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身頃が青、襟と袖口が白のクレリックシャツ。

身頃が青、襟と袖口が白のクレリックシャツ。

5月になり、今年もクールビズの取り組みがスタートしました。クールビズは小泉純一郎氏が首相だった2005年に始まったのですから、10年以上も続く運動となりました。

ビジネスマンがネクタイを着用しなくていい期間が年に6か月もあるということ、またその間、ネクタイの需要がなくなるということで、服飾業界はネクタイなしで「様になる」シャツを提案し、シャツの襟回りのバリエーションがこの10年で格段に増えたように思います。

特に、襟(えり)と袖口(カフス)が白、身頃に色や柄物の生地を使った「クレリックシャツ」はビジネスシーンにおける「おしゃれなシャツ」として一躍注目のアイテムになりました。

ということで、今回はクレリックシャツに着目し、シャツの歴史とTPO(ドレスコード)について考えたいと思います。

■クレリックシャツは約100年前に誕生したクラシックなシャツ

シャツがその形状を大きく変えたのは、1820年、一説には1827年のことといわれています。アメリカ合衆国ニューヨーク州のトロイという街に、ハンナ・モンタギューという主婦が住んでいました。鍛冶職人のご主人(靴職人ともいわれています)のシャツは、仕事柄汚れがひどく、清潔なシャツを着てもらうためには毎日の洗濯が欠かせませんでした。しかし、実際に汚れがひどいのは襟の部分だけで、身頃の部分は毎日洗濯する必要はなかったのです。

そこで、なんとか洗濯の量を減らそうと考えた彼女は、襟の部分を切り取って襟だけを洗濯してから、再びボディー(身頃)に縫いつけることを始めました。これがデタッチャブルカラー(取り外しのできる襟)のはじまりです。

現在では、シャツのカラーは取り外しができないのが普通ですが、デタッチャブルカラーの誕生から約100年間、シャツ本体と糊で固められたカラーは別々に作られるのが一般的だったのです。襟製造会社として一世を風靡したクルーエト・ピーボディー社では、なんと400種類ものデザインのカラーを生産していたといわれています。しかし、当時はシャツの色もカラーの色も「白」と決まっていました。

デタッチャブルカラーのシャツ。このシャツは燕尾服に用いるもので、襟はウイングカラーになっている。

デタッチャブルカラーのシャツ。このシャツは燕尾服に用いるもので、襟はウイングカラーになっている。

1920年代に入って、ようやく襟が取り外せないソフトカラーのシャツが少しずつ現れます。同時に淡い色の生地で作られたシャツが登場しますが、取り外し式の襟は「白」と決まっていました。それを色の付いたシャツに取り付けたとき、白い襟に色柄生地のボディー、そうです、クレリックシャツが誕生したのです。

この「クレリックシャツ」という名称は和製英語で、英語ではありません。本来、英語では「カラー・セパレイテッド・シャツ」(襟が切り離されたシャツ)と呼ぶようです。しかし、なぜ「クレリック(Cleric=牧師)」と呼ぶようになったのでしょうか? どうも牧師さんが着ている黒い服から白い襟が覗いて見える装いが、このシャツに似ているというあたりに由来しているようです。

1930年代、昼間の盛装であるモーニングスーツに淡い色のシャツを着ることが流行しました。この時代のシャツの襟はもちろんデタッチャブルで白でしたから、いわゆるクレリックシャツが着られていたわけです。夜の第一礼装である燕尾服には、白いウイングカラーに白のボディーのシャツしか着用できません。したがって、歴史的に見ると、モーニングスーツにあわせていたということから、クレリックシャツは「昼間のシャツ」ということになるわけです。

以上は、拙著『「黒」は日本の常識、世界の「非常識」』(小学館新書)からの引用でした。

つまり、クレリックシャツは本来、ドレッシーなシャツであり、ネクタイを締めてこそ着用可能なシャツであり、上着なしやノーネクタイのクールビズ用に作られたものではないということです。それをどのように着用されるかは、あなた次第、ということになりますが、成り立ちを知らずに着るのと、知って着るのとでは、大きな差があるのではないかと思います。

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