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文/小林弘幸

「人生100年時代」に向け、ビジネスパーソンの健康への関心が急速に高まっています。しかし、医療や健康に関する情報は玉石混淆。例えば、朝食を食べる、食べない。炭水化物を抜く、抜かない。まったく正反対の行動にもかかわらず、どちらも医者たちが正解を主張し合っています。なかなか医者に相談できない多忙な人は、どうしたらいいのでしょうか? 働き盛りのビジネスパーソンから寄せられた相談に対する「小林式処方箋」は、誰もが簡単に実行できるものばかり。自律神経の名医が、様々な不摂生に対する「医学的に正しいリカバリー法」を、自身の経験も交えながら解説します。

【小林式処方箋】午前中はメールチェックを

やめてみる。

 「動のゴールデンタイム」を意識する

何事も効率が上がらない場合は、タイムマネジメントに原因がないかまず疑ってみるべきです。例えば、あなたは出社してすぐ、朝のメールチェックや返信に、どれだけの時間を費やしていますか?

一度、計ってみてください。きっと、膨大な時間を費やしていることに驚くでしょう。そして、メール対応に疲弊し、大切な朝の時間を無駄にしているのではないでしょうか。それが残業の原因である場合も少なくありません。

なぜ朝イチのメールチェックがいけないのか。

それは、午前中は自律神経のバランスが最も整った時間帯で、ブレインワークがはかどることがわかっているからです。私は午前中の時間帯を「動のゴールデンタイム」と名付けているほどです。

朝は、神経伝達物質のひとつであるドーパミンが大量に分泌されます。ドーパミンが多く分泌されると、記憶や認知作用を司る中枢神経が強化されるため、ブレインワークのポテンシャルが上がるのです。ドーパミンによって、「やる気スイッチ」が押されると考えてください。

また同様に、朝はアドレナリンも大量に分泌されます。これも神経伝達物質のひとつで、分泌されると興奮状態になり、集中力が向上することがわかっています。

つまり午前中は、ストレスフリーの状態であるならば、放っておいても集中力が増している時間帯なのです。

こんな「動のゴールデンタイム」を緊急性の低いメールチェックなどの仕事に費やすのは実にもったいない。自分にとって、いちばん大事な仕事から始めてください。

「外部刺激」には午後にまとめて対応

極端なことを言えば、メールや電話などの「外部刺激」は、すべてストレスの要因です。

味覚、視覚、聴覚、触覚、嗅覚といった感覚器官から得るものはすべてストレスとなり、それが私たちのペースを乱してしまうのです。

もちろん、「風を感じる」「陽射しを浴びる」など受け止め方によっては、プラスの快感を得る場合もあるでしょう。

しかし、集中したい時にはちょっとした風が気に障ることもありますし、飲み過ぎた翌日などは、直射日光は眩しいだけです。

ですから、午前中は「外部刺激」をなるべく減らすように工夫するべきです。思い切って、午前中はメールを読まないことにしてみてください。私はそうしています。

なぜならメールは、電話と異なり、大前提として私たち受け手が「自由なタイミング」で返信できるコミュニケーション手段だからです。これを活用しない手はありません。

メールをチェックしないと心配だ、という人もいるでしょう。でも安心してください。

本当に喫緊の場合は、メールなど悠長な対応をせずに、相手は必ず電話をしてくるはずです。メールで送ってくるということは「いつ読んでもいい」「いつ返してもいい」ということです。

では、面倒な上司に報告しなければならない案件を抱えていたら?

下手に上司に報告すると、必要以上の小言が返ってくるでしょうから、これも午後イチに回しましょう。

朝からざわつく職場なら?

最近は多くの職場で始業時間をフレキシブルに選べるフレックスタイム制が導入されています。朝、同僚よりも1時間早く出社して、「誰からも邪魔されない時間」を手に入れてはどうでしょうか。

いずれにせよ、できるだけ「外部刺激」を避けるためにも、午前中は自分の殻にこもって、ブレインワークを優先するべきです。

午前中はスマホもニュースも絶つ

もしどうしても心配ならば、件名だけさっとチェックしましょう。そしてすぐに対応が必要なものだけ、すぐさま返信します。

その場合も、メールを受け取った旨を伝え、「午後に改めて返信します」とメールしておけば、たいてい事足ります。できれば、「内容を確認した」「チェックした」という文言を避けることです。

確認したならその返事を寄越せ、というのが相手側の心情だからです。「受け取った」「午後に返信する」という旨だけ記せば、余計な相手の怒りは買いません。それどころか、「忙しい中、丁寧な対応をしてくれている」と評価が上がるかもしれません。

さらに集中したいなら、スマホやタブレットの通知も、午前中は思い切ってオフにしてしまうことです。実際、私はこれを実践しています。これで、「外部刺激」が相当に減ります。少なくとも、午前中にスマホでSNSをチェックしたり、ニュースサイトを見たり、という行為は、もってのほかでしょう。ゴールデンタイムの無駄遣いです。

午前中は「外部刺激」をできるだけ排除し、ブレインワークに集中する。そして午後は、雑務とミーティング。これが効率的なタイムマネジメントのコツです。

  『不摂生でも病気にならない人の習慣』

小林弘幸 著

小学館
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文/小林弘幸
順天堂大学医学部教授。スポーツ庁参与。1960年、埼玉県生まれ。87年、順天堂大学医学部卒業。92年、同大学大学院医学研究科修了。ロンドン大学付属英国王立小児病院外科、トリニティ大学付属小児研究センター、アイルランド国立小児病院外科での勤務を経て、順天堂大学医学部小児外科講師・助教授などを歴任。自律神経研究の第一人者として、トップアスリートやアーティスト、文化人のコンディショニング、パフォーマンス向上指導にも携わる。また、日本で初めて便秘外来を開設した「腸のスペシャリスト」でもある。自律神経の名医が、様々な不摂生に対する「医学的に正しいリカバリー法」を、自身の経験も交えながら解説した『不摂生でも病気にならない人の習慣』(小学館)が好評発売中。

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