秋らしい秋が来ないまま、冬へと突入してしまい、暖かい料理が恋しい季節になりました。そんな時はやっぱりおでん。出汁がしみた練り物や豆腐、大根に卵……。心まで温かくなること間違いなし。
今回は、『サライ.jp』で紹介して人気のあった、出汁が美味しいおでん屋さんをまとめてご紹介します。
■1:進化系おでんの真骨頂 鴨が織り成す逸品おでん|びのむ(東京・西麻布)
2008年の開店以来、鴨コンソメ出汁のおでん一筋という、西麻布の路地にたたずむビストロおでんの先駆『びのむ』。じんわりとコク深く、だが素材の邪魔をしない絶妙なバランスの出汁に魅了される人が後を絶たない。通年でおでんを楽しめるよう、旬の食材をふんだんに使い、出汁と相性のよいワインも充実している。
■2:あさりの芳しさが隅々までに行き渡る|赤坂おでん あさり(東京・赤坂)
店主の名前の“麻利”が“あさり”と読めることから、飲食店を開くにあたり店名を決めたという『赤坂おでん あさり』。ならば、貝のあさりを店の看板にしようと、あさりを極めるべく、全国を食べ歩き研究した。そして行き着いたのが、あさり出汁のおでん。春菊やガーリックトーストなどアイデアに満ちたタネも。
■3:名古屋発、鶏串専門店ならではの濃い旨み鶏|だしおでん さもん(東京・中目黒)
名古屋に本店を構える『鶏だしおでん さもん』は、開け放たれた扉の向こうに、大きなおでん鍋が鎮座する。白濁したスープは鶏ガラにニンジン、長ネギ、生姜(しようが)など数種類の野菜を加え、半日以上煮込んだ鶏白湯(とりパイタン)出汁。屋台風の店内だけに、サクッと味わい、吞んで楽しむのが粋。
名古屋発、鶏串専門店の鶏白湯出汁|鶏だしおでん さもん(東京・中目黒)
■4:やさしい旨みの鶏白湯出汁で自然派ワインを楽しむ|小林屋(東京・五反田)
五反田で旨い洋食というと、必ず名前があがる『小林食堂』。『小林屋』は、その店主が長年温めていた構想を実現させた洋風おでん屋。ワインバーのような8席のみのカウンターの端に、見慣れたおでん鍋が据えられている。
■5:澄んだ味わいにコクが潜む牛テールスープを堪能する|牛タン いろ葉別邸(東京・代々木)
牛タンが看板メニューの『牛タン いろ葉別邸』。鰹節と昆布出汁をベースに、同量で合わせてあるのが牛テールスープを使ったおでん。その一番人気、牛テールの出汁をたっぷり含んだ「茹でタン」は、箸ですっと切れるくらい柔らかい。
■6:夏はブイヤベース、冬は鹿や牛……|Bistro-fura-ya フラ屋(東京・新井薬師前)
「フランスおでん」が名物の『ビストロ フラ屋』。おでんは煮込み料理。ならば、フランス料理でいえば冬場はポトフ、夏場ならブイヤベースこそ、おでんではないかと生まれたフランスおでん。季節によりフォアグラ、トリュフ、鴨、冬ともなれば、蝦夷鹿などジビエで取ったコンソメ出汁のおでんも登場する。
ジビエ出汁のフランスおでん|Bistro-fura-ya フラ屋(東京・新井薬師前)
■7:銭湯の横で漂う天つゆの香り|天つゆおでん屋台 華門(東京・鶯谷)
鶯谷の銭湯「萩の湯」の軒下を借りて商いをしている『天つゆおでん屋台 華門(かもん)』は、持ち帰りが基本だが、屋台の傍らにある台で、立ち呑みをしながらおでんをつつくこともできる。浅草の天ぷら店『秋光(あきみつ)』のものをおでんに合うよう調整した天つゆ出汁が特徴で、25種類ほどのタネからも出る旨みが溶け込み、まろやかな味わい。
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寒さに震える身体にしみるおでん。多彩になった出汁の違いで楽しむのもオツなもの。未知なる出汁の味わいを楽しんでみてはいかがでしょう。
文/編集部