取材・文/池田充枝

首里城は、15世紀(1429年)から19世紀(1879年)の450年にわたる琉球王国の政治・外交・文化の中心地でした。
15世紀初期に内郭が、16世紀に外郭が完成した首里城は、中国や日本との長年の交流から随所に中国や日本の建築文化の影響が見受けられます。その特徴ある美しい建物は、2000年12月に世界遺産に登録されました。

荢麻白地鳳凰と扇牡丹文様両面紅型子供衣裳
19世紀
(一財)沖縄美ら島財団所蔵

2019年10月、日本中を駆け抜けた首里城焼失のニュースは記憶に新しいところです。復旧が待たれる首里城の美術工芸品に関する展覧会が開かれています。(3月13日まで)

本展の見どころを、一般財団法人沖縄美ら島財団総合研究センター琉球文化財研究室の佐久本純さんにうかがいました。

「本展覧会では首里城美術工芸品に関する沖縄美ら島財団の取り組みをご紹介いたします。当財団では、首里城に関する琉球王国時代の美術工芸品を収集し、調査研究を行っています。

尚灝(コウ)王御後絵(彩色模写復元)
2017年度復元
東京藝術大学保存修復日本画研究室制作・
(一財)沖縄美ら島財団所蔵

なかでも模造復元事業は、材料・技法を綿密に調査し、現在に伝わっていない技法なども忠実に再現します。展示会では、製作当時のよみがえった姿をご覧いただけます。

銀脚杯
2012年度模造復元
(一財)沖縄美ら島財団所蔵
托付銀椀
2012年度模造復元
(一財)沖縄美ら島財団所蔵

また、2019年10月に発生した火災による美術工芸品への影響とその後の被害調査結果、修理状況の経過もご報告いたします。

呉須線彫牡丹文酒注
19世紀前半
(一財)沖縄美ら島財団所蔵

関連催事として『文化財修理の最前線』と題し、講演会も開催いたします。保存科学の専門家や文化財修理に携わる数少ない職人をお招きし、貴重なお話をしていただきます。有形の美術工芸品だけでなく、琉球王国から守り遺されてきた無形の(目に見えない)技術を含めた沖縄の宝を、後世に伝える活動を多くの方に知っていただきたく思います」

白澤之図
県指定有形文化財
17世紀前半
(一財)沖縄美ら島財団所蔵

琉球王国の繫栄を物語る美術工芸品の数々!! ぜひ会場でご鑑賞ください。

【開催要項】
沖縄美ら島財団 企画展 首里城美術工芸品の現状とこれから
会場:沖縄県立博物館・美術館 企画展示室
住所:那覇市おもろまち3-1-1
電話:098・941・8200(代表)
開館時間:9時から18時まで、金・土曜日は20時まで(入館は閉館30分前まで)
休館日:月曜日
料金:無料
公式サイト:https://okimu.jp/
アクセス:公式サイト参照

取材・文/池田充枝

 

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