『サライ』本誌12月号の大特集は「まぐろに幸あり」。日本人の食生活に欠かせない魚である「まぐろ」に、さまざまな角度から光りをあてている。まぐろ好きなら必見の特集だ。

今回はその特集から、東京の名店で味わえる「名物まぐろ料理」を4品、ご紹介しよう。

■1:御料理 山さき(東京・神楽坂)の「ねぎま鍋」

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現代ではまぐろといえばトロ部分が人気だが、江戸時代末期に庶民の味として好まれていたのはもっぱら赤身。トロは脂肪が多く傷みも早いため、ネギとともに鍋に仕立て、油を落として賞味された。これが、江戸料理を代表する「ねぎま鍋」だ。

東京で極上のねぎま鍋が味わえるのは、神楽坂の鍋料理店『山さき』。仕入れるまぐろは冷凍の天然クロマグロで、「背トロ」と呼ばれる背中側のトロと、腹側のトロの2種を、湧いたつゆの中に葱とともに入れる。

つゆの味をまとった厚手のまぐろは、口の中でふんわりと解け、爽やかな脂の甘みがじんわりと広がる。粗く挽いた故障を添えれてみば、味と香りはさらにピリリと引き締まってくる。

「私たち店のものが鍋奉行となり、一番おいしいタイミングでお取り分けします」と話すのは、店主の山崎美香さん(51歳)。江戸情緒が残る神楽坂で、贅沢な味わいを楽しみたい。

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【御料理 山さき】
住所:東京都新宿区神楽坂4-2 福井ビル2階
Tel.03-3267-2310
営業時間:18時〜22時(入店は20時まで)
定休日:日曜、祝日
16席。要予約。

■2:日本橋 寿司金(東京・四谷)の「希少部位のにぎり」

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東京・日本橋にあった『日本橋 寿司金』から昭和46年に暖簾分けしたこの店は、まぐろに精通する鮨屋として有名。まぐろは築地の仲卸『石司(いしじ)』から仕入れている。

主人の秋山弘さん(80歳)は半世紀以上、まぐろと向き合ってきた人物。そのため赤身やトロなどはもちろんのこと、稀少部位の「すなずり」や「ひれ下」なども味わうことができる。

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すなずりとは、尾に近い腹の運動量が多い部位。細やかな筋が入り、噛みしめるごとに旨味とふくよかな香りが広がる。ひれ下は胸びれの下で、口に入れた瞬間はふんわりと柔らかいが、味わいは濃厚な赤身のようにしっとりしている。

どちらも、それぞれが魅力的。まぐろならではの、芳醇な味わいを実感できることだろう。

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【日本橋 寿司金】
住所:東京都新宿区荒木町9-15
Tel.03-3357-5050
営業時間:17時30分〜23時(土曜は〜21時)
定休日:日曜、祝日
8席。要予約。

■3:奥沢 すし 入船(東京・奥沢)の「大トロあぶり丼」

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店主の本多克己さん(75歳)が『すし 入船』を開業したのは、27歳のときのこと。以来、ほぼ毎日店に立ち、まぐろの味見を欠かさない。

築地の仲卸『やま幸(ゆき)』から、最上のクロマグロを仕入れている。まぐろ尽くしの寿司ももちろん魅力だが、この店でしか味わえないのが『大トロあぶり丼』だ。開店当初は肴として炙っていた大トロを丼に仕立てた、贅沢な逸品である。

丼に山盛りにされた大トロは、軽く火を通すことでさらりとした旨さが際立つ。そこに深みを加えるのは、青森県産のニンニクをスライスし、醤油に10日間ほど漬け込んだニンニク醤油である。

花ワサビともみ海苔が仕込んである酢飯とともに頬張れば、奥深い味わいが口いっぱいに広がっていく。

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【奥沢 すし 入船】
住所:東京都世田谷区奥沢3-31-7
Tel.03-3720-1212
営業時間:11時〜22時
無定休日
57席。要予約。

■4:MEGRO(東京・本郷)の「テールステーキ」

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まぐろと地酒を楽しめる店『MEGRO』(メグロ)の店長である高橋祐介さん(35歳)は、東京大学大学院修了後、化学企業を経てまぐろ仲卸に転職したという異例の経歴の持ち主。3年前、まぐろの旨さを広めたいとの思いから、この店を開業した。

品書きを目にしてみれば、アヒージョ、燻製、ナゲット、西京焼きなど個性的なまぐろ料理が並ぶ。どれを頼んでも満足できるが、なかでも際立っているのが、メバチマグロの尾をじっくり焼いた「MEGROテールステーキ」だ。まぐろの持つ野性的かつ繊細な風合いが活きる味で、豊富に揃った日本酒との相性も抜群。数人で分け合いながら食べるのもいい。

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【MEGRO】
住所/東京都文京区本郷2-40-13 ベルショップ本郷内
電話/03-5844-6369
営業時間/11時30分〜14時30分、17時~23時(土曜・祝日の前日は16時30分~23時、日曜・祝日は16時30分~22時)
不定休。45席。夜はなるべく予約

以上、今回は東京で味わえる「名物まぐろ料理」を4品ご紹介した。『サライ』本誌12月号は、上記のお店以外の「名店のまぐろ料理」を紹介するほか、まぐろを知って味わうための情報満載! まぐろがお好きなら、ぜひとも目を通してみてほしい。

※この記事は『サライ』2016年12月号掲載の「東西名店のまぐろ料理」記事(取材・文/関屋淳子、多田みのり 撮影/高橋昌嗣、藤田修平、小林禎弘)を元に、Web用に再構成したものです。(Web版構成/印南敦史)

【関連リンク】

※ サライ12月号の大特集は「まぐろ」!名店で味わう至福のひと皿や、まぐろ漁船の元・料理長が指南する秘伝の献立も紹介しています。

 

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