文・写真/中井シノブ
京都もすっかり涼しくなり、秋の気配が漂いはじめました。京都をとりあげる書籍や雑誌が書店にずらりと並ぶ、「オン・シーズン」到来です。
今年は、9月13日に京都国立博物館の平常展示館「平成知新館」が開館し、2か月にわたって至宝の数々を公開する「京へのいざない」展を開催していることもあって、すでに多くの人で東山や街中は賑わっています。
そんな京都で立ち寄りたい、割烹など話題の新店を3件、ご紹介しましょう。
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■1:「ごだん宮ざわ」
まずは『サライ』10月号別冊「京の美味」にも掲載された「ごだん宮ざわ」。茶懐石の流れをくむ端整な料理で人気を博す「じき宮ざわ」の宮澤政人さんが開いた姉妹店です。
お料理はおまかせのみで、懐石の流れにそって先付、お椀、お造り、焼き物、揚げ物、焚き物、お凌ぎ、ご飯、水物、お菓子の順で出されます。お造りは鯛、揚げ物は鱧というように、料理は簡素。けれど、鯛は1日寝かせて味を凝縮させるなど、それぞれの食材にしっかりと手をかけていることがわかります。
鮎の塩焼きやお凌ぎにだされる、からすみたっぷりの十割蕎麦も、自然の滋味が生きた味わい。品数は多いのに、するするはいってご飯もおかわり。たくさん食べたにも関わらず、体がきれいになりそうです。
改装されたばかりのお店は清々しい気に満ちて、まるで茶室にいるような気持ちよさ。幕末の陶板を敷いた床や、黒部杉のへぎで編まれた天井を眺めるうちに、心がすうっと落ち着いていきます。
『ごだん宮ざわ』
京都市下京区東洞院通万寿寺上ル大江町557
電話:075-708-6364
営業時間:12時~、18時~
定休日:不定休
昼の御料理5800円(税別)、夜の御料理1万円(税・サ別)
※要予約
■2:「鮨 泰蔵」
南木屋町の「鮨 泰蔵」もまた、すっきりと美しいお店。ハイアット・リージェンシー京都の和食店で腕を磨いた櫛田英樹さんが独立して開かれた鮨店です。
お昼は前菜2品と茶碗蒸し、にぎり8カンとデザートで2000円~とごくごくお値打ち。夜は7800円~で、「つまみを多めに」「にぎりだけで」というように、ご主人と相談し好みで味わえるのも魅力です。
一品料理もあるので、じっくり飲みも大丈夫。白壁にモダンなインテリアの明るいお店に、ついひきこまれてしまいます。
『鮨 泰蔵』
京都市下京区木屋町通松原上ル美濃屋町174-1 プレゼンスビル1F)
電話:075-746-5432
営業時間:12時~14時、17時30分~22時(21時30分L.O.)
定休日:不定休
昼2000円~、夜7800円~(税込)
※予約がベター
■3:「丹くろ」
最後にご紹介するのは、京丹波町の「丹波ワイン」が経営する和食店「丹くろ」。和食に合うワインとお料理を愉しんでほしいと、祇園の切通しに店を構えました。
2階は一品料理を愉しめる気軽な和食店、1階は懐石料理のみのカウンター席で、22時以降はワインバーに。丹波ワインのほか、国産ワインの数々を味わえます。おすすめは、毎日ワイナリーから直送される「生ワイン」。まるで地ビールのような爽やかな香りと軽い口当たりで、ぐいぐい飲んでしまいます。
石畳の南白川通、巽神社や巽橋など京風情いっぱいの場所なので、夜の祇園観光がてらに立ち寄るのもいいでしょう。
『丹くろ』
京都市東山区清本町373-3
電話:075-531-6866
営業時間:18時~21時30分(L.O.)、バー(1F)22時~翌1時30分(L.O.)
定休日:日曜・祝日
昼「玉櫛笥」3500円、会席7000円~、 夜単品350円~、会席1万円~(税別)
※予約がベター。ランチは2日前までに2名以上で予約
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以上、秋の京都で立ち寄りたい、割烹など話題の新店を3件、ご紹介しました。気鋭のお店で、京都の味覚をぜひご堪能ください。
文・写真/中井シノブ