ヨーロッパ南西のイベリア半島に位置するスペインとポルトガル。大航海時代に栄華を極めたこの2つの国には、優れた建築物がいくつも存在する。
今回は阪急交通社の石橋華代さんに、一度は訪ねてみたいスペインとポルトガルの名建築を3つ教えていただいた。
■1:未完成の状態を見られるのはあと数年!「サグラダ・ファミリア」(スペイン・バルセロナ)
スペイン・カタルーニャ地方出身の建築家であるアントニ・ガウディ。彼の手がけた7つの建築作品は「アントニ・ガウディの作品群」として世界遺産文化遺産に登録されている。
その作品群の中でも特に有名なのが「サグラダ・ファミリア」だ。イエス、マリア、ヨセフの聖家族に捧げる教会として1882年から建築が始まっているものの、ガウディの死後から90年以上経つも未だに完成していない。完成は2026年頃とみられており、建設中の様子を見ることはまさに今だけだ。
「サクラダ・ファミリアといえば、時間よってまるで万華鏡のように変化する美しいステンドグラスが見どころですが、もう一つの隠れたポイントがあの象徴的な塔。実は登ることが可能です。意外に知られていないことかもしれませんね」(石橋さん)
■2:美しい港町に残る大航海時代の面影「ジェロニモス修道院」(ポルトガル・リスボン)
ポルトガル初の海外進出をしたエンリケ航海王子や、インド航路を発見したヴァスコ・ダ・ガマの功績を称えて建立されたジェロニモス修道院。珊瑚や天球儀など海洋にまつわるものや、異国の動植物をモチーフにした浮き彫りが特徴的なマヌエル様式という建築様式が使われている。
この修道院はテージョ川の貴婦人とも呼ばれるベレンの塔と合わせて、「リスボンのジェロニモス修道院とベレンの塔」として世界遺産に登録されている。大航海の旅へ船出する人々を見送ったこの塔もマヌエル様式で作られている。
「真っ白な外観が印象的な修道院。マヌエル様式の最高傑作と評されるだけあり、精緻を極めた内部の装飾、回廊の美しさは圧巻です。ちなみに、このジェロニモス修道院とベレンの塔のそばにある『パスティス・デ・ベレン』というお店のエッグタルトは最高です!」(石橋さん)
■3:大学が世界遺産!?ポルトガル最古の大学「コインブラ大学」(ポルトガル・コインブラ)
ポルトガルの中部にあるコインブラ。かつて首都であったこの町には、国最古の大学である「コインブラ大学」がある。1290年にポルトガル王ディニス1世によって当初リスボンに創設されたが、1308年にコインブラへ移転し、その後も行き来を繰り返した。大学がコインブラに落ち着いたのは1537年以降のこと。それからは学問や文芸で国内外に大きな影響を与えるなど、大学は町と共に発展していった。
大学内でも目を見張るのは、バロック様式の玄関を持つジョニアナ図書館だ。30万冊にまで及ぶ蔵書と、金泥細工が施されて黄金に輝く書架がある。
「ヨーロッパでも屈指の名門大学であるコインブラ大学。黒いマントの学生が行き交い、コインブラの町をいかにも大学のお膝元らしい雰囲気にしています。学内を歩いているだけで懐かしいような楽しい気持ちにさせてくれますが、図書館に一歩足を踏み入れると、その圧倒的な広さと蔵書の量・金泥細工に思わず息をのんでしまいます」(石橋さん)
一生に一度は、ガウディのサグラダ・ファミリアを見たいと思っている方は多いだろう。もし、スペインを訪れることがあったら、ガウディが手掛けた他の建築物群はもちろん、お隣のポルトガルまで足を延ばして、建築物巡りを楽しんでみるのも面白いだろう。
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