文/堀けいこ
今年5月に80歳の誕生日を迎えたロン・カーター。最も有名なジャズ・ベーシストとしての存在感は、さらに輝かしいものになっている。
1950年代後半から活動を始め、63年にはマイルス・デイヴィスのバンドに参加、黄金のクインテットと呼ばれる画期的なグループとして一時代を築く。70年以降は、自身のグループはもちろん、様々なプロジェクトに参加して精力的に演奏、常に第一線でジャズの世界を生き抜いてきた。
そうしたジャズの王道を歩みながらも、一方で、バッハなどクラシックをテーマにした楽曲やボサノバの作品なども発表、その豊かな才能とチャレンジ精神は、ファンを驚かせ続けた。重鎮、巨匠、神様、王者、等々、彼に冠する呼び名が限りなく増え続けるのも頷けるところだ。
日本にも数多くのファンがいるミスター・ベースことロン・カーターが、うれしいことに日本で祝80歳のアニバーサリー・ツアーを行ってくれる。東京では、11月27日から4夜連続でブルーノート東京に登場する。
これまでも様々な編成による多彩なステージを見せてきてくれたロン・カーター。今回も新プロジェクトを引き連れての来日だ。その選りすぐりのメンバーを紹介しよう。
もちろん、ベースはロン・カーター。
ピアノは、ケニー・バロン。1943年、フィラデルフィア生れ。10代の頃からディジー・ガレスピーのバンド等で活躍してきた重鎮だ。カーターとは60年代初頭に出会い、76年に彼のクァルテットで初代ピアニストを務めた盟友でもある。
ドラムスはビリー・ドラモンド。1959年、ヴァージニア州 ニューポート・ニューズ生まれ。ドラムスを始めたのは8歳のとき。ソニー・ロリンズやハンク・ジョーンズなど数多くのレジェンドと共演。昨年にはロン・カーター、ジャヴォン・ジャクソンとのユニット、スリーズ・カンパニーによる第一弾アルバム「We’ll Be Together Again」を発表している。
アルト・サックスはアントニオ・ハート。1968年、ボルティモア生れ。バークリー音楽大学等を経て、80年代後半から活動を本格的に開始。ディジー・ガレスピーやマッコイ・タイナー等、数々のジャズ・レジェンドと共演してきた。カーターとは、ピアノ奏者ベニー・グリーンのアルバム「Kaleidoscope」で共演している。
そして、アルト・サックスがもうひとり。ドナルド・ハリソンは1960年、ニューオリンズ生まれ。80年代初頭にアート・ブレーキー&ジャズ・メッセンジャーズの一員として脚光を浴び、その後の活躍も目覚ましい名手だ。リーダー・アルバムも数多く、「Heroes」「New York Cool」にはロン・カーターが参加している。
そう、今回はツイン・アルトサックスをフィーチャーしたクインテット編成なのだ。メンバーの顔ぶれからは、世代を超えて多くのミュージシャンから慕われているロン・カーターの人柄が感じられる。
なんとも楽しみなブルーノート東京でのステージ。演奏が白熱してくる頃には、モダン・ジャズの真髄に触れた心が、いつしか熱くなっているだろう。
【ライブスケジュール】
『ロン・カーター 80th バースデイ : クインテット featuring ケニー・バロン、アントニオ・ハート、ドナルド・ハリソン、ビリー・ドラモンド』
■開催日程:2017年11月27日(月)、28日(火)、29日(水)、30日(木)
■会場:ブルーノート東京(東京都港区南青山6-3-16 ライカビル)
※時間、料金などの詳細は下記Webサイトにてご確認ください。
http://www.bluenote.co.jp/jp/artists/ron-carter/
■予約と問合せ/電話 03-5485-0088(ブルーノート東京)
文/堀けいこ