【料理をめぐる言葉の御馳走~第1回】小野二郎①

 

「教わっていることをやるだけでは見習いと同じ」

02_次郎

銀座の「すきやばし次郎」は「にぎりで勝負」のすし屋として日本ばかりか世界でも認められてきたことは誠に喜ばしいが、本来ならこれだけ評判が立てば、弟子入りを志願する若者がいくらでも来てよさそうだが、この5,6年で「次郎」で働きたいという若者はひとりふたりしか現われていない。今までも仕事をしたいとやってきた若者は数知れず、だが、三日ももたないものがほとんどだったそうである。

「条件ばかり言って、給料はいくらか、週休二日ですか? そんなのばかり。仕事を覚えたら、一生食べていけるのにね。それで、来たかと思えば、三日で辞めると言い出す。その文句が、『この仕事は自分に合いません』と。仕事というのは、仕事に自分を合わせるもんです」

「次郎」では10年ほど修業してはじめて玉子を焼かせてもらえることができ、仕込みの仕事は一応覚えたことになるのだが、それでもお客の目の前に立ってすしを握ることはできない。

「すしをにぎるなんてことは、仕込みを覚えることに比べたらたいしたことはないんです。仕事を覚えて、一人前になって独立しても、教わったことをやっているだけでは、見習いと同じです。自分で創意工夫を重ねなきゃいけません」

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