文/石川真禧照(自動車生活探険家)

社名は「国民の車」を意味するドイツの自動車メーカー、フォルクスワーゲン(以下、VW)。手がける車種は主に、ビートルやゴルフといった小型車とパサートなどの中型車である。そのVWが、同社の最上級車に位置づける大型車、アルテオンを発表した。

前窓から後部窓にかけての曲線美が秀逸。タイヤは写真の20インチか19インチを選べる。安全装備は、予防安全、衝突安全、二次被害防止に分けて追求し続ける同社の最新技術が採用されている。

外観はスポーツクーペを思わせる、流れるような形状の屋根が特徴だ。室内は前席・後席ともに頭上や足元の空間は充分に確保されている。車体後部の荷室も、かなりの収納力を誇る。

VWは、この最上級車を「グランドツーリングカー」と表現している。ヨーロッパ大陸などを長距離旅行するのに最適な車、という意味だ。長時間運転しても疲れない車づくりと、長旅に必要な身の回りの物を収納できる広い荷室を備えることが、グランドツーリングカーの必須条件。さらに、加速力に優れ、安全性能と燃費性能も優れていれば申し分ない。

余計な装飾を排し、洗練されたシンプルなデザインのハンドル回り。視認性に優れたデジタルメーターやタッチ操作式の大型液晶画面を備える。

高級皮革ナパレザーを採用する前席は背もたれや座面が厚く、長時間運転でも疲労を軽減する。前窓とドアの間の支柱が細く、死角は少ない。

握りやすく操作しやすいセレクトレバー。7速のセミオートマチック変速機はふたつのクラッチを併用し、素早い変速を可能にする。

後席の足元の広さは、長いホイールベースのおかげで足を組めるほどに余裕がある。屋根が車体後部まで伸びているので頭上の空間も広い。

アルテオンは、それらの条件をすべて満たすことを目指して開発されたモデルである。その実力を探るべく、北陸・金沢で試乗した。

まずは交通量の多い金沢市内を走る。手動で変速できる7速のセミオートマチック変速機と、280馬力を発揮する2Lターボエンジンとの組み合わせは、低回転域でも相性がいい。2000回転あたりから、大人3名と旅仕度を積んだ車両を力強く走らせる。

兼六園、金沢城公園、近江町市場といった金沢市内の名所を巡りながら走行性能を確かめる。4輪駆動ゆえタイヤは路面をしっかりとらえ、交差点での右左折や急なカーブでも車体はじつに安定している。

車体前面のフロントグリルの横バーがナンバープレートの位置まで広がり、迫力ある表情を備える。金沢市内の「にし茶屋街」にて。

アルテオンは古都・金沢の街並みによく似合う。流麗な造形に同車のイメージ色であるターメリックイエローを纏った美しい車体は、重要伝統的建造物が立ち並ぶ茶屋町の情緒溢れる風景に見事に溶け込む。運転席からの視界がよく、車体感覚を掴みやすいので、細い路地の多い街中でもハンドル操作がしやすく疲れない。

536Lの大容量を誇る荷室。扉は後部窓と一体で大きく開くので、荷物の出し入れが容易だ。後部座席を倒せば荷室はさらに広がる。

車体前部に横置きに
搭載された4気筒2Lガソリンエンジン。駆動力は路面状況や運転の状態を判断し、前後輪に適正配分される。

街中を走行した後、日本海沿いに北上。千里浜なぎさドライブウェイに向かう。高速道路では、2Lターボエンジンは時速100kmでも1800回転という低回転を維持している。エンジン音や振動はしっかり抑えられており、風切り音も非常に少なく、車内はじつに快適だ。

千里浜なぎさドライブウェイは、日本海に面した全長約8kmにわたる砂浜の観光道路。砂は粒が細かいが、ここでも4輪駆動のアルテオンは砂にタイヤがとられてふらつくこともなく、安心感のある走りを楽しませてくれた。これなら砂が雪に変わっても、安心してドライブを楽しめるだろう。

VWが技術の粋を結集してつくり上げた高級車は、欧州車の中でも実力派の車として認められる車に仕上がっている。

後ろ斜めから見ると、均整の取れた車体造形はより魅力的に見える。車体はトヨタのクラウンアスリートとほぼ同じサイズ。

【フォルクスワーゲン/アルテオン Rライン4モーション】
全長× 全幅× 全高:4865×1875×1435mm
ホイールベース:2835mm
車両重量:1700kg
エンジン:直列4気筒DOHCターボ/1984cc
最高出力:280PS/5600~6500rpm
最大トルク:35.7kg-m/1700~5600rpm
駆動方式:4輪駆動
燃料消費率:13.3km/l(JC08モード)
使用燃料:無鉛プレミアムガソリン 66L
ミッション:7速セミオートマチック変速機
サスペンション:前:ストラット 後:4リンク
ブレーキ形式:前・後:ベンチレーテッドディスク
乗車定員:5名
車両価格:549万円(税込み)
問い合わせ:VWカスタマーセンター 電話:0120・993・199

文/石川真禧照(自動車生活探険家)
撮影/佐藤靖彦

※この記事は『サライ』本誌2018年3月号より転載しました。

 

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