だんだん暖かくなってきましたね。ちょうど二十四節気でいうところの「春分(しゅんぶん)」のタイミングになりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?
今回の記事では、今までの連載では触れてこなかった薬膳に関する気になる疑問をひとつひとつ取り上げ、専門家の方にお聞きしたいと思います。
まず、普段から漠然と「薬膳レストラン」というように使いますが、薬膳とはどういうものを指すのでしょうか? 医学博士の宗形先生にお聞きしました。
「薬膳は伝統医学の理論に基づいて調理される食事療法のことを指します。薬膳は大きく2つの考え方があり、健康増進のための食養(しょくよう)、病気の治療や治療補助のための食療(しょくりょう)に分かれます。また、カロリーや成分で捉える現代栄養学とは異なり、食材の味、食材の性、作用部位、食材全体としての効能を重視します。
薬膳は現代の栄養学とはどういったところが異なるのでしょうか?
「現代栄養学と薬膳を比べた場合の一番の大きな違いは、前者が万人に対して共通の尺度で栄養素やメニューを提示するのに対し、後者は個別的に食材を選択したりメニューを組み立てたりする点です。よって、栄養学では環境や個々人の体質をあまり重視せず年間通じてすべての人に共通な提案を行うことに比べ、薬膳では環境や個々人の体質を非常に重視し、季節や体質に応じた提案を行うという特色があります。