本年2月、大阪に新しい美術館「大阪中之島美術館」が誕生しました。その開館記念特別展の主役はモディリアーニ。
独特の人物描写で人々を魅了するアメデオ・モディリアーニ(1884-1920)は、21歳で祖国イタリアからパリに出ます。パリでフォーヴィスムやキュビスムなどのダイナミックな芸術の潮流に出合いますが、彼はどの運動にも属さず、一貫して人物像に取り組みました。フォルムへの関心とモデルになった人物の内面的本質にこだわり続け、独自の表現様式を築きました。
大阪中之島美術館が所蔵する《髪をほどいた横たわる裸婦》をはじめ、モディリアーニ作品をまとめて紹介する展覧会が開かれています。(7月18日まで)
本展では、モディリアーニの作品とともに、モディリアーニと親交のあったキスリングやパスキンらの作品も併せて紹介します。
本展の見どころを、大阪中之島美術館の研究副主幹、小川知子さんにうかがいました。
「抒情性豊かな人物画で知られるモディリアーニは世界中で高い人気を誇る芸術家ですが、その回顧展が日本では14年ぶりに、大阪中之島美術館だけを会場に開催されます。
日本や海外で親しまれている作品も展示されますが、今回、世界初公開となる作品が特別に展示されることになりました。モディリアーニが31歳頃に描いた《少女の肖像》です。
まるで木彫りの人形のように不思議な雰囲気をもつ、どこか神秘的な人物像です。素朴で繊細、そして柔和な表現で描かれ、作品の珠玉のクオリティーは専門家が絶賛しています。
この絵を長く秘蔵していたのは、圧倒的な美貌と存在感で知られる往年のハリウッド女優、グレタ・ガルボでした。36歳で引退した後は隠遁生活を送りましたが、ガルボは美術品をコレクションして、自宅に飾って楽しんでいました。1990年に亡くなり、《少女の肖像》は遺族の手に残されました。日本の皆さまには、世界に先駆けてこの作品をご鑑賞いただきます」
何を問いかけているのか分からない不思議な表情、魅惑の作品群を会場でご鑑賞ください。
【開催要項】
開館記念特別展 モディリアーニ―愛と創作に捧げた35年―
会期:2022年4月9日(土)~7月18日(月・祝)
会場:大阪中之島美術館 5階展示室
住所:大阪市北区中之島4-3-1
電話:06・4301・7285(大阪市総合コールセンター(なにわコール))
開館時間:10時から17時まで(入館は16時30分まで)
休館日:月曜日(ただし5月2日、7月18日は開館)
料金:公式サイト参照
アクセス:公式サイト参照
取材・文/池田充枝