【私のお気に入り~第116回】
 東京・上野の老舗洋食店『ぽん多 本家』

 

きすのフライ。

素材の持ち味を衣でしっかり閉じ込めたジューシーな「きすのフライ」。

 

『ぽん多』は、かつて”上野のとんかつの御三家”といわれた、明治38年(1905)創業の老舗洋食店です。ちなみに御三家とは、『双葉』『蓬莱屋』『ぽん多』の3店舗です。

『双葉』(すでに閉店)と『蓬莱屋』は、とんかつ、ヒレカツの専門店といって間違いないくらいの店ですが、『ぽん多』は看板料理の「カツレツ」以外にもメニューが充実していて、洋食店、もしくは西洋料理店と呼ぶほうがふさわしいですね。

先日、『ぽん多』を訪ね、いつも注文するカツレツではなく、フライやシチューをいただきました。

穴子のフライ。

穴子のフライ。

 

まずは、きすと穴子のフライを賞味します。どちらもてんぷらの代表的な素材ですが、フライとてんぷらでは味わいがまったく異なります。

てんぷらは、魚の水分を衣を通して油と交換する調理法です。それに対してフライは、魚の水分が逃げないように衣で閉じ込め、蒸しあげる料理です。ですから、フライにすると、てんぷらより魚の味わいがジューシーで、しっとりとしています。同じ揚げるという調理法であっても、てんぷらとフライではこんなにも仕上がりが違うのですね。

ポークソテー。

ポークソテー。

    
続いて、いただいたのがポークソテーです。『ぽん多』では、余分な脂身を丁寧に取り除き、赤身の部分のみをソテーします。豚肉の赤身は甘く、しっとりした味わいで、看板料理のカツレツとはひと味違う豚肉料理の傑作といえます。

タンシチュー。

タンシチュー。

    
最後にタンシチューを注文しました。最上質のタンをしっかりと煮込み、コクがありながら、しつこさは感じないソースがタンの旨味を引き立てています。

どの料理も、最上質の食材を丁寧な仕事で持ち味を引き出す職人技が光っています。『ぽん多』の料理は、東京の貴重な味の財産といっても過言ではありません。


【ぽん多 本家】
住所/東京都台東区上野3-23-3
TEL/03-3831-2351
営業時間/火曜~土曜11:00~14:00(L.O.13:45)  16:30~20:00(L.O.19:45)
     日曜・祝日11:00~14:00(L.O.13:45)  16:00~20:00(L.O.19:45)
定休日/月曜(祝日の場合は翌火曜休み)

 

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