とにかくカッとなり声を荒立ててしまう、イライラした後に落込む、急に顔が熱くなったり、汗が止まらない、どうしてこんなに頭が痛いの?など、30~40代の「プレ更年期」や、40~50代の「更年期」の女性には、自分ではどうにもならない不調が現れるもの。
実は、その不調には漢方がよく効くことをご存知でしたか?

私の不調にも漢方が効くのか知りたい!どうすれば根本解消できるの?
そんな女性たちの疑問を、漢方の専門家に解説してもらいます。

第15回のテーマは、「皮膚のかゆみ」です。あんしん漢方(オンラインAI漢方)の監修医である、精神科医・漢方医の木村好珠先生に教えてもらいました。

1.かゆさで掻きむしって血がにじむ!!「汚い」だなんて言わないで……

加代子さん(仮名)48歳女性からご質問を頂きました。

「夏が終わり、肌の乾燥が気になる季節になると気が滅入ります。若い頃から乾燥肌の私ですが、45歳を過ぎたあたりから、冬になると顔中粉を吹き、外出するのも嫌になります。ファンデーションのパフが顔に触れるのすら痛くて痛くて・・・」

「顔だけでなく体中がチクチクしたりかゆくなったりして、夜も眠れません。寝ている間に掻きむしっているようで、湿疹が出たり、朝になるとシーツにまで血がにじんでいるなんてしょっちゅうです。

TVで効果があると言っていたパックをしたり保湿剤を使ってみたり、努力はしているのですが、先日息子に『お母さんの顔汚いから恥ずかしい。一緒に歩かないで』と言われてしまい、その場は笑ってごまかしましたが、かなり落ち込みました。その後は外出すると、見ず知らずの人すら私の顔を汚いと思っているんじゃないかと思えてきて、このままだと本当に外に出られなくなってしまいそうです」

ご質問ありがとうございます。皮膚のかゆみの症状は、知らない間に掻きむしってしまうことが多いです。出血したり湿疹になったりしてお肌が気になって外にも出られない、なんて辛いですよね。

かゆみがあってもなかなか薬で治らなかったという経験がある人も多いのではないでしょうか。そんなかゆみの原因を知り、体質から改善していきましょう。

2.かゆみと更年期は関係あるの?

皮膚のかゆみの原因は、食べ物や室温・湿度といった環境など様々です。高温多湿の環境では、汗が出やすくなります。汗が増えると皮膚にある汗の出口が詰まり、汗が体の外に排出されにくくなります。それにより、周辺の組織が刺激されてかゆみや炎症反応が起きると言われています。逆に、寒くなって乾燥しやすくなるこれからの季節には、皮膚から皮脂や水分が奪われ、かゆみを引き起こします。

特に、更年期に入ると、女性ホルモンの1つであるエストロゲンが急激に減少します。エストロゲンは、皮膚にとっても重要な働きがあり、これが減少するとセラミドやコラーゲン、ヒアルロン酸といった成分の合成が減少し、皮膚の水分保持機能が低下してしまいます。こうして水分が少ない状態となり、かゆみに繋がるのです。

3.自分でできるかゆみへのセルフケア

3-1 乾燥を避け、保湿する

かゆみを防ぐには、まずは肌を乾燥させないことが大切です。家の中はなるべく、加湿器や濡れタオルなどを使用し、部屋を乾燥させないように気をつけてください。また、エアコンをつけ過ぎたり、ヒーターが皮膚に直接当たるようなことは避けましょう。

また、乾燥している皮膚は、バリア機能が低下していて、刺激に弱くなっています。体を洗うときも、強くゴシゴシ洗うのではなく、優しく泡でなでるようにしてください。お風呂から出たら、ボディーローションなどでしっかり保湿することも大切です。

3-2 掻かずに冷やす

かゆくてかゆくて掻かずにはいられない!その気持ちは良くわかります。でも、かゆい部分を掻きむしると、肌のバリア機能が低下して、肌の内側から水分が蒸散してしまい、さらに乾燥します。また掻いたことによる刺激で、表皮の細胞から炎症を促す物質が放出されます。この物質は周囲の神経や細胞を興奮させるため、さらにかゆみが悪化してしまうこともあるんですよ。

そんなときは、とにかく冷やすことです。皮膚の温度が下がると神経の興奮が鎮まるので、かゆみを抑えることができます。冷たいタオルを当てたり、冷水に当てるといいでしょう。

3-3 漢方薬で体質改善する!

