが浅い」などありますが、とくに「早朝の目覚め(早朝覚醒)」は、いつもより早い時間に起きてしまい、まだ眠いのに二度寝ができない状態です。睡眠不足に伴って日中の疲労感が続くと、鬱などの病気の原因となることもあり、とてもつらいものです。
更年期では、女性ホルモン(エストロゲン)が著しく減少します。エストロゲンの低下は自律神経のバランスの乱れにつながり、体内時計のリズムが前にずれやすくなります。そのため、夜遅くまで起きていられずに早寝早起きとなってしまうのです。
このように、エストロゲンの減少がきっかけとなって、神経系、ホルモンバランスの乱れから早朝覚醒が起こるようになります。結果として、昼間に家事や仕事をしている時も疲労感がとれなくなってしまいます。
3.早朝覚醒を改善する4つの方法
更年期の不調の治療法のひとつに、ホルモン補充療法があります。これは、不足しているエストロゲンを薬で補い、ホルモンバランスの乱れを和らげていく方法です。 効果もありますが、同時に副作用などのリスクもありますので、通院して治療する必要があります。
ホルモン療法は怖いという方や、通院する時間がないという方には、漢方の考え方によるアプローチがおすすめです。
3-1.就寝時間に気をつける
ノーベル賞受賞者のホール博士らは、わたしたちのからだに「体内時計」があることを発見しました。1日のからだのリズムは、ホルモンの分泌周期などによって調節されています。
しかし、更年期ではエストロゲンの減少と加齢によって、この体内時計のリズムが崩れやすくなってしまいます。そうすると、いつもより早めに眠くなり、朝も若いころと比べて2時間ほど早く起きてしまうといわれています。
まずは、このリズムを整えるために規則正しい1日の生活を心がけましょう。
しかし、規則正しい生活といっても、すべてのスケジュールを管理するのはかえってストレスを感じてしまいます。そこで、食事の時間、運動の時間だけでも決めておきましょう。そして、1日の終わりの就寝時間(ベッドに入る時間)を早くしすぎないようにしてください。それだけで、睡眠サイクルが前にずれて早朝覚醒を予防することができます。
ポイント
・食事と運動の時間を決める
・就寝時間が早くなりすぎないように気をつける
3-2.スマートフォンの利用法を見直す
就寝時にスマートフォンを見ていろいろな情報をチェックすることが習慣になっている人も多いと思います。
しかし、夜間にスマートフォンを使用することで光の刺激が続くと、体内時計のリズムがより一層崩れてしまいます。
ベッドに入った時には、まずスマートフォンのスイッチを切ってみましょう。そして、軽くストレッチをするだけでも心地よい眠りを得ることができ、早朝の覚醒を予防することにもつながります。
寝室の環境も「室温や音」をに工夫をすると、より効果的です。夏場にはクーラーを効かせすぎない、テレビなども早めに消すなど心がけてみましょう。
3-3.サプリメントを活用する
「リラックス」や「睡眠」に効果的なサプリメントが知られるようになってきました。とくに有名なのが、アミノ酸の一種のGABA(ギャバ)です。GABAは、脳の活動(興奮状態)を抑えて、睡眠のリズムを整える手助けをするといわれています。
つまり、GABAを夕方から就寝時にかけて摂ることにより、深い眠りを保つことができ早朝覚醒を予防する効果が期待できるのです。
GABAはサプリメントなどで効率よく摂取することができますが、玄米、トマト、バナナなどの食品にも多く含まれています。夕食時や寝る前の小腹が空いた時などに、このような食べ物を積極的に摂ってみましょう。
3-4.漢方薬で不眠症状の改善をめざす
「朝早く起きてしまい、日中に眠くなってしまう」
「不眠で生活にトラブルがある」
そんな不安をお持ちの方には、漢方薬がおすすめです。
寝入りが悪い、熟睡できない、早朝に起きてしまうなどの症状に、効果が認められている漢方薬は何種類もあります。
漢方薬は自然にある植物や鉱物などの「生薬」を組み合わせて作られているため、 一般的に西洋薬よりも副作用が少ないといわれています。
また漢方薬が目指すのは苦痛を和らげるための対症療法ではなく、根本的な解決です。体質の改善に働きかけることのできる漢方薬は、「同じ症状を繰り返したくない」という思いに応えてくれます。
「バランスの取れた食事や運動などを毎日続けるのは苦手」という方も、症状や体質に合った漢方薬を毎日飲むだけなので、手間なく気軽に継続できます。
<早朝覚醒に悩む女性におすすめの漢方薬>
疲労や精神不安などの症状に用いられ、冷え症・月経不順・更年期障害などの治療にも使用されます。
・柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
精神不安や不眠症、神経症の方に処方されます。比較的体力があり便秘や高血圧などを伴う方に用いられます。
・酸棗仁湯(さんそうにんとう)
心身が弱り疲れている方に処方される漢方です。精神不安を抱える方の不眠症、神経症などにも用いられます。
ただし、漢方薬を選ぶ際には自分の体質に合ったものを選ぶことが大切です。体質に合っていない場合は、効果が出ないだけでなく、副作用が起こることもあります。
購入時には、できる限り漢方に精通した医師や薬剤師等にご相談ください。
「お手頃価格で不調を改善したい」という方には、医薬品の漢方薬がおすすめ。スマホで気軽に相談できる「あんしん漢方」のような新しいサービスも登場しています。
AI(人工知能)を活用した「オンライン個別相談」サービスでは、漢方のプロが体質に合った漢方を見極めてくれます。お手頃価格で自宅まで郵送してくれるため、手軽で便利です。
4.不眠を解消して気持ちのいい目覚めを!
睡眠障害といっても様々な症状や原因がありますが、更年期が不眠の原因になるということは、意外に知られていません。つらい不眠も、きちんと対処を行えば必ず改善していきます。不眠解消のために、自分に合ったセルフケアを行いながら、今回紹介した漢方薬なども取り入れて、スッキリとした朝を迎えましょう。
【参考文献】
・Yawen Z, Current Signal Transduction Therapy. 2014
・Shuman T, Int. J. Environ. Res. Public Health. 2017
<この記事を書いた人>
薬剤師・医学博士 若命浩二(わかめこうじ)
北海道科学大学薬学部准教授、日本東洋医学会会員、日本抗加齢医学会評議員、あんしん漢方顧問。
大学院時代より、生薬学、漢方薬学を研究する。その後、生薬にとどまらず栄養素などを通じて「免疫学」「薬理学」の観点から多くの論文、書籍を多数執筆。
これまでに呉茱萸(ゴシュユ)、蘇葉(ソヨウ)、地楡(チユ)、紫河車(シカシャ)などの生薬の薬理効果について論文発表している。
・北海道科学大学薬学部:https://nyushi.hus.ac.jp/academics/pharmaceutical-sciences/pharmacy/
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