名作オペラには文豪の作品を原作にしたものが数多くあるが、オペラ化された作品が多い文豪といえば、やはり、ウイリアム・シェイクスピアだろう。
中でも有名なのが、19世紀の半ば、ワーグナーとともにオペラ界を支配した巨人ヴェルディによる「オテロ」だ。
シェイクスピアの四大悲劇のひとつである「オテロ」は、ムーア人の英雄オテロが嫉妬という恐ろしい罠にかかり、最後には最愛の妻のデズモーナを殺してしまうという戯曲。英雄オテロの栄光からの転落、破滅を描いた悲劇だ。
ヴェルディは、「人間精神に深く迫っている」とシェイクスピアを尊敬し、「ファルスタッフ」(原作「ウィンザーの陽気な女房たち」)や「マクベス」などもオペラ作品として手がけている。
そんなヴェルディが晩年の7年をかけて作曲したのが「オテロ」。イタリア・オペラの最高峰に立つこの傑作が、4月、新国立劇場オペラパレスで上演される。
難役といわれるオテロを演じるのは、ドラマチックな歌唱で知られるカルロ・ヴェントレ。妻のデズデーモナを演じるセレーナ・ファルノッキアは、「ファルスタッフ」や「ドン・カルロ」で新国立劇場に出演して多くの日本のオペラ・ファンの心を掴んだ名ソプラノだ。
そしてオテロの嫉妬心をあおるイアーゴ役には、伸びのある声でヴェルディを中心としたレパートリーを世界の主要な歌劇場で披露する、ブルガリア出身のウラディミール・ストヤノフが扮する。
指揮はイタリア・オペラの名匠パオロ・カリニャーニ。新国立劇場には、2013年にヴェルディの出世作「ナブッコ」を指揮して以来の待望の登場だ。
世界の第一線で活躍するヴェルディ歌手が繰り広げるオペラを、さらに圧巻の音楽ドラマに押し上げるのが、物語の舞台をヴェネツィアに移したマリオ・マルトーネの演出。なによりの見ものが舞台上に50トンもの水を引き入れてつくられる運河で、嫉妬、陰謀、疑心、妄想と、目まぐるしく展開する心理劇を水面の表情の変化で幻想的に視覚化。ヴェネツィアの運河にオテロの心が投影され、観客の心を強く惹きつける。いつまでも記憶に残る舞台となるにちがいない。
オペラ・ファン垂涎のキャストが繰り広げるシェイクスピアの名作。オペラ入門者にこそ体感していただきたいステージだ。
※上記の舞台写真はいずれも過去の公演のもので、俳優や舞台は異なります。
【新国立劇場 2016/2017シーズンオペラ ヴェルディ『オテロ』[全4幕/イタリア語上演 日本語字幕付]】
公演日 2017年4月9日(日)〜12月22日(土)
会場 新国立劇場 オペラパレス/東京都渋谷区本町1-1-1
■新国立劇場オペラサイト
http://www.nntt.jac.go.jp/opera/
https://www.facebook.com/nnttopera/
■問い合わせ/電話 03・5352・9999(ボックスオフィス)
文/堀けいこ
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