栄養価に富む頭やカマなどの
アラは、汁物にすると美味
魚をおろしたあとに残る頭やカマ、中骨などのアラ。スーパーや魚屋などで安価に購入可能でありながら栄養価の高い、すぐれた部位でもある。身の部分は健康によい不飽和脂肪酸を多く含み、皮や目の周辺はコラーゲン豊富だ。そのアラを使った椀物を割烹『高瀬』の主人・高瀬亘さんに指南していただく。

調理指導/高瀬亘さん (『高瀬』店主)
「アラは臭みの原因となるエラや内臓を取り除き、熱湯をかける霜降りをして、表面の汚れやぬめり、鱗をきれいに取ります。今回は天然の鮭を使いましたが、もし養殖を使うなら塩をして30分ほど置き、浸透圧により出てきた水分をよく拭ふき取ってから霜降りにしてください」
豆乳と魚の旨みが一体に
豆乳汁は鮭に限らず、鯛や鰤など脂身のある魚であれば何でも合う。豆乳のまろやかさに魚の旨みが加わり、冬の冷えた身体を芯からほころばせる一品だ。
【材料(4人分)】

右下から時計回りに。キャベツ半個、鮭の頭1尾分、イクラ50g、生姜20g、醤油適量、塩適量、豆乳180ml、出汁540ml(昆布3㎝を水に3時間浸す。弱火で沸かし、沸騰直前に取り出す。鰹節15gを入れ火をとめ2分後に漉す)。
【手順】

鮭の頭とカマの部分を庖丁で切り離す。さらに食べやすいように5㎝ほどの大きさに切り分けていく。

血や表面についた見える汚れは臭みにつながるので、付いている場合は手で取り除いておく。

鮭のアラ全体に熱湯をかけて霜降りにし、手で鱗や汚れを取り除く。お湯を切り、水分を取っておく。

キャベツ半個は縦に4~5等分に分ける。軸の部分を残して切ると葉がばらばらにならず、盛り付けやすい。

出汁、醤油、塩、鮭、キャベツを鍋に入れて落とし蓋をして強火で沸かす。おろし生姜、豆乳を入れてひと煮立ち。

椀に鮭のアラとキャベツ、豆乳汁を盛り、仕上げにイクラをのせる。魚介と豆の蛋白質、野菜を同時に摂取できるため栄養価にも富む。
●高瀬
東京都渋谷区代々木1-27-5 市川ビル1階
電話 03・5371・8872
営業時間 11時30分~14時、17時~22時(最終注文)
日曜休、祝日休 24席
※この記事は『サライ』2018年12月号の「魚料理大全」特集より転載しました。本文中の年齢・肩書き等は掲載時のものです(取材・文/鳥海美奈子 撮影/多賀谷敏雄)。
