【私のお気に入り~第118回】
台北のビストロ『RAW』
シンガポールにある『ANDRE(アンドレ)』は、日本を含めて私の第一のお気に入りのレストランです。オーナーシェフで台湾出身の世界的な名料理人アンドレ・チャンがフランス料理をベースに、「OCTAPHILOSOPHY(オクタフィロソフィ/8つの料理哲学)」のコンセプトでインターナショナルな料理を作って、私たちを魅了しています。
今回紹介するのは、その姉妹店、台北にある『RAW(ロウ)』です。2014年12月にオープンしたこちらの店舗はアンドレ・チャンが監修し、自国の食文化を振り返りながら、「台湾テロワール」とでもいうべき、カジュアルなビストロ料理を展開しています。フランスでも人気の「ビストロノミー」、ビストロのご馳走です。
例えば、「牛舌餅」という牛の舌の形をした台湾伝統の菓子を、本物の牛舌に代えてスナックに仕立ててみせたり、そうかと思うと、鰈(かれい)のえんがわに、ニンニクの茎を合わせるだけのシンプルな魚料理も食べさせてくれます。
『RAW』で様々なメニューを味わいながら、台湾の料理のレベルの高さに目をみはりました。厨房で働くアラン・ホワンシェフ以下、若い料理人たちの顔だちの良いこと! アンドレ・チャンシェフに憧れながら、黙々と手際よく、仕事をこなしていました。
パッション(情熱)とミッション(使命)を持った『RAW』の若き料理人たち。日本もうかうかしていられませんね。
【RAW】
住所/台北市樂群三路301號
電話/(02)8501-5800(予約制)
営業時間/ランチ:11:30~14:30 ディナー:18:00~22:00
定休日/月曜日・火曜日
http://www.raw.com.tw/indexContent.aspx
文/山本益博
料理評論家・落語評論家。1948年、東京生まれ。大学の卒論「桂文楽の世界」がそのまま出版され、評論家としての仕事をスタート。TV「花王名人劇場」(関西テレビ系列)のプロデューサーを務めた後、料理中心の評論活動に入る。