繊細な味わいのフィレに
香味野菜を加える

「アクアパッツア」は、イタリア・ナポリ名物の魚介の蒸し料理である。前回に引き続き、東京・南青山のイタリアンレストラン『コルテジーア』の江部敏史シェフ(51歳)に、もう一品異なるレシピのアクアパッツアを教えていただこう。

●調理指導   江え部べ敏さと史し さん  (『コルテジーア』シェフ)

調理指導 江部敏史さん(『コルテジーア』シェフ)

同じくカサゴを使うが、こちらは骨を外して三枚におろしたフィレ(切り身)を用いる料理である。

「一尾を丸ごと使用すると魚の旨みすべてが抽出されるので、強い味わいになります。対して、フィレのほうが繊細です。そのためプチトマトだけでなくにんにくや青唐辛子、ブラックオリーブやケッパー、イタリアンパセリも入れて、味わいに複雑さを加えていきます。丸一尾が家庭料理なら、こちらはレストランの料理といった趣になります」(江部さん)

加熱した時の皮の縮みを防ぐためカサゴのフィレには、庖丁で切り込みを入れておく。あとは一尾と同様に、素材を全部フライパンに入れて蓋ふたをし、中火で蒸し上げるだけである。

フィレにスープを回しかける

調理の最中はフィレが焦げたり、身が固くなるのを防ぐために、水が少なくなれば随時、足していく。全体に火が入ったら、様々な食材の風味や旨みが出たスープをカサゴに吸わせるように回しかけるのも肝要だ。それを行なうことで、身もふっくらと仕上がる。

香味野菜が入った、彩りも美しい一品。イタリアンパセリや青唐辛子、大蒜の芳香がカサゴの味わいと渾然一体となり、口福を呼ぶ。

【材料(2人分)】

中央下から左回りにカサゴのフィレ(三枚におろしたもの)2枚(1尾分)、プチトマト12個、大にんにく蒜1片、青唐辛子1本、イタリアンパセリ2~3本、ブラックオリーブ10個、塩適量、エクストラバージンオリーブオイル20ml、水100ml、ケッパー10g。

中央下から左回りにカサゴのフィレ(三枚におろしたもの)2枚(1尾分)、プチトマト12個、にんにく1片、青唐辛子1本、イタリアンパセリ2~3本、ブラックオリーブ10個、塩適量、エクストラバージンオリーブオイル20ml、水100ml、ケッパー10g。

 

【手順】

三枚におろしたカサゴのフィレに、3㎝ほどの切り込みを2本入れる。2枚とも同様に切り込みを入れる。

三枚におろしたカサゴのフィレに、3㎝ほどの切り込みを2本入れる。2枚とも同様に切り込みを入れる。

背骨があった周囲に細かい骨が残っていることがあるので、ピンセットを使って取り除く。

背骨があった周囲に細かい骨が残っていることがあるので、ピンセットを使って取り除く。

大蒜と青唐辛子を輪切り、イタリアンパセリを粗みじんに。鍋にオリーブオイルを敷き、食材をすべて入れる。

にんにくと青唐辛子を輪切り、イタリアンパセリを粗みじんに。鍋にオリーブオイルを敷き、食材をすべて入れる。

鍋に蓋をして中火に7分ほどかける。時々蓋を開けて、カサゴにソースを回しかけ、味を馴染ませる。

鍋に蓋をして中火に7分ほどかける。時々蓋を開けて、カサゴにソースを回しかけ、味を馴染ませる。

 

イタリアンレストランの魚料理を思わせる仕上がりだが、食材すべてを鍋に入れて蒸すのみと簡単だ。客人が来た時にも向く。

イタリアンレストランの魚料理を思わせる仕上がりだが、食材すべてを鍋に入れて蒸すのみと簡単だ。客人が来た時にも向く。

 

●コルテジーア
東京都港区南青山5-4-24 ALACROCE 地下1階
電話 03・5468・6481
営業時間 11時30分~14時30分、18時~22時(最終注文)
日曜休、月曜不定休 32席

※この記事は『サライ』2018年12月号の「魚料理大全」特集より転載しました。本文中の年齢・肩書き等は掲載時のものです(取材・文/鳥海美奈子 撮影/多賀谷敏雄)。

 

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