
日本人の約8割が「疲れている」と回答するなど、疲労は現代的な“国民病”と言われます。仕事や人間関係のストレス、運動や睡眠の不足、スマートフォンへの依存など、様々な原因が指摘されますが、医学的に間違った「食事のあり方」を問題視するのが牧田善二医師です。新著『疲れない体をつくるための最高の食事術』が話題の牧田医師が解説します。
解説 牧田善二(まきたぜんじ)さん(糖尿病・アンチエイジング専門医)

調理に活用。酢の力でAGEを減らす
「黒酢ドリンク」など、酢を使った飲み物を見かける機会が増えました。多くの人にとって、酢には健康的なイメージがあるようです。
私も、酢は良い食材として積極的に摂っていますが、よく言われているように「アミノ酸が多いから」という理由ではありません。
酢を上手に使うとAGEを減らすことができるからです。
慢性疲労の原因ともなる悪性物質のAGEは、ブドウ糖がタンパク質と結合することでつくられます。ただ、酸性の状態ではその結合が起きにくいことがわかっているのです。
このことから、肉や魚などを調理するときに酢を使うのは賢い方法と言えます。
酢で下味をつけたり、煮たり炒めたりするときの調味料として用いたりすれば、酸性に傾いてAGEの産生をおよそ半分くらいに抑えることができます。
酢は、こうして調理に使うのが一番です。
健康に良さそうだからと酢を飲んでいる人もいますが、あまりおすすめできません。
酢を充分に希釈しないで飲めば、強い酸性であるがゆえに食道や胃の粘膜を荒らしてしまうからです。
また、いかにも健康的な印象の黒酢ドリンクも、市販のものは飲みやすくするために余計な甘味料が入っています。
疲労回復に良いと思って飲んでいたら、血糖値の乱高下を起こしてかえって疲れを溜め込んだ、ということにもなりかねません。
一口に酢と言っても、米酢、バルサミコ酢、リンゴ酢などいろいろあるので、料理内容によって使い分けるのもいいでしょう。
ただ、いずれにしても、できるだけ余計な添加物が入っていないものを選ぶようにしてください。
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世界最新の医学的データと20年の臨床経験から考案『疲れない体をつくる最高の食事術』
現代人の疲れは過労やストレスではなく、「食」にこそ大きな原因がある。誤った知識に基づく食事は慢性疲労ばかりか、肥満や老化、病気をも呼び込む。健康長寿にも繋がる「ミラクルフード」の数々を、最新医学データや臨床経験を交えながら、具体的かつ平易に解説している。

牧田善二/著 四六判208ページ 小学館刊 1650円(税込)
