とにかくカッとなり声を荒立ててしまう、イライラした後に落込む、急に顔が熱くなったり、汗が止まらない、どうしてこんなに頭が痛いの?など、30~40代の「プレ更年期」や、40~50代の「更年期」の女性には、自分ではどうにもならない不調が現れるもの。
実は、その不調には漢方がよく効くことをご存知でしたか?

私の不調にも漢方が効くのか知りたい!どうすれば根本解消できるの?

そんな女性たちの疑問を、漢方の専門家に解説してもらいます。

第17回のテーマは、「関節痛」です。あんしん漢方(オンラインAI漢方)の監修医である、精神科医・漢方医の木村好珠先生に教えてもらいました。

1.膝が痛くて、もう外出できない!このままだと引きこもりに?

幸子さん(仮名)50歳女性の方から質問をいただきました。

「最近、関節の痛みが気になるようになりました。階段の昇り降りの時にも途中で休みたくなるほど痛みます。また、かかとが痛くて、なかなかうまく歩けないため、少し前まで履いていたヒールのパンプスも今は絶対に無理!おしゃれはしたくても、どうしても歩きやすさを重視にするようになってしまいます。昔から、休みの日は娘とおしゃれをして出かけたりしていたんですが、膝の痛みで外に出るのも億劫になってきて……」

「さすがにこのままでは引きこもりになってしまうと思い、先日娘と孫と一緒に買い物にでも行ってみようと思い、娘を誘ったんです。そしたら娘に『ただでさえ、子どものことを頼みたいのに、お母さんの面倒までみられないよ!歩くのが遅いし、今は一緒に旅行も買い物も行けない』と匙を投げられてしまい、ひどくショックを受けました。
関節痛がよくなる、何かいい解決方法はないのでしょうか」

ご質問ありがとうございます。関節痛の症状があるのは、日常生活を送る上でとても辛いものですよね。関節痛のせいで趣味も外出もできない……なんて心配になりますよね。

関節痛は更年期症状のひとつです。一般的に、閉経に伴って不調が起きることを更年期障害と呼びます。

今回は更年期の関節痛の原因や改善方法についてお伝えします。

2.関節痛の原因は様々!更年期が原因を加速しているのかも

関節痛の原因はさまざまです。スポーツなど外的要因による損傷、関節リウマチや痛風発作などの病気、風邪やインフルエンザも原因になります。年齢を重ねて最も多いのは変形性関節症です。 加齢とともに骨と骨との間のクッションの役割である軟骨がすり減ることで、痛みが発生します。

特に女性は、更年期でエストロゲンが減少すると、関節を支えている軟骨や関節内の水分減少、更に血液の循環が悪くなったりすることにより、関節痛が起こりやすくなります。

3.関節痛に対するセルフケア

3-1.水中ウォーキングなどの適度な運動を取り入れる

外に出たくないくらい関節が痛いのに、運動して負担をかけてもいいの?と思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、運動をしないで引きこもっていると、関節を支える筋肉が衰えて、ますます痛みが強くなるといった悪循環に陥ってしまいます。

さらに、更年期にはエストロゲンの低下で骨密度が低くなる可能性もあります。適度な運動をすることで、関節痛の緩和、そして骨粗鬆症の予防になります。ただし、無理は禁物。ウォーキングをすると関節が痛い場合は、プールの中でゆっくり歩いてみるのもいいでしょう。

3-2.生姜やヨモギで体を温め、魚で関節痛を緩和

寒くなると、特に関節痛がひどくなった経験がある方もいらっしゃると思います。そういった方は、体を温める作用のある生姜やよもぎなどを取り入れましょう。血液の循環も良くなり、痛みを和らげてくれます。また、魚に含まれるオメガ3脂肪酸は、関節痛を和らげてくれると言われています。魚には、抗酸化作用のあるビタミンEも多く含まれるので老化防止にも効果的です。

よく、関節痛にコラーゲンなどのサプリメントがありますが、胃で分解され、腸で吸収される時にはコラーゲンとしてそのまま取り入れられるわけではないので、やはりサプリメントに頼るよりは、食事からしっかり摂取することをおすすめします。

3-3.漢方薬で体質改善する!

