奈良に春を告げる東大寺の「お水取り」。籠松明に照らされた神秘的でダイナミックな行事は、例年大勢の見物客でにぎわいます。
コロナ禍の今年、感染予防の対策は取られますが、仏教上の重要な「行」なので、中止されることはありません。
この時季に合わせて、奈良国立博物館ではお水取りの歴史や伝統を紹介する恒例の展覧会が開かれています。(3月21日まで)
本展の見どころを、奈良国立博物館学芸部の担当研究員にうかがいました。
「お水取りは東大寺の二月堂でおこなわれる仏教法会で、正式には修二会(しゅにえ)といいます。法会の目的は悔過(けか)、すなわち仏の前で罪過を懺悔(さんげ)することです。現在は3月1日から14日までおこなわれ、その間、心身を清めた僧(練行衆・れんぎょうしゅう)が十一面観音の前で宝号を唱え、懺悔し、あわせて天下安穏などを祈願します。
お水取り(修二会)は、天平勝宝4年(752)に東大寺の実忠和尚(じっちゅうかしょう)が初めて十一面悔過を執行して以来、一度も絶えることなく不退(ふたい)の行法(ぎょうぼう)として勤め続けられてきました。本年、実に1270回目を迎えるお水取りには、東大寺が歩んできた長い歴史が刻み込まれています。
本展は、毎年、東大寺でお水取りがおこなわれるこの時季にあわせて開催する恒例の企画です。実際に法会で用いられた法具や、歴史と伝統を伝える絵画、古文書、出土品などを展示します。お水取り(修二会)への理解が深まる一助となれば幸いです」
天下安穏を祈るお水取り!! 今年はことに身に染みます。
【開催要項】
特別陳列 お水取り
会期:2月6日(土)~3月21日(日)
会場:奈良国立博物館
住所:奈良市登大路町50(奈良公園内)
電話:050・5542・8600(ハローダイヤル)
https://www.narahaku.go.jp/
開館時間:9時30分から17時まで(入館は閉館30分前まで)
休館日:月曜日(ただし2月8日、3月1日・8日は開館)
料金:HP参照
アクセス:HP参照
取材・文/池田充枝