取材・文/池田充枝
スペイン、カタルーニャ自治州の州都バルセロナは、食文化、スポーツ、世界遺産サグラダ・ファミリアなど豊かな観光資源で人々を魅了し続けている国際都市です。
バルセロナは、都市の近代化が進んだ1850年代から1930年代後半のスペイン内戦に至るまでの約80年間、カタルーニャ芸術が最も成熟したことが特筆されます。
アントニ・ガウディをはじめ、ドゥメナク・イ・ムンタネー、プッチ・イ・カダファルクなど現在のバルセロナの景観を形作った建築家たち、若き日のピカソ、この地を足掛かりとして世界的に活躍したミロやダリ、ラモン・カザスやサンティアゴ・ルシニョルら多くの芸術家がこの時期、この街で多彩な活動を繰り広げました。
世紀末カタルーニャの熱気を伝える展覧会が開かれています。(4月5日まで)
本展は、絵画、彫刻、家具、宝飾品など約130点で世紀末カタルーニャの芸術を紹介します。
本展の見どころを、東京ステーションギャラリーの学芸員、柚花 文さんにうかがいました。
「バルセロナと言えば、ガウディのサグラダ・ファミリアが有名ですが、本展はその建設が始まった前後の時代に活躍した芸術家とその活動にスポットをあてる展覧会です。
19世紀半ば、産業革命の波が訪れたバルセロナには、紡績業などで成功した富裕層が台頭しました。今もバルセロナ中心のグラシア通りに立つ、ムンタネー、カダファルクといった建築家が設計した豪華な邸宅はこの頃の名建築です。
本展の導入部分では、こうした邸宅に置かれた家具、ステンドグラス、絵画、宝飾品などを展示します。ヨーロッパ全土を席巻したアール・ヌーヴォー様式をうまく取り入れながら、やがてバルセロナに「ムダルニズマ」という芸術様式が生まれます。
この頃に興味深い活動をしたラモン・カザスやサンティアゴ・ルシニョルは、日本ではあまり馴染みがありませんが、彼らが開いたカフェ「四匹の猫」では音楽会や人形劇が催され、カタルーニャの前衛的な知識人の溜まり場となりました。
本展では、ここの常連客を描いたピカソの初期のデッサンも展示します。また、ピカソに続くようにバルセロナからパリへと活動の場を広げたミロやダリの作品も紹介します。
1936年以降、スペイン内戦に巻き込まれていくカタルーニャですが、本展は、それまでの約80年間にバルセロナに満ちた熱気のようなものを感じていただける内容です」
ガウディとともに活躍した芸術家たちの足跡を辿って、バルセロナ通になりませんか!!
【開催要項】
奇蹟の芸術都市バルセロナ ガウディ、ピカソ、ミロが愛したカタルーニャの熱気
会期:2020年2月8日(土)~4月5日(日)
会場:東京ステーションギャラリー
住所:東京都千代田区丸の内1-9-1
電話番号:03・3212・2485
http://www.eircf.or.jp/gallery
開館時間:10時から18時まで、金曜日は20時まで(入館は閉館30分前まで)
休館日:月曜日(ただし2月24日、3月30日は開館)、2月25日(火)
取材・文/池田充枝