マネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研(https://souken.shikigaku.jp)」が、ビジネスの最前線の問題を解説するシリーズ。今回は、新入社員を「6月病」にしないためのマネジメントについて考察します。

新入社員が研修を終え、配属され5月病を乗り越えた後に発生するとされる6月病。症状としては「集中力がなくなる」「やる気がなくなる」「気持ちが落ち込んでしまう」などで、ゴールデンウィークに「退職代行サービス」への依頼が殺到したニュースも記憶に新しいかと思います。

こうした問題を解消するために、飲み会やモチベーションを上げる1on1などで対応しがちですが、実はうまくいきません。むしろこうした問題を解決するためには、育成のステップを明確に設定し、「できた」「できていない」をハッキリさせる中で成長を実感させることが必要なのです。

本記事では、こうした6月病を避けるために必要なマネジメントを識学コンサルタントである筆者が解説します。

「6月病」はなぜ起きるか?

「6月病」や「5月病」の発生原因について、対象を新入社員に限定して整理してみましょう。「集中力がなくなる」「やる気がなくなる」「気持ちが落ち込んでしまう」といった状態になることが該当するのですが、ここで問題となるのがこうなってしまった新入社員の入社時点の状態との大きなギャップです。

就職活動時、数多ある業種の中から業種を選択し、その業種の中でも数多ある企業の中からいまの会社を選んだわけです。ということは入社当初の彼らは「気持ちが高揚している」「やる気がある」「集中して働こうと思っている」といった状態だったはずです。

いまや人によっては退職代行サービスを利用する時代です。「今日働くかどうか」すら選べるのだという前提に立つと、やる気があるから出社しているはずですし、入りたくて入ってきた会社で集中して勤務できる姿勢があったはずなのです。

だとすれば、大きく分類して理由は2つ。一つは「選ぶ会社を間違った」で、もう一つは「成長(やりがい)を実感できなかった」です。

採用した会社側の原因を整理すると、

ケース1:働く意欲のない人材を採用した
ケース2:選択のための正しい情報を提供していなかった
ケース3:育成の仕組みが機能しなかった
ケース4:成長の実感(フィードバックや評価)をさせることができなかった

の4つに整理することができます。

新入社員側のせいにしたい経営者や上司や先輩社員も多いとは思いますが、それでは来期以降も同じ失敗を繰り返すだけです。会社としてどう対応できるのか、少し深掘りしてみましょう。

ケース1:わが社で働く意欲のない人を採用した

一見すると、これは新入社員側に問題がありそうです。しかし、採用可否の決定権もあり、採用後に給与を支払う会社として「見抜けなかった」という責任が当然あるということです。「見抜けなかった」ということは「見抜こうとしていなかった」か「見抜くための仕組みが機能しなかった」ということです。

であれば、この問題の解決方法は、わが社で採用してはならない人材の基準を決めること。それで失敗すれば、その基準そのものか、「基準通りの人材かどうかをチェックする仕組み」のどちらか、もしくは両方を見直し続ける必要があります。

ケース2:選択のための正しい情報を提供していなかった

採用のミスマッチは採用する側と採用される側の認識の相違により起こります。「情報の提供自体をしていなかった」「提供した情報が誤っていた」というのは論外ですが、「情報は提供していたが、正しく伝わっていなかった」というケースが多いものです。つまり、「正しい情報を伝えたはず」では解決しないということです。

また、この場合提供される情報は採用される側が欲しているものである必要があります。

ということは、この問題の解決方法は、「採用される側に必要な情報を、伝わるように提供する」ことです。「採用される側に必要な情報」とは、「わが社とはどのような会社か」「何を大切にしているか」「何を守る必要があるか」「入社後にどのようにステップアップしていくか」などが該当し、「伝わっているかどうか」も含めて、情報に不足があったりニーズが変わったりすれば、見直し続ける必要があるということです。

ケース3:育成の仕組みが機能しなかった

育成ステップが不明確であれば、採用後のイメージが伝わらず、採用時のミスマッチが発生する可能性が高くなります。それだけでなく、育成の仕組みがなかったり不明確な状態であれば、新入社員は毎日何をしてよいかわからず、できない状態のまま時間が経過したり、できないまま業務をさせられたりすることになります。教える人によって内容が変わり、できたと思っていたことが別の人に否定される経験もすることになります。さらに、習得すべきことが不明確なため成長することが求められていることも認識できず、「今日は何をするんですか?」といった待ちの姿勢で仕事に取り組むようになってしまいます。

これでは、「成長できないのは会社や上司や先輩のせい」だと認識して、集中力もやる気も失ってしまいます。

つまり、この問題の解決方法は、育成の仕組みが段階的に組まれ、その段階に応じたカリキュラムと教材、段階をクリアしたかどうかをチェックできる仕組み(テスト、数字、提出物など)を設定することです。さらに、それらに変更点や改善の必要があれば、見直ししていくことなのです。

ケース4:成長の実感をさせることができなかった

前述の育成ステップがなければ、当然、会社や上司は成長の実感はできません。そのため、新入社員は自分で成長できているかどうかを判断せざるを得なくなり、自分が考える評価と会社や上司からの評価にズレが生じ、やる気を失い、失望して気持ちが落ちていくのです。今どこまで成長していて、この先どこまで成長したいかが認識できていなければ、成長の実感どころか成長のイメージすらできないまま働くことになります。

この問題の解決方法は、前述の明確な育成ステップを設定して小さい「できた」の経験を積ませて何ができるようになったのか、本人と本人以外の認識がズレないようにすることです。また、その後の成長イメージを持たせるために、その先のキャリアパスと評価制度が構築され、運用と改善が繰り返されている必要があります。

まとめ

それでは、重要なポイントを押さえておきます。今までの解説を読んで「そんなことわかっているけど……」「新入社員にも問題が……」「うちみたいな会社規模で……」「忙しくて無理……」といった「言い訳」が頭に浮かんだ方は要注意です。その言い訳は、毎年同じことが繰り返され、いつまでたっても新入社員が定着せず、頑張っている人に負担が集中して、悪循環から逃れられない状況を招きます。もしかすると、もうすでにそうなっているかもしれません。

そういった悪循環から抜け出すためにも、「6月病」「5月病」と呼ばれる、「入りたくて入った会社で、求められる仕事をして、給与や成長を獲得する存在」である社員が、本来なるはずのない状態に陥らないためにも、まずはあなたが自社のことを自責で認識する必要があるのです。

つまり、今まで述べたような問題の原因はすべて「責任の所在」にあるのです。採用の責任者、育成の責任者、部署の責任者、経営の責任者など、会社に存在するすべての人が自分のポジションの責任を認識すれば、新入社員にも「成長する責任がある」ということが正しく認識されるということです。

自責で認識し、必要なことから逃げずに行動(変化)しなければ、自分も環境も変わりません。

識学総研:https://souken.shikigaku.jp
株式会社識学:https://corp.shikigaku.jp/

 

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