「あれ? なんて漢字だったっけ」と悩むことが多くなっていませんか? 少しだけ思い出す努⼒をしてみるものの、結局は「まあ、いいか」と諦めることもあったりして、記憶の衰えを実感することもあるのではないでしょうか? しかし、思い出すことが記憶⼒の鍛錬につながるといわれています。

「脳トレ漢字」今回は「猛者」をご紹介します。意味を想像しながら漢字への造詣を深めてみてください。

「猛者」は何と読む?  

「猛者」の読み方をご存じでしょうか?  

正解は……
「もさ」です。

「もうざ」や「もうしゃ」とも読みますが、「もさ」と読むのが一般的です。

『小学館デジタル大辞泉』では「力のすぐれた勇猛な人。荒っぽい人」とあります。

ここで一つ、注意したいのが「もうじゃ」という読み方です。こちらは「亡者」と書き、死者や亡霊、あるいは物事に異常に執着する人を指す言葉。意味が全く異なってしまいます。

「猛」という字の音読みが「もう」であるため、つい混同してしまいがちですね。言葉の響きは似ていても、意味は天と地ほど違いますので、気をつけたいところです。

「猛者」の由来

まず「猛」という字に注目してみましょう。この字は、けものへん「犭」と、「孟」という字から成り立っています。けものへんは、犬や猫、獅子など、動物に関する漢字に用いられる部首です。「孟」は、兄弟の中での長男や、かしら、一番上という意味を持ちます。

つまり、動物の中でも長となるような、力強く、荒々しい獣、といった意味合いが「猛」という漢字には込められているのです。「猛虎」や「猛獣」といった言葉を思い浮かべると、納得がいきますね。

そして「者」は、人を表す漢字です。

この二つを合わせることで、「猛獣のように強く、勇ましい人」という意味になるのです。古くは、戦国時代の武将や、屈強な侍など、戦場で比類なき強さを誇る英雄たちを指す言葉として使われていました。

現代に生きる「猛者」たち

筆頭はスポーツ選手でしょう。厳しい鍛錬を乗り越え、大舞台で驚異的な記録を打ち立てるアスリートたちの姿は、まさに現代の「猛者」そのものです。また、ビジネスの世界で、誰もが不可能と思うような事業を成功させる起業家や、困難な交渉をまとめ上げる経営者なども、そう呼ぶにふさわしいかもしれません。

さらに興味深いのは、近年、eスポーツやゲームの世界でも「猛者」という言葉が頻繁に使われるようになったことです。卓越した技術と戦略で、オンラインの対戦を勝ち抜いていくトッププレイヤーたち。彼らが戦うフィールドはデジタルの世界ですが、その集中力や探究心は、かつての武将たちにも通じるものがあるのではないでしょうか。

***

いかがでしたか? 今回の「猛者」のご紹介は皆様の漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 「猛者」という言葉には、ただの強者ではなく、経験と勇気に裏打ちされた「本物の強さ」が込められているのです。

来週もお楽しみに。

●執筆/武田さゆり

武田さゆり

国家資格キャリアコンサルタント。中学高校国語科教諭、学校図書館司書教諭。現役教員の傍ら、子どもたちが自分らしく生きるためのキャリア教育推進活動を行う。趣味はテニスと読書。

●構成/京都メディアライン・https://kyotomedialine.com

 

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