最近では、スマートフォンやタブレットで本を読む人もずいぶん増えてきたように思います。けれども、書店や図書館を訪れ、本を手に取って表紙を眺めたり、目次やあとがきを読んだり、紙の質感や印刷の匂いを感じたりする、そんなひとときもまた、静かに心を満たしてくれる、かけがえのない時間なのではないでしょうか。

さて、今回ご紹介するフレーズは、“We are on the same page.”です。

目次
“We are on the same page.”の意味は?
“on the same page” はどこからきた?
「同じ考え」の他の英語表現
本とページ
最後に

“We are on the same page.”の意味は?

この表現を直訳すると、“on” は「〜の上に」、そして “page” は「(本などの)ページ」という意味になりますが、そこから転じて、

正解は…
「私たちは同じ考えです。」

という意味になります。

「共通の理解を持ってる。認識が一致している。」という ニュアンスがあり、ビジネスシーンや日常会話などでもよく使われるフレーズです。

『プログレッシブ英和中辞典』(小学館)では、“on the same page”について「((特に米略式))〈複数の人・組織が〉同じ目標をもった.」と紹介されています。

例えば、

“I’m glad we’re finally on the same page about the issue.”
(その件について、ようやく意見が一致してよかったです。)

“We need to make sure everyone is on the same page before starting a project.”
(プロジェクトを始める前に、みんなの認識を一致させておく必要がありますね。)

などのように使います。

“on the same page” はどこからきた?

この “on the same page” という言い回しには、いくつかの語源がありますが、音楽に由来しているという説が有力なようです。

大人数で演奏したり歌うとき、みんなで「同じ楽譜」を見ながら音を合わせます。この「ページを共有しながら、調和を保って演奏する」光景が、やがて日常にも使われるようになり、「同じ認識を持っている」また「方向性が揃っている」といった意味合いで使われるようになりました。

この表現は、今ではビジネスや教育の場面、また日常会話でも、広く使われています。

「同じ考え」の他の英語表現

“We are on the same page.” のように、認識が一致して「同じ考えである」ことを表す英語表現はたくさんあります。ここでは、よく使われる、シンプルなフレーズを3つご紹介します。

1. I agree with you.

「あなたに同意します」という、直接的な表現です。

 相手の意見に賛成していることを、シンプルに伝えることができます。

“I completely agree with you.”
(まったく同感です。)

“I agree with what you said about teamwork.”
(チームワークについてのあなたの意見に賛成です。)

2. I’m with you.

こちらは少しカジュアルな言い方で、口語でよく使われる表現です。

「同感です」「同じ意見です」というニュアンスがあります。

“I’m with you. We definitely need a break. ”
(わかるよ、休憩が必要だね。)

“Don’t worry, I’m with you.”
(心配しないで、私はあなたの味方だよ。)

3. That’s exactly how I feel.

相手の意見や感情に対して「私もまったく同じ気持ちです」と共感する表現です。

“That’s exactly how I feel.”
(私もまさにそう思います。)

“That’s exactly how I feel about this situation. It’s really frustrating.”
(この状況については私もまったく同じ気持ちです。本当にやきもきしますよね。)

ぜひ日常会話に取り入れてくださいね。

本とページ

「ページ」“page”という言葉は、ラテン語の “pagina”(植物のつる)に由来しています。「広がるもの」や「巻物の一部」といった意味を持っていたそうです。

中世ヨーロッパでは、1ページは羊や子牛の皮から作られた羊皮紙(ヴェラム)によって生み出されました。当時、本を作る際には、金や顔料を使って、ていねいに手作業で書き写されました。小さな本で50頭以上。大きな聖書を一冊仕上げるには、100〜300頭もの羊の皮が必要だったといわれています。まさに1ページが命の重みを持っていました。

そのため、本は極めて貴重な存在であり、図書館では盗難を防ぐために鎖で机につながれていたそうです。また修道院では、修道士たちが一文字一文字に祈りを込め、何年もの歳月をかけて書き写していました。8世紀に制作されたアイルランドの聖書写本『ケルズの書 “The Book of Kells”』には、驚くほど繊細で美しい装飾が施されています。

一方で、現代の私たちは、スマートフォンやタブレット、パソコンの画面を指先で触れるだけで、何千、何万というページを自由に行き来できるようになりました。ページは今や、かつてのような重さや手触りを感じさせない、軽やかで流動的な存在となりました。

けれども、その軽やかさの奥には、歴史のなかで人々が積み重ねてきた営みがあり、私たちの「ページ」もまたつながっていると考えると、感慨深くなります。

最後に

先日、とあるプロジェクトチームと協働する機会がありました。メンバーそれぞれの事情があり、日程調整や進め方に難しさがあって、思うように前に進まず、みんなの焦りが見えました。数年かけて構想を練ってきたプロジェクトだっただけに、「もしかしたら立ち消えてしまうのではないか」と私自身もくじけそうな気持ちになりました。

けれども、話し合いを重ねるうちに、みんながこのプロジェクトに真摯に向き合い、共に取り組みたいという思いを持っていることが伝わってきました。

そんな時、アメリカ人のメンバーの一人が言いました。

“See? After all, we are on the same page.”
(だから言ったでしょ? 結局、私たちは、わかり合えてるんですよ。)

その言葉を聞いた瞬間、私はふっと肩の力が抜けて、うれしくなりました。異なる立場や背景を持つ人どうしが、互いを理解し合い、ひとつの目的に向かって歩んでいくことは、決してたやすいことではありません。だからこそ、たとえ時間がかかっても、「同じ思いを共有できている」と実感できたとき、私たちは喜びを感じるのだと思います。

意見がぶつかることもあれば、共感し合えることもある。そんな日々のやりとりを重ねていくなかで、「私たちは同じページにいる」と感じられる瞬間が訪れたとしたら、それはかけがえのないものかもしれませんね。

次回もお楽しみに!

●執筆/池上カノ

日々の暮らしやアートなどをトピックとして取り上げ、 対話やコンテンツに重点をおく英語学習を提案。『英語教室』主宰。  京都祇園にある建仁寺塔頭両足院をベースに、ひとつのテーマについて英語で語りあう『うごく哲学』を対面とオンラインで定期開催。その他、他言語を通して、それぞれが自分と出会っていく楽しさや喜びを体感できるワークショップやイベントを多数企画。
インスタグラム

●構成/京都メディアライン・https://kyotomedialine.com

 

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