松岡美術館は、2019(平成30)年6月に所蔵品調査及び改修工事のために休館。今年1月にリニューアルオープンして話題を呼びました。

創設者・松岡清次郎は自らオークションや公募展に出向き、琴線にふれる作品とのめぐりあいを積み重ね、約2400点を蒐集。清次郎が愛した芸術も様々な人やモノ同士のめぐりあいの上に成り立っています。

この4月26日より、創設者の視点に倣って館蔵の中国陶磁、中国絵画、日本画、西洋画、能面などのコレクションを再構築し、「出会い」をテーマにした企画展を開催しています。(7月24日まで)

橋本雅邦《諸葛亮読書図》
絹本着色 制作年不詳 155.0×85.0cm

本展は、企画展1「二色の美」と企画展2「故きを温ねて」の2部構成に加えて、特別展示「中国青銅器 形と用途」も併設しています。

《青花龍唐草文天球瓶》
景徳鎮窯 明時代・15世紀 高41.8cm

本展の見どころを、松岡美術館の主任学芸員、山口翼さんにうかがいました。

「『二色の美』では、今も私たちの生活に根付く古代中国の五行思想に目を向けながら、磁州窯、景徳鎮窯で作られた2トーンカラーの中国陶磁を中心に展観しています。

《白地黒掻落牡丹文瓶》は白化粧した上にさらに鉄絵具を掛け、不要な鉄絵具を掻き落とすことで文様を表した労作で、白と黒のはっきりとしたコントラストと線描きでは得られない彫刻的な立体感が魅力です。

《白地黒掻落牡丹文瓶》
磁州窯 北宋時代・11-12世紀 高 22.0 cm

『故きを温ねて』では、故事に由来する日本画にエピソードを添えて紹介しています。
歴史画の名手、真野満が再興第65回院展で内閣総理大臣賞を受賞した《後白河院と遊女乙前》は、今様を通じた後白河院と遊女乙前の身分、性差を超えた美しい人間関係を捉えた傑作です。

真野満《後白河院と遊女乙前》
紙本着色 昭和55(1980)年 204.0 × 132.0 cm

また、今会期から3回にわたって館蔵の中国青銅器を出陳します。今回は青銅器の形と用途に着目して、食器、酒器、水器、楽器をご紹介。

全体に優れた鋳上りで均整のとれたフォルムの水器《史頌匜》は同一人物による作と思われる銅器の存在が複数知られる名品です」

《史頌匜》
西周時代 晩期・紀元前9-8世紀 高 21.5 cm 重 2.75 kg

古今東西の名品が一堂に会す見ごたえある展覧会です。ぜひ会場に足をお運びください。

【開催要項】
松岡コレクション めぐりあうものたちVol.1
会期:2022年4月26日(火)~7月24日(日)
会場:松岡美術館
住所:東京都港区白金台5-12-6
電話:03・5449・0251
開館時間:10時から17時まで、第1金曜日は19時まで(いずれも入館は閉館30分前まで)
休館日:月曜日(祝日の場合は翌平日)
公式サイト:https://www.matsuoka-museum.jp/
料金:公式サイト参照
アクセス:公式サイト参照

取材・文/池田充枝

 

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