素材を見極め生かす割烹で春の苦みと旨味を味わう

燕 en(南区)

京都駅近辺ならこの店をおいてほかにはないとの評判を集めてきた和食店『燕en』。開業の平成25年以降、年を追うごとに実力を増すが、そこには店主・田中嘉人さん(36歳)の真摯な努力がある。

田中さんは、名料亭との呼び声も高い『和久傳』で修業を積み、その後ニューヨークの精進料理店『嘉日』で腕を磨いた料理人だ。「開業から8年。引き算といわれる日本料理の本質を、より深く追求してきたつもりです」と話す。

通ってくれる客の要望や料理に対する意見に応えたいと、学び苦心してきた。

「凝り過ぎた料理よりも、素材の特徴を引き出した簡素な料理を好まれるお客様が多い」という田中さんは、食材の産地や個性を引き出すよう料理を工夫してきた。

例えば、素材の良し悪しが味にでる料理の代表格ともいえるのが、本もろこの炭焼きだ。冬から春にかけて琵琶湖であがる天然の本もろこだけを使う。漁獲時期や成長の度合いにより骨の硬さや身の締まり方が違うため、それを見極めるのが難しい。状態を目や手で確かめて串を打ち、直前に程よく塩をして炭火で焼く。

「炭火からの距離や火加減も大切です。頭からすべて味わっていただくために、頭はじっくり、身は火が入り過ぎないように」と、丁寧な仕事を怠らない。焼きあがった本もろこは皮がパリッと香ばしく、身はしっとり。塩の加減も抜群だ。

本もろこ炭焼き

2月の半ば以降になると子持ちの本もろこも登場する。食べたい尾数を注文し、地酒とともに味わいたい。1400円~(6尾)。
新鮮な本もろこは美しい。琵琶湖で獲れるものだけが本もろこと名乗れる。
かための頭の部分を下にし、じっくり火入れ。何度も様子を見ては返し、ちょうど良い加減に焼きあげる。

苦みが要の芹は、瑞々しさも持ち味。朝採れの新鮮なものを、その時期に一番旨味を増す和牛とともに炊き合わせる。芹は根の部分に土の香りや噛み応えがあって旨い。うす葛の銀あんをかけて風味と温かさを封じ込めるのは田中流。まだ肌寒い日も多い早春、悴んだ身体を緩めてくれる料理だ。

芹と和牛の炊き合わせ

シャキッと歯切れよく苦みのある芹と、ほどよい脂で柔らかな和牛が相性抜群の一品。3000円~。5月頃まで様々な山菜を味わえる。
採れたての芹は、炊く直前まで冷水に放って新鮮さを保ち、食感を生かす。産地は限定しないが左京区貴船などで採れるものが多い。

京都独特の食材も多く、いずれもこの時季だけのご馳走。京都駅から至近のこの店は、他府県から足を運び季節の味に舌鼓を打つ客も多く、いつも賑わう。

店主の田中嘉人さん。昭和60年、京都府生まれ。開業から8年を経ても、まだまだ学びが必要という。誠実な人柄が客の心を掴む。

燕en

京都市南区東九条西山王町15-2
電話:075・691・8155
営業時間:17時~22時(最終注文) 
定休日:日曜
カウンター10席、テーブル4席。予算1万円~、要予約。
交通:JR京都駅八条口より徒歩約5分

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※この記事は『サライ』2022年3月号より転載しました。

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