英語を学びなおす際、どこから始めたらよいかわからず、難しさを感じることがあるかもしれません。そんな時、映画や音楽、旅などを通して、心に響くフレーズや表現に触れてみるのはいかがでしょう。映画のセリフを真似してみたり、お気に入りの歌を歌ってみたり、旅行先で実際に使ってみることで、学ぶきっかけになるかもしれません。
さて、今回ご紹介するのは “It’s not rocket science.” です。

目次
“It’s not rocket science.” の意味は?
“rocket science” の由来は?
“rocket science” はむずかしい?
最後に
“It’s not rocket science.” の意味は?
“It’s not rocket science.” を直訳すると、“rocket ” は「ロケット」、“science” は「科学」で「ロケット科学ではない。」ですが……、そこから転じて、通例否定文で 、
正解は……
「難しくないよ」という意味になります。
『ランダムハウス英和辞典』(小学館)には、“be not rocket science” について「((略式))〈事が〉難しくない」と書かれています。
“rocket science” には、「難しいこと、複雑なこと」という意味があります。会話フレーズではそこに “not”が加わり、 “It’s not rocket science.” 「難しくないよ。」という意味で使われます。
たとえば、
“It’s not rocket science to take the subway in Tokyo.”
(東京で地下鉄に乗るのはそんなに難しくないよ。)
“Cooking a Japanese omelette isn’t rocket science. You just need eggs, some soup stock, and some soy sauce.”
(だし巻き卵を作るのは難しくありませんよ。必要なのは卵と出汁と醤油だけです。)
A: “I want to create a website for my shop, but I don’t know how.”
(お店のホームページを作りたいけれど、どうすればいいかわからないんです。)
B:“No problem. It’s not rocket science.”
(大丈夫。そんなに難しいことじゃないよ。)
“rocket science” の由来は?
“rocket” という言葉は、もともとラテン語の “rocceta” に由来し、「小さな杖」や「小さな棒」の意味でした。宇宙に打ち上げられたロケットの形が、機織りやミシンで用いる「糸巻き」に似ていたことからこのことばが使われるようになったそうです。

一方で、“science” の起源は、ラテン語の “scio” (知る)です。19世紀中頃から、現在の「科学」に近い意味で使われるようになりました。科学は「知る」こととは、なるほど腑に落ちますね。
“science” にはいろんな意味があります。
〔自然現象を研究する〕自然科学
〔特定の学問分野の〕科学。通常、“social science” のように複合語で使われる。
〔体系的な〕技術や方法
また、関連する表現も多岐にわたります。
たとえば、
“economic science” (経済学)
“domestic science” (家政学)
“life sciences” (生命科学)
“science fiction” (空想科学小説)
“the science of self-defense” (護身術)
など。
“science” という言葉の広がりと深さを感じます。
“rocket science” はむずかしい?
JAXA(宇宙航空研究開発機構)が発行する機関紙に「JAXA’s」があります。その中で、宇宙飛行士が選抜されてから認定を受けるまでの道のりが紹介されていました。候補者たちは、約一年半の間「基礎訓練」と呼ばれるプログラムを受け、一人前の宇宙飛行士になるために準備します。

宇宙飛行士に選抜されたというからには、すでに相当の能力が備わっているように思いますが、実際にはその時点で必要な知識や技術はまだ十分でないそうです。そのため、候補者が確実に成長し、宇宙飛行士としての基盤を築けるように訓練が設計されています。
興味深いのは、基礎の重要性です。宇宙飛行士になってからも訓練は続きますが、初心者として学べる機会は最初だけ。実際、宇宙飛行士として活動を始めると、メディア対応など、意見を積極的に発信する場が増え、訓練の改善案の提案なども求められるため、この一年半の間に基礎をしっかり身につけることが将来の活動の土台となります。
「JAXA’s」では、訓練を重ねるうちに候補者たちが「宇宙飛行士としての自覚」を深めていく様子がわかりやすく描かれていました。顔つきや言動が変化し、次第にその使命を背負う存在へと成長していく。最初から完璧な能力があるのではなく、多くのサポート、地道な努力と訓練を積み重ねて成長していく―そのプロセスから真摯な姿勢と情熱が伝わり、宇宙飛行士のみなさんの姿に深く感銘を受けました。
最後に
“It’s not rocket science.”(難しくないよ。)
とはいえ、実際に宇宙飛行士になるには、大変な努力と忍耐が必要だと思います。同じことはできなくても、それぞれの “rocket science” に少し踏み出してチャレンジしてみると、いつかだれかに、“It’s not rocket science.” と言える、おもしろい未来が待っているかもしれませんね。
次回もお楽しみに。
●構成/京都メディアライン・https://kyotomedialine.com
