ストレスのイメージ写真

マネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研(https://souken.shikigaku.jp)」が、ビジネスの最前線の問題を解説するシリーズ。今回は、管理職がストレスをため込まないための仕事術について考察します。

リーダーにとって仕事上のストレスと言えば、組織内(特に上司部下間)の人間関係のストレスが大きいのではないでしょうか? リーダーが部下に気遣いや配慮を行うこと、リーダーと部下の間でコミュニケーションの活性化は図ることは上司部下の良好な人間関係を構築するためには時に効果的です。一方で、誤った気遣いや配慮、コミュニケーションの取り方によっては反対に不要なストレスをためることがあります。この記事では、仕事のパフォーマンスを下げることになる人間関係のストレスをためないためのポイントを解説します。

ストレスには2種類ある

仕事上のストレスには2種類のストレスがあります。1つ目は「成長のためのストレス」であり、2つ目は不要な気遣いやコミュニケーションなどから生まれる「不要なストレス」です。

働く以上、ストレスは必ず発生します。そして、そのストレスは決して一概に悪いとはいえません。なぜなら、成果を上げるには何らかのストレスがかかってしまうものだからです。例えば、筋肉を増やそうと思えば筋トレで筋肉に負荷(ストレス)を与える必要があります。これと同様、仕事には成果を達成するために努力する、今までとはやり方を変えるといった負荷が必要なのです。これを「成長のためのストレス」と定義しましょう。

一方で、「不要なストレス」もあります。それは、不必要なコミュニケーションから生まれるストレスのことです。例えば、上司の顔色をついつい窺ってしまうケースや、怒鳴られると思ってしまい、提出物を出すだけの動作に30分以上かかってしまうようなケースが該当します。

仕事上で無駄なストレスを溜めないためには、こうした不必要なコミュニケーションを排除していかなければいけません。

不要なストレスを減らすには

不必要なコミュニケーションが発生する原因は、お互いの価値観の相違によるコミュニケーションや衝突です。上司と部下や部下同士でも、その人特有の価値観や考え方が存在します。例えば、「完成」の定義が上司と部下でズレており、怒られてしまうケースはよく見られるのではないでしょうか。何をもって「完成」とするのかが暗黙の了解になってしまうと、ストレスは増幅します。

こうした「共通認識が無い状態」でコミュニケーションを取れば、お互いの価値観がぶつかりストレスの発生要因となります。不要なストレスを減らすにはお互いの価値観の衝突が起きない環境でコミュニケーションを取ることが必要です。

そのために必要なことは仕事上のルールや指示、目標設定において共通認識を作ることです。例えば、「完成の定義」でいえば、誤字脱字がない状態にするなど、明確にすることが大切です。

上司がやってはいけないこと

共通認識がないなら、皆がルールをなしにしてやれば楽なのではないかと思う方もいるかもしれません。ですが、組織のなかでは、特に上司という立場においては、おいそれとすべてを承認してはいけません。

例えば、部下の多様性や自分らしさを尊重するということ。一見、正しいマネージャーの行動の様に感じますが、この行為は反対に、上司や部下の不要なストレスを大きくさせることもあります。なぜなら、部下の個々の価値観を認めることはチームの価値観を希薄化させることにつながるからです。もともと異なる部下それぞれの価値観を優先すれば、チームがまとまるはずがありません。

また、上司が暗黙の承認をしていても、個々の部下がそれぞれの価値観を優先して行動すれば、それぞれの価値観を調整するためのコミュケーションや衝突が起こり、生産性を下げることになる人間関係のストレスが発生します。部下が複数いる場合は部下間にも混乱が起き、さらに複雑なストレスとなっていくでしょう。

上司のストレスが減ると部下のストレスも減る

会社という組織は仕事上の関係である以上、個々の価値観を優先するための組織ではなく、会社の価値観を優先する必要があります。リーダーは会社の価値観を部下に共有し、その価値観に合わせてもらう必要があるのです。そのためには会社の価値観に従ったルールや指示、目標を明確に設定して、その設定に合った行為を行っているかをチェックしたり、目標に到達させるために管理したりすることがリーダーの行うべきマネジメントです。 つまり、会社の価値観の範囲や方向に合わせて、部下の多様性や自分らしさを反映した行動を起こしてもらう必要があるのです。

また、不必要なコミュニケーションが原因となっているリーダーのストレスが減ることで部下のストレスも減っていきます。不必要なコミュニケーションによるストレスが減ると、仕事に対する集中力が上がり、仕事の成果が上がります。上司と部下のストレスが減ることはチーム全体の集中力が高まり、チームの成果につながります。

えこひいきは不要なストレスを生み出す

上司と部下が仕事上の関係を継続していく中で、公私ともに特別な関係になることはあります。しかし、仕事中は仕事の関係が優先されることを忘れてはいけません。決してプライベートの関係を仕事に持ち込んではいけません。公私の関係を区別できない場合、当事者以外に不要なストレスが発生します。当事者以外の人が不平等さやえこひいきなどの不満を感じることになり、チームのパフォーマンスを下げる要因になります。

まとめ

今回は管理職がストレスをため込まないための仕事術について解説しました。ストレスには必要なストレスと不要なストレスがあります。仕事の生産性を下げる不要なストレスをためこまない仕事術として必要なポイントは以下の5つです。

1.不要なストレスだけを排除する
2.共通認識を作りコミュニケーションを取る
3.部下の多様性や自分らしさを尊重しすぎない
4.会社の価値観の中で部下の多様性を発揮させる
5.えこひいきをしてはいけない

時に仕事とプライベートを区別せず部下と付き合うことがお互いにとって良いと思いがちですが、公私混同は結果的に不要なストレスを生みだす危険性をお話ししました。そもそも上司も部下も仕事上の関係であるということを忘れてはいけません。つまり、仕事の成果を上げることが上司と部下の関係を良好する唯一の方法なのです。仕事の上の成果が上がらなければ、貧しい関係の慰め合いにしかならず、友達になることは出来ても仕事上の上司と部下の関係を維持することは出来ません。

識学総研:https://souken.shikigaku.jp
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