マネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研(https://souken.shikigaku.jp)」が、ビジネスの最前線の問題を考察するシリーズ。今回は、新入社員への接し方について解説します。
新入社員には、目標を立てずにまずは仕事に慣れてもらおうと考える会社も多いことでしょう。しかし、目標を設定されない新入社員は、目標がないことで「ここでは成長できないのではないか?」と悩んでしまったり、後に目標を設定されると目標そのものに嫌気がさしてしまったりすることもあります。では、新入社員にはどのように接するのが正しいのか、多くの人が迷い悩んでいるのが事実です。この記事では、新入社員に対してどう接するべきかを説明します。
目標管理を導入するうえで欠かせない「新入社員向けのマインドセット」とは?
新入社員のマインドセットで一番大事なことは、主語を明確にした会話を心掛けることです。
すべての新入社員は期待と不安の様々な感情をもって入社してきます。そして、多くの場合は、目標管理の導入を阻害する意識をもっているのです。それは「自分は会社を選んだ側」であるという意識です。もちろん、ある意味では間違ってはいません。就活生として複数社から会社を選びました。ところが、入社をしてからもこのような意識を持ち続けてしまうと、組織とのズレが発生していってしまうのです。
それは、入社してなお、意識上自分が「選べる立場」だという誤解です。
「選べる」は「自分が会社を評価できる」という誤解へとつながっていきます。ところが、実際は、新入社員も会社のルールを守り、目標を達成していくことを求められます。だから、新入社員ほど、主語に注意して会話をする必要があります。
例えば、新人研修。一般的な新人研修は、初めて入社して会社のことを知ってもらうこと、なじんでもらうことを目的としています。すると研修担当者も「研修はどうだったか?」と感想を尋ねる傾向にあります。ですが、本当にこれは正しいのでしょうか?
「研修はどうだったか?」に対する質問回答主は新入社員です。すると、研修の感想を聞いている時点で、その研修の評価者が新入社員になります。小さなことですが、特に新入社員時代はこうした些細な主語のズレの繰り返しが新入社員の生きづらさを助長します。
自分が会社を評価できると考えている新入社員は、結果として損をします。自分の考えや価値観というフィルターで常に見ることで仕事を選んだり、会社や上司を評価したりして行動を鈍らせます。長い目で見るとスタートで自分事として素直に行動していく人では差が出てきます。
一方、素直に行動している人は何が違うのか。まずは入社したという事実を受け入れています。いち早く会社で貢献できる人になるためには何が必要かを考え行動します。つまり、意識を変えることが出来ているのです。
学生と社会人のマインドチェンジから始まります。優秀な新入社員は何を求められているのか、その中で自分がどう行動していくべきかを見て行動します。残念ながら言われなくても成長する新入社員はわずかです。
新入社員に必要なマインドチェンジの第一歩
新入社員のマインドチェンジを促すためには、常に主語を意識させることが大切です。
・「会社が言っていることは納得がいかない、間違っている」
・「上司が教えてくれないから」
・「他の会社では〇〇だけど、うちの会社は…」
上司の方にとっては耳の痛い会話ではないでしょうか。こんな会話が飛び交ってしまうのも、先述の「評価者のズレ」からきています。
ところが実際は、会社の方針や環境を変えることはできません。変えることが出来ないことに対して批判等をしたところで何も変わりません。変えられるのは、新入社員自身です。
まずは、入社したという事実に目を向け、どのような環境でどのように行動することが正しいかを見極める必要があります。入社した事実を伝え、何が出来るようにならなければならないか、まずは学ぶことから始め競争環境にあることを伝える必要があります。
競争環境というのは比較されるという事実です。今まで選ぶことで日常生活も含めて常に比較してきたはずですが、自分が比較されることに慣れない人がいます。会社は社会や市場で常に比較されますので、社内でも比較されます。
だれに仕事を任せるか、上司が比較しているのが実際です。その事実に目を向けることが重要であるので、新入社員には比較される立場になったことを認識してもらい、そのためにどうしていくのか自分で選択してもらう必要があるのです。
新入社員こそ結果で管理する
いち早く結果で比較されることを認識してもらう必要があります。
というのも、会社が株主や市場から数字で評価される以上、結果として従業員自体も結果で管理されるという根本原則を知っておかないと、入社した会社ではもちろんのこと、転職する際にも苦労するからです。実際、転職などで見られる項目は実績などの定量項目です。前社では頑張りました、前社ではモチベーションをもって一生懸命にやりました、では選ばれる人材にはなれません。
ところが、上司(評価者)は、若手ほど「頑張った」という項目や、「モチベーションを持って取り組んだ」といったような定性項目で評価してしまいがちです。
そうなれば、新入社員は何をするか。がんばりをアピールします。結果が出なくても言い訳をして逃れようとします。これが大きな問題です。成長しません。
本来、新入社員に一番求められることは「失敗して成長する」ことです。失敗して成長をするということは、失敗の原因を特定し、成功までの道のりを埋めていくという作業ができることです。ここで言い訳をさせてしまっては、本来は成長できるはずだった新入社員(部下)の未来を奪うことにもなりかねません。
つまり、比較することです。上司が比較しなければ、新入社員は自分のことを比較できません。いち早く新入社員に認識してもらうために、また成長のためにも結果で管理する必要があります。
結果とは事実です。事実は変わりません。しかし、がんばりは人による解釈が入ります。その解釈により自分は悪くない、会社や上司が悪い、環境が悪いと自分事として捉えることが出来なくなります。
最初から厳しくすると辞めてしまうのではないかと考える人がいますが、不必要に優しく接すると結果を出せない人にしてしまいます。そういう社員はいつまでも成長できず、ゆくゆくは辞めてしまうことが多いでしょう。また、転職先でも大成するのは難しいので、誰のためにもなりません。
新入社員こそ、比較される環境に身をおかせ、結果で管理することで、自分の行動に責任を持たせることが、本当に必要な事ではないでしょうか。
今の時代と合わないと思うかもしれませんが、新入社員が何年か後に活躍していることが、本当の会社の利益になるのではないでしょうか。もちろん成長した新入社員は自分にとっての利益になります。
まとめ
今回は、新入社員への接し方について解説しました。生涯一つの会社にいる時代ではなくなってきた今、自分が成長できる環境を求める人は増えています。そのような環境にあなたの会社はなっているでしょうか。「結果管理」とは事実で管理することです。事実から目を背けない環境をつくり、新入社員を成長させることが大切です。
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