歳をとるというのは厄介なものですよね。周りからは、年相応に物知りなどと思われたりして……。うっかり漢字の読み⽅なんか間違えたりしますと、とっても恥ずかしい思いをするなんてこともあるかもしれません。
脳の⽅は、若い時のようにパッパと記憶中枢からひっぱり出せなくなってきているかもしれませんが、「歳をとってきちゃって、なかなか思い出せなくて……」なんて⾔い訳をするようでは、サライ世代の沽券に関わる?
「脳トレ漢字」今回は、「熊猫」をご紹介します。愛くるしい姿を思い浮かべながら漢字への造詣を深めてみてください。

「熊猫」は何と読む?
「熊猫」の読み方をご存じでしょうか?
正解は……
「パンダ」です。
「熊猫」は、一般的に「パンダ」と読みます。日本語では外来語の「パンダ」が定着しているため、漢字表記を見る機会は少ないですが、中国語では「熊猫」(xiong mao:シォンマオ)としてパンダを指します。「くまねこ」は日本語の当て字としての読み方で一般的ではありません。
「熊猫」の由来
「熊猫」という漢字の由来は、いくつかの説があります。まず、その見た目。黒い目の周りと耳、四肢が熊のような体つきと共に猫に似た特徴も持っていることから、中国では「熊猫」(熊と猫を合わせたような動物)と名付けられました。
また、実は「熊猫」という名前は、もともとレッサーパンダを指していたというものです。
レッサーパンダは、ジャイアントパンダよりも体が小さく、猫くらいの大きさです。そして、その顔つきや木登りが得意な点などが熊に似ているとされ、「熊のような猫」あるいは「猫のような熊」という意味で「熊猫」と名付けられたというのです。
その後、19世紀後半に西洋人によってジャイアントパンダが発見され、その姿がレッサーパンダに似ていたことや、同じように竹を食べることから、こちらも「パンダ」と呼ばれるようになりました。
そして、より体の大きなジャイアントパンダを「大熊猫」、レッサーパンダを「小熊猫」と区別して呼ぶようになった、という経緯があるようです。

日中友好の使者から世界のアイドルへ
日本で「パンダ」といえば、1972年に日中国交正常化を記念して、中国から上野動物園に贈られた「カンカン」と「ランラン」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか? この二頭の来日は日本中に大フィーバーを巻き起こし、パンダは一躍、日中友好の象徴、そして動物園のトップアイドルとなりました。
しかし、「ジャイアントパンダ保護共同プロジェクト」の契約期間満了により、中国への返還が決まり、今後、あの愛くるしい姿を見ることができなくなるのはとても残念です。
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いかがでしたか? 今回の「熊猫」のご紹介は皆様の漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 愛嬌ある姿で私たちの心を和ませるパンダ。いつまでも私たちの脳裏に焼き付けておきたいですね。
●執筆/武田さゆり

国家資格キャリアコンサルタント。中学高校国語科教諭、学校図書館司書教諭。現役教員の傍ら、子どもたちが自分らしく生きるためのキャリア教育推進活動を行う。趣味はテニスと読書。
●構成/京都メディアライン・https://kyotomedialine.com
