繊細な味わいのフィレに
香味野菜を加える
「アクアパッツア」は、イタリア・ナポリ名物の魚介の蒸し料理である。前回に引き続き、東京・南青山のイタリアンレストラン『コルテジーア』の江部敏史シェフ(51歳)に、もう一品異なるレシピのアクアパッツアを教えていただこう。
同じくカサゴを使うが、こちらは骨を外して三枚におろしたフィレ(切り身)を用いる料理である。
「一尾を丸ごと使用すると魚の旨みすべてが抽出されるので、強い味わいになります。対して、フィレのほうが繊細です。そのためプチトマトだけでなくにんにくや青唐辛子、ブラックオリーブやケッパー、イタリアンパセリも入れて、味わいに複雑さを加えていきます。丸一尾が家庭料理なら、こちらはレストランの料理といった趣になります」(江部さん)
加熱した時の皮の縮みを防ぐためカサゴのフィレには、庖丁で切り込みを入れておく。あとは一尾と同様に、素材を全部フライパンに入れて蓋ふたをし、中火で蒸し上げるだけである。
フィレにスープを回しかける
調理の最中はフィレが焦げたり、身が固くなるのを防ぐために、水が少なくなれば随時、足していく。全体に火が入ったら、様々な食材の風味や旨みが出たスープをカサゴに吸わせるように回しかけるのも肝要だ。それを行なうことで、身もふっくらと仕上がる。
香味野菜が入った、彩りも美しい一品。イタリアンパセリや青唐辛子、大蒜の芳香がカサゴの味わいと渾然一体となり、口福を呼ぶ。
【材料(2人分)】
【手順】
●コルテジーア
東京都港区南青山5-4-24 ALACROCE 地下1階
電話 03・5468・6481
営業時間 11時30分~14時30分、18時~22時(最終注文)
日曜休、月曜不定休 32席
※この記事は『サライ』2018年12月号の「魚料理大全」特集より転載しました。本文中の年齢・肩書き等は掲載時のものです(取材・文/鳥海美奈子 撮影/多賀谷敏雄)。