取材・文/池田充枝

歌川広重(1797-1858)は江戸の定火消同心、安藤家に生まれ、13歳で両親に先立たれて家督を継ぎました。しかし、15歳で歌川豊広へ入門、歌川広重の画名を許され、22歳の頃までには浮世絵師として作品を発表することになりました。


《東海道五拾三次之内 蒲原 夜之雪》天保4年(1833)頃

苦節十余年、転機となったのが、実際のスケッチに基づいたという《東海道五拾三次》の大ヒットでした。晩年になっても描き続けられた彼の風景画には、雪月花の風雅と人情の機微が大胆かつ繊細に織り込まれています。

広重の初期から晩年までの画業を一望する展覧会が開かれています(2022年2月6日まで)。

《京都名所之内 嶋原出口之柳》天保5年(1834)頃

本展の見どころを広島県立美術館の学芸員、隅川明宏さんにうかがいました。

「浮世絵の名手、歌川広重は天保4年(1833)頃に《東海道五拾三次》を発表して以降、木曾街道や近江八景、京都名所、最晩年の傑作《名所江戸百景》まで各地に生きる人々の暮らしや自然の移ろいを詩情豊かに描き、日本人のみならず世界をも魅了しました。

《名所江戸百景 大はしあたけの夕立》
安政4年(1857)

本展では、旅の楽しさが思い起こされる《東海道五拾三次》などの風景画の名作を中心に、美人画や役者絵、花鳥画、戯画や同時代絵師の「雪月花」にちなんだ名品なども加えて、広重による叙情の世界を約230点で紹介します」

《三日月にみみづく》
天保前期(1830~1844)

北斎と並び世界に誇る日本のアート、広重版画をご堪能ください。

《官女図》
嘉永(1848~1854)頃

【開催要項】
大広重展-東海道五拾三次と雪月花 叙情の世界- 
会期:2021年12月17日(金)~2022年2月6日(日)
会場:広島県立美術館
住所:広島市中区上幟町2−22
電話:082・221・6246
開館時間:9時から17時まで、金曜日は19時まで(入館は閉館30分前まで)
     12月17日(金)は10時開場
休館日:年末年始(12月25日~1月1日)
https://www.hpam.jp/museum/
料金:HP参照
アクセス:HP参照

取材・文/池田充枝

 

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