写真・文/矢崎海里
これからジメジメした梅雨や、気温の下がらない夏など、寝苦しい季節になります。
日本人の睡眠時間は世界と比較してとても短く、1日の平均睡眠時間が6時間未満の人は4割近くにのぼるそうです。
睡眠不足は日中の眠気や疲れ、集中力低下だけでなく、生活習慣病とも深くかかわりがありますが、これ以上睡眠時間を長くとるのは難しい、という方も多いのではないでしょうか。
少しでも睡眠の質を上げて、寝苦しい季節も疲れを取りましょう。
今回は睡眠の質を高めるポイントと、おすすめレシピをご紹介します。
質の高い睡眠で健康維持
睡眠は疲労回復だけでなく、さまざまな役割を担っています。
・生活習慣病予防
睡眠時に呼吸が止まる無呼吸症候群は、高血圧や糖尿病などのリスクを高めます。
無呼吸症候群にならないよう、肥満に気をつけましょう。
就寝前の飲酒や喫煙は逆効果です。アルコールは寝つきを良くしますが、途中で目が覚めてしまったり、浅い眠りが続いたりと睡眠の質を低下させます。
・こころの健康も維持
睡眠はこころの健康も維持します。
眠れない、目が覚めてしまう、などの症状がある場合、こころのSOSサインかもしれません。
何らかの睡眠障害にはメンタル不調が関係していることが多いといわれています。
・疲労回復、効率アップ
睡眠不足は日中の眠気や集中力・記憶力低下など、日常生活や仕事に支障をきたします。
毎日しっかり睡眠をとることが重要ですが、難しい場合は30分ほどの仮眠も効率改善に効果的です。
休日の寝だめは生活リズムを崩す原因となるので、避けましょう。
質の高い睡眠をとるためにできること
ここからは睡眠の質を上げるポイントを3つご紹介します。
・規則正しい生活
夜更かしを避け、毎日一定の時間に就寝、起床を行うことが、睡眠の質向上につながります。
目が覚めたら日光を取り入れて、朝食もしっかり摂りましょう。
適度な運動も効果的です。
・睡眠環境を整える
質の高い睡眠には、環境づくりも大切です。
室内の温度や湿度、明るさや音などの環境だけでなく、枕の高さや布団のかたさなど、自分に合った寝具を選びましょう。
梅雨時期や寝苦しい夜も、冷房機器の活用や、接触冷感や吸湿性のある寝具を活用するのが効果的です。
・食生活を整える
寝ている間も消化活動は行われているため、就寝前に食事をすると、寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったりすることがありますので、就寝前の食事は避けましょう。
緑茶やコーヒー、紅茶などカフェインを含む飲料も、睡眠の影響を及ぼすことがあるため注意が必要です。
質の良い睡眠のためには、カルシウムやトリプトファンを多く含む食品がおすすめです。
骨に関係するイメージの強いカルシウムですが、神経の興奮を鎮めるはたらきがあります。
トリプトファンは必須アミノ酸のひとつで、セロトニンの原料となります。
セロトニン不足は、不眠や睡眠リズムの崩れと大きく関係している、睡眠に重要な成分です。
カルシウムもトリプトファンも、牛乳や乳製品、大豆製品に多く含まれています。
今回は上記の栄養素が摂れて、リラックス効果もあるレシピをご紹介します。
サーモンとカマンベールチーズのマリネ
【材料】(2人分)
刺身用サーモン(柵) 100g
カマンベールチーズ 1/2個
お好みの柑橘 皮をむいた状態で100g
ハーブソルト 小さじ1/2
オリーブオイル 大さじ1/2
【作り方】
1.サーモンは1cm角に、カマンベールチーズは6等分にする。柑橘は食べやすい大きさに切る。
2.ハーブソルト、オリーブオイルを加えて和え、完成。
カルシウムやトリプトファンを含むカマンベールチーズを使った、火を使わない簡単レシピです。
今回は甘夏を使用して作りましたが、オレンジやグレープフルーツなど、お好みの柑橘で作ってみてください。
魚介もたこや鯛など、好みのものでアレンジできます。
柑橘類の香りは、緊張を和らげ、リラックス効果があります。
睡眠の質を高める栄養素と合わせて摂るのがおすすめです。
エネルギー:232kcal
食塩相当量:0.8g
* * *
睡眠時間の目安は6時間ですが、個人差があり、国はそれぞれのライフスタイルに応じた睡眠の確保を掲げています。
時間だけに着目せず、睡眠の質も意識して、これからの季節も睡眠不足を防いでいきましょう。
文/矢崎海里(やざき・かいり)
管理栄養士やフードスペシャリストなどの資格を生かし、企業で働く傍ら、Webメディアでも活動。おいしく食べて健康になれるごはんを研究中。