「いったんよくなっても同じ症状をぶり返す」「今のお薬を飲み続けるのは副作用が心配」

そんな不安をお持ちの方には漢方薬がおすすめです。

漢方は、人間の体の営みに即した自然の摂理を利用した治療法です。自然の恵みである動植物や鉱物の有効成分を見出して、それを人間の心身の症状の改善に役立てるために、長い歴史を経て、実際に効果のあるさまざまな処方を確立してきました。そのため、一般的に、西洋薬よりも副作用は少ないと言われております。

そして漢方は、表面に出ている症状や苦痛を緩和する対症療法だけでなく、不調の原因となっている体質を改善することを目的に働きますので、根本的な解決につながります。ですので、同じ症状を繰り返したくないという思いにも応えてくれます。

バランスの良い食事や適度な運動を実践するのは難しい…という場合も、漢方薬なら、ご自身の症状や体質に合うものを毎日飲むだけですので、無理せず継続することが可能です。

関節痛に悩む女性におすすめの漢方薬をご紹介します。

<関節痛に悩む女性におすすめの漢方薬>

・桂枝加朮附湯(けいしかりょうじゅつぶとう)
冷えがあって関節が痛む方向けの代表的な漢方です。関節の曲げ伸ばしがしにくく、関節リウマチなどによる腫れに対しても処方されます。体を温めてくれる作用がある附子(ぶし)が入っています。
・防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)
あまり体力に自信がなく、よく汗をかいて少し水太り体型の方の関節痛に向いています。防已(ぼうい)が痛みを発散し、さらに蒼朮(そうじゅつ)とともに水はけをよくしてくれます。また生姜が入っているので、体を温める作用があり、痛みの緩和に働きます。
・越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)
急性期で、関節が熱を持っているような炎症中の場合は、越婢加朮湯が効果的です。慢性期は温めることで痛みを改善しますが、急性期は、冷ますことで炎症を取る必要があります。石膏には冷却作用があるため、患部の熱を取りつつ、朮(おけら)が腫れている余分な水分を取り除きます。

ただ、漢方薬はその人の体質に合っていてこそ効果が現れるものです。体質に合っていないと、効果が見込めないだけでなく、副作用がおきることもあります。自分に合う漢方薬を選ぶのはなかなか難しいものですが、最近ではA Iを利用した「オンラインA I漢方」などのサービスも充実してきましたので、こうした専門的なサービスを利用するのもよいでしょう。

4.関節の痛みに負けず、アクティブな日々を!

寒くなると、関節が痛むからなかなか外に出られない、という方は多いかもしれません。でも、そのまま放っておくと、関節痛の悪化の他にも骨粗鬆症や体力低下につながります。今からしっかり対応して、歳を重ねても元気にアクティブな毎日を送りましょう!

<この記事を書いた人>

精神科医/漢方医 木村好珠
渋谷金王坂クリニック非常勤医、一般社団法人国際統合治療協会理事
医学部在学中より東洋医学を学び、精神科と東洋医学科が充実している慶應大学病院での勤務を経て、西洋薬の即効性等と漢方薬の根本的な治療をバランスよく使い分ける事を信条とする。
渋谷の漢方内科で非常勤医として勤務する傍ら、テレビや雑誌、インターネットテレビ、Webメディアなどで、精神疾患、心理学、生活習慣病など様々なテーマを精神科医・漢方医の立場で解説も行う。
・木村好珠のオンライン診療:https://www.konnozakaclinic.com/service/fusion-kimura/
・木村好珠監修あんしん漢方: https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=221432a9sera0017

 

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