「いったんよくなっても、またすぐに同じ症状をぶり返してしまう」「体質から根本改善したい」

そんな方には漢方薬がおすすめです。

漢方は、人間の体の営みに即した自然の摂理を利用した治療法です。自然の恵みである動植物や鉱物の有効成分を見出して、それを人間の心身の症状の改善に役立てるために、長い歴史を経て、実際に効果のあるさまざまな処方を確立してきました。そのため、一般的に、西洋薬よりも副作用は少ないと言われております。

そして漢方は、表面に出ている症状や苦痛を緩和する対症療法だけでなく、不調の原因となっている体質を改善することを目的に働きますので、根本的な解決につながります。ですので、同じ症状を繰り返したくないという思いにも応えてくれます。

バランスの良い食事や適度な運動を実践するのは難しい…という場合も、漢方薬なら、ご自身の症状や体質に合うものを毎日飲むだけですので、無理せず継続することが可能です。

皮膚のかゆみに悩む女性におすすめの漢方薬をご紹介します。

<皮膚のかゆみに悩む女性におすすめの漢方薬>

・麦門冬湯(ばくもんどうとう)
咳や喉のいがらっぽさなど、呼吸器系によく処方されるこの漢方ですが、実は肌にも効きます。そもそも、咳に効くといわれる理由は、この漢方が水分を保持してくれる機能があるためです。これは、皮膚に対しても一緒ですので、乾燥してかゆみがある方には、おすすめします。
・当帰飲子(とうきいんし) 
そもそも東洋医学では、皮膚の乾燥を血虚(けっきょ)だと判断します。この漢方は、この血虚を改善してくれるお薬です。乾燥によるかゆみや、それに伴う湿疹が出ているような方におすすめの漢方です。冷え性にも効果があるので、あまり体力がなく、冷えと乾燥が気になる方はぜひ使ってみて下さい。
 ・温清飲(うんせいいん)  
更年期障害や婦人科系の悩みがあって、かかとがひび割れるような乾燥が気になっている、という方には温清飲をおすすめします。血虚を改善する作用に加え、黄芩(おうごん)が頭にのぼった熱を下げてくれるので、ホットフラッシュや些細なことでイライラしてしまう症状にも、同時に効果をもたらしてくれるでしょう。

ただ、漢方薬はその人の体質に合っていてこそ効果が現れるものです。体質に合っていないと、効果が見込めないだけでなく、副作用がおきることもあります。自分に合う漢方薬を選ぶのはなかなか難しいものですが、最近ではA Iを利用した「オンラインA I漢方」などのサービスも充実してきましたので、こうした専門的なサービスを利用するのもよいでしょう。

4.内側からも対策をしてかゆくない冬を迎えよう!

これからの季節、乾燥はかゆみにも健康にも美容にも大敵です。近頃はマスクの刺激による乾燥にお悩みの方も増えています。外側のお手入れだけではなく、しっかりと体の中からも同時に保湿対策をして、乾燥によるかゆみとおさらばしましょう。

<この記事を書いた人>

精神科医/漢方医 木村好珠
渋谷金王坂クリニック非常勤医、一般社団法人国際統合治療協会理事
医学部在学中より東洋医学を学び、精神科と東洋医学科が充実している慶應大学病院での勤務を経て、西洋薬の即効性等と漢方薬の根本的な治療をバランスよく使い分ける事を信条とする。
渋谷の漢方内科で非常勤医として勤務する傍ら、テレビや雑誌、インターネットテレビ、Webメディアなどで、精神疾患、心理学、生活習慣病など様々なテーマを精神科医・漢方医の立場で解説も行う。
・木村好珠のオンライン診療:https://www.konnozakaclinic.com/service/fusion-kimura/
・木村好珠監修あんしん漢方: https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=221432a9sera0015

記事内に登場した「あんしん漢方」とは?
「お手頃価格で不調を改善したい」「副作用が心配」というお悩みをお持ちの方のために、医薬品の漢方を、スマホひとつでご自宅にお届けするサービスです。AI(人工知能)を活用し、漢方のプロが最適な漢方を選別。オンラインでいつでも「個別相談」可能。しかも「お手頃価格で」ご提供。相談は無料。
●あんしん漢方(オンラインAI漢方)

 

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