では、先ほどの問い、「盛り蕎麦」とは、どういう器に盛られた蕎麦をいうのだろうか。この名前の中には、器らしき名前の要素は入っていない。

江戸時代の風俗を記録した名著「守貞漫稿」(もりさだまんこう)を見ると、次のような意味のことが書かれている。

「江戸では二八蕎麦にも皿は使わない。外側が朱塗りで、内側を黒く塗った器を使い、底に竹簀を敷いた上に蕎麦を盛る。これを盛りという。盛り蕎麦の下略なり。」

この文からわかることは、江戸ではないどこか、おそらく上方なのだろうが、二八蕎麦には皿を使っていたらしい。

江戸では、二八蕎麦に、朱と黒に塗り分けた上等な器を使った。底に竹簀を敷いてあるのだから、蒸籠だと思って間違いないだろう。

これを「盛り蕎麦」と呼んだというのだ。

盛り蕎麦とは、つまり、蒸籠に盛った蕎麦を指したということが、「守貞漫稿」から読み解ける。

_DSC7505

1 2 3 4

 

関連記事

ランキング

サライ最新号
2024年
12月号

サライ最新号

人気のキーワード

新着記事

ピックアップ

サライプレミアム倶楽部

最新記事のお知らせ、イベント、読者企画、豪華プレゼントなどへの応募情報をお届けします。

公式SNS

サライ公式SNSで最新情報を配信中!

  • Facebook
  • Twitter
  • Instagram
  • LINE

「特製サライのおせち三段重」予約開始!

小学館百貨店Online Store

通販別冊
通販別冊

心に響き長く愛せるモノだけを厳選した通販メディア

花人日和(かじんびより)

和田秀樹 最新刊

75歳からの生き方ノート

おすすめのサイト
dime
be-pal
リアルキッチン&インテリア
小学館百貨店
おすすめのサイト
dime
be-pal
リアルキッチン&インテリア
小学館百貨店