多くの言語に、現実とは少しちがう形で、比喩や誇張して伝える表現があるようです。日本語で「死ぬほど笑った」「神対応だった」と言っても、誰もそれを文字どおりには受け取りませんね。英語も同じように、現実を膨らませて気持ちを表す表現が多くあり、会話を生き生きさせています。
さて、今回ご紹介するのは “You saved my life.”です。

“You saved my life.”の意味は?
“You saved my life.” を直訳すると、
“save” は(救う)、 “life ” は(命)で、文字どおり、
「あなたは私の命を救ってくれた」
という意味になります。
『ランダムハウス英和辞典』(小学館)には、“save a person’s life”について「命を救う」と書かれています。
けれども、実際の会話では、言葉どおりというより、もう少し柔らかく広いニュアンスで使われることがあります。では、どのようなシーンで使われるのか、みていきましょう。
“You saved my life.” には、どんな使い方がある?
ここでは、“You saved my life.” のシーン別の使い方をご紹介します。
1. 文字通りの意味(命を救う)
実際に命の危険があったときに使われます。
“The doctor saved my life.”
(あのお医者さんが命を救ってくれました。)

2. 助けてくれてありがとう(比喩的な意味)
「助かった〜!」「命の恩人!」のようなニュアンスでカジュアルに使われます。
“You brought me two umbrellas? You saved my life!”
(傘を2本持ってきてくれたの? ほんと助かる!)
3. ドラマチックな使い方
映画・小説・詩などで、深い意味で使われることがあります。「生きる意味を取り戻してくれた」「暗闇から救ってくれた」など、比喩的・精神的に救われた時に使うことができます。
“Music saved my life.”
(音楽が私を救ってくれた。)
このように、日常の中でも使うことができます。ぜひ試してみてください。
よく使われる「大げさだけど自然」な英語表現
英語にも、日本語と同じように、日常の中に少し大げさで感情豊かな表現がたくさんあります。ただし、それらの多くは深刻ではなく、どこか冗談めかして軽やかに使われるのが特徴です。
ここでは、日常会話でよく耳にする “hyperbolic expressions”(誇張表現) をいくつかご紹介します。
1. “I’m dying to 〜”
(直訳)死ぬほど〜したい
意味:ものすごく〜したい
よく使われるカジュアルな言い回しです。
“I’m dying to see that movie.”
(その映画、早く観たくてたまらない。)
2. “ I’m starving.”
(直訳)飢え死にしそう
意味:お腹ペコペコ!
大人も子どもも日常で使います。
“Let’s get lunch. I’m starving!”
(昼ごはん行こう。お腹すいた〜!)
3. “I’m freezing.”
(直訳)凍えてる
意味:めちゃくちゃ寒い
とても寒いときに、少し大げさに使われる定番表現です。
“Can we close the window? I’m freezing!”
(窓閉めようよ、寒すぎる!)
4. “I literally can’t.”
(直訳)文字通り、できない
意味:(驚きや感情で)もうムリ、できない!
少しドラマチックですが、親しい間柄でよく使われます。若者の間でよく使われる表現です。
“Did you see that Korean drama? I literally can’t.”
(あの韓国ドラマ見た?もう[感情があふれて]無理。)
5. It was insane! / That’s crazy!”
(直訳)狂ってる
意味:すごい!やばい!(良い意味でも悪い意味でも)
最近ではマイルドなニュアンスになり、「最高だった」「信じられないほどすごい」などという意味でよく使われます。
“That concert was insane!”
(あのライブ、最高だった!)

最後に
誇張表現は、どんな言語にも見られます。たとえば最近の日本語の「死ぬほど」「神対応」といった言葉にも、事実を超えて気持ちを伝えたいという思いが込められているように感じます。
アメリカの詩人ウォルト・ホイットマン(Walt Whitman, 1819–1892)は、しばしば「アメリカ詩の父」と呼ばれました。代表作『草の葉“Leaves of Grass”』の中に、こんな一節があります。
“I am large, I contain multitudes.”
出典: Leaves of Grass: Unabridged Deathbed Edition with 400 Poems, SeaWolf Press, 2023
(私は広大で、中にたくさんの世界が息づいている。)
この一節は誇張されているように聞こえますが、その中には、複雑さや、矛盾を抱えながら生きる人間の奥深さが垣間見えるように感じます。
人間らしさとは、いろんな気持ちを抱えて、それでも誰かに思いを伝えようとすることなのかもしれません。
次回もお楽しみに。
●構成/京都メディアライン・https://kyotomedialine.com
          
        
                              
                              
                              
                              
                              
                              
                                    
                                    
                                    
                                    
                                    
            
                      
                      
                      
                      
        
                  
                  
                  
                  
                  









