マネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研(https://souken.shikigaku.jp)」が、ビジネスの最前線の用語や問題を解説するシリーズ。今回は、定年後のセカンドキャリアにおける人間関係の築き方について考察します。

ご存知の通り平均寿命世界一は我が国日本です。その数値は今も右肩上がりに伸び続けています。ということは「定年後」の期間はどんどん伸びています。みなさんの前にはこれからの延長を考慮すると少し長すぎるくらいの時間が残っているということです。この時間をどのように捉え活用するかによって人生の充実度は全く異なってくるでしょう。今回はこの「セカンドキャリア」を成功に導く過ごし方についてお話ししていきたいと思います。

セカンドキャリアは、その後の30年の人生を決める分岐点

現在日本の平均寿命は、男性が81.05歳、女性が87.09歳(厚生労働省発表、令和4年簡易生命表より)となっています。ということは50歳からでもまだ30年以上あります。この30年以上という期間ですが、例えば、大卒の新人が皆さんの年齢になるくらいまでの期間です。

就活生は就職活動を行います。人生を豊かなものにするため、充実した生活をするため、老後の心配をなくすためなど、人によってその目的は違いますが、入念に調べたり足を棒にして方々に出かけたりして、1年以上かけて就職先を決めていきます。彼らには知見が乏しく、自分が何者かも何に適性があるかもわからない中での活動のため、その中には無駄な動きもあるでしょうが、いずれにしても慎重に一生懸命になって時間をかけて探すのです。その後の30年のために。

これがファーストキャリアを迎えるまでに必要な儀式であるとすると、本来はみなさんがこれから迎えるセカンドキャリアのためにも、就職活動程ではないにしても相応な儀式があっても良いと思います。

日本人はこのセカンドキャリアに向けた意識が乏しいと言われます。ともすると、セカンドキャリアを迎えるという意識もないまま、ただ年齢を重ねていき、定年を迎え、会社の制度に則って受動的にセカンドキャリアに入って行かざるを得なくなっている方々が非常に多いのです。

これでは後手を踏んでしまいますから、その後も流れに身を任せるしかなくなってしまいます。一度、後手を踏み流され始めると、そのキャリアが不本意なものだったとしても簡単には抜け出せません。みなさんには就活生にはない知見はありますが、残念ながら彼らほどのエネルギーがないからです。一度入ったその流れに抗って、再度そこから主体的に活動をするということが非常に大変なのです。 セカンドキャリアの入り口は誰にも必ず訪れます。確実にそのセカンドキャリアを充実させようと考えるなら、いざその時が来た際に主体的に動ける状況になっておくことが非常に重要になってきます。

まずは、セカンドキャリアを迎える意識を醸成する

セカンドキャリアを能動的なものにするために、まずしておかなければならないことは、「セカンドキャリアを迎える」という意識を持つことです。フットワーク軽く体を動かすこともできる、多少の失敗は取り返しがつく、知見を蓄えていく、これがファーストキャリアだとすると、セカンドキャリアは全てこの逆です。フットワークは重くなる、これまで蓄えた知見を生かす場である、そして、大きな失敗は取り返しがつかなくなる、となります。ということは最初の就活よりもむしろ慎重に熱心に考えなければならないことがわかります。だからこそ意識することが必要なのです。まずはセカンドキャリアを迎える意識を醸成してください。

セカンドキャリアを支える仲間をつくる

どのようなキャリアデザインになるかは、それぞれの方々のファーストキャリアが影響します。どのキャリアがより成功に近づくか? ということはありません。元プロ野球選手が野球の指導者になるというキャリアのように、ファーストキャリアがどのようなものであったかで、セカンドキャリアの選択肢はある程度限られてくるからです。

ですから、大事なことは自らで設計したデザイン通りに進むこと。そのデザインを現実のものとすることではないでしょうか? それを実現するためにみなさんにお勧めしたいことがあります。それは「共に歩む仲間」をつくることです。何事も一人で成し遂げるのは大変です。そこに向かうことを継続することすら難しくなります。

例えば、「朝5時に起きてジョギングする」ということをお決めになられたとします。「一人で」の時と「誰かと一緒に」の時では継続していきそうなのはどちらでしょうか? 人間は自分で決めたことは簡単に自分で止められてしまうのです。ただし、人との約束は自分一人では止められませんので、続けざるを得なくなるのです。

では何を継続するのか? それは「セカンドキャリアを成功させる」という意思を継続させるということになります。自分の成功や幸せに向けた意思を持続させることであっても、仲間は必要だと考えます。「必ず幸せになる」や「必ず成功させてやる」という自分のための意思であっても、日々持ち続けることは非常に難しいことだからです。

大切な仲間の見つけ方~何らかのコミュニティに所属する

仲間の重要性についてはおわかりいただけたと思いますが、ではそのような自分の意思を継続することをサポートしてくれる仲間をどのように見つけるかです。セカンドキャリアとファーストキャリアの最も大きな違いは何でしょうか? それは所属するコミュニティが明確に存在するか否かということになります。

ファーストキャリアでは、多くの人にとって「所属する企業」がコミュニティとなります。そこに所属していると、役割が与えられ、評価をされ、ライバルや成長や成功を期待してくれる上司がおり、サービスを期待している顧客がいます。そこにいるだけで意思を持続せざるを得ない環境を得ることが出来るのです。

ところが、定年退職したあとのセカンドキャリアでは、主体的にコミュニティに入っていかないと、それら全ての意思を継続するための支えがなくなってしまいます。こうなると人は脆いです。無垢な個人が出てきてしまったりします。一度それが発露してしまうと、もはやコミュニティ内に返り咲く事は出来ず……のような状況も良く目にする光景かと思います。

そうならないためにどんなものでも良いので、何らかのコミュニティに所属しましょう。もちろん自分で作って人を集めても良いのです。大切なのは常に自らがコミュニティの一員であることです。そこで常に役割を果たし、他者から評価を受ける、ということを続けましょう。ご自分のセカンドキャリアを成功に導くために支えになってもらうことが目的ですから、それが企業であってもボランティア団体であっても地域活動の団体であっても問題はありません。そこで自身の意思を継続するための仲間を得てください。そして、その仲間にとって大きな支えになる仲間にあなたがなってあげてください。

まとめ

今回はセカンドキャリアを成功に導く為にはというテーマでお話ししてきました。

絶対に回避したいのは何もせずにただ時間に身を任せてしまうことです。それでは所属するコミュニティはなくなり、必然仲間は減少し、ずるずると時間とお金を無為に浪費するだけの文字通り「余生」になってしまいます。

セカンドキャリアは余生ではありません。ファーストキャリアと同様30年以上ある主体的に過ごすべき期間です。そう捉えて就活生が社会に出る時と同じような心持ちで準備をし、主体的に過ごそうとする意思を持つべきだと思います。

そして、しっかりその意思を持続させるために多くの仲間を持ちましょう。そういった仲間を得るためにも様々なコミュニティに積極的に入っていきましょう。その方達の仲間となり、彼らが意思を継続するための支えにもなってください。

識学総研:https://souken.shikigaku.jp
株式会社識学:https://corp.shikigaku.jp/

 

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