夕刊サライは本誌では読めないプレミアムエッセイを、月~金の毎夕17:00に更新しています。金曜日は「美味・料理」をテーマに、福澤朗さんが執筆します。
文・写真/福澤朗(フリーアナウンサー)
今回の話についてはまず、注意書きをつけさせていただきます。「気分を害する可能性がありますこと、あらかじめご了承ください!」
僕の食の提案は、賛否両論になることが多いのですが、今回の話に関しては、「否」のほうが多く、賛成3に対して反対が7。
その名も「羊羹ライス」です。
15年以上前でしょうか、昼飯をどうしようかと思った時に、白飯とちょっと古くなり硬くなった羊羹があったんです。そこで羊羹を薄く切り、お茶碗に盛ったあつあつのご飯の上に乗せて食べてみたのです。あたかも焼きのりのごとく、羊羹で白飯を包んでいただきました。なんだか貧乏学生の発想のようですが(笑)、ご飯の熱で羊羹がほどよくしんなりして、これが思いのほか美味しくて。ことあるごとにいろいろな方に勧めています。
しかしビジュアルインパクトが強すぎるせいか、最初の皆さんの反応は「うえ~」。おはぎと同じだと理屈を説明し、番組などで実際に食べていただくと、「ああ~」。食べられないわけではないけれど、自分ではしないよねという反応で、決して「うお~旨い!!」とはならないのです。
しかし、いつか評価されるときが来るだろうと思っています。数年後、羊羹で包んだおにぎりがコンビニに並ぶかもしれませんし、回転ずしの変わり寿司として登場するかもしれません。
そうだそうだ、〇ら寿司に提案しましょう。酢飯に羊羹、抹茶塩を添えて。外国人に受けるかもしれないですよ、この新食感は。会席料理のお凌ぎやカフェでお洒落に出しても面白いですね。いかがでしょう「羊羹ライス」、これは商品化できますよ(笑)
僕のなかでは、食材の不思議な合体シリーズの筆頭格がこの「羊羹ライス」。ほかに鯛焼きや大福に山葵をつけて食べたり、白飯と生クリームを一緒に食べたこともあります。これも口の中でお菓子の味になって旨い。
サイダーを牛乳で割る「牛乳ソーダ」もいいですね。僕はハーフハーフで割っています。サイダーは三ツ矢サイダーがおすすめです。これは喫茶店で飲むクリームソーダの残り数センチの味なんです。風呂上りに、ぜひお試しください。
文・写真/福澤朗(フリーアナウンサー)
昭和38年、東京都生まれ。昭和63年、早稲田大学第一文学部を卒業し、同年、日本テレビ入社。在局中はアナウンサーとして、数々のヒット番組に出演。また「ジャストミート」「ファイヤー」等の流行語も生み出した。2005年7月、フリーアナウンサーに。趣味は、日本酒、鉄道、和菓子屋巡り。特技は卓球。