脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニア、坐骨神経痛の症状として、すねの外側に痛みやしびれが出ることがあります。
このような症状はストレッチやトレーニングで改善できる場合があります。
その方法を解説します。
脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニア、坐骨神経痛では様々な症状がおこりますが、すねの外側の痛みやしびれは比較的よくみられる症状です。
しびれは他にもすねの前側やふくらはぎに出ることもありますし、膝下全体に出たりするケースもあります。
これらの部位に症状が出ると、歩くことが非常に辛くなったり、立っているだけでも痛んだり、ひどい場合は寝ていても痛みやしびれに悩まされたりします。
いずれにしろ辛い症状に違いはありません。
痛み止めの薬や湿布などで症状が緩和すれば良いのですが、なかなか効かないことも多いのが実情です。
筆者の腰痛トレーニング研究所(https://www.re-studio.jp/)には、このような症状でお悩みの方がたくさん訪ねてこられます。
すねの外側に痛みやしびれがでる症状の場合、腓骨筋のストレッチや足のゆびの筋トレをおこなうことで改善するケースがあります。
腓骨筋とは
腓骨筋(ひこつきん)は、すねの外側にある筋肉です。
腓骨筋は細長いすじ状の筋肉で、長腓骨筋、短腓骨筋、第3腓骨筋の3つの筋肉の総称です。
歩行時や立っている時など、足や足首を動かしたり支えたりする筋肉です。
この腓骨筋が過緊張、つまりひどくこり固まってしまうと、それだけですねの外側や足首などに強い痛みをおこすことがあります。
筋肉は、過緊張をおこすと『トリガーポイント』と言われる“発痛点”ができてしまい、その周囲や離れたところにまで痛みやしびれがおこることがあります。
上の図でいうと、×印の部分が腓骨筋の『トリガーポイント』で、赤い範囲に痛みやしびれの症状があらわれます。
いかがでしょう、あなたの痛みやしびれがおこる部位と似てはいないでしょうか?
このような『トリガーポイント』が原因となる痛みを『筋筋膜性疼痛症候群』といいます。
トリガーポイントや筋筋膜性疼痛症候群は本連載ではおなじみですが、詳しくお知りになりたい方は以下のページもご覧ください。
トリガーポイントとは?(https://re-studio.jp/wp/triggerpoint/)
腓骨筋のストレッチ
すねの外側に痛みやしびれが出る場合、腓骨筋をストレッチすることで改善することができます。
以下を参考にご自身でおこなってみましょう。バスタオルなどを使用しますのでご用意ください。
自宅で出来る!腰痛トレーニングDVDより(https://re-studio.jp/wp/dvd/)
仰向けになり、バスタオルを片足(痛みのある側)のつま先あたりにかけます。
そこから膝を伸ばすようにしながら、内側に向けて傾けていきます。
内側とは、画像のように右脚をストレッチする場合は左脚方向に傾けるということです。
この時に、内側のタオルをひっぱるようにして、足首を内側に少しひねるようにすると、より腓骨筋がストレッチされます。
ふくらはぎ、すねの外側が伸びる感覚があればOKです。
適度にすねの外側の筋肉が伸びたところで止め、楽に深呼吸しながら力を抜き、30秒~1分ほど伸ばします。
終わったら脚をゆっくり戻し、反対の足も同じようにおこないます。
これを片側2~3回ずつおこなってみましょう。
はじめはかなりキツイかもしれません。痛すぎず心地よさを感じる程度がベストです。
タオルを引っ張る力加減や伸ばす角度など、適度に伸びるように調整しならおこなってみましょう。
※ご注意)痛みのためにこの姿勢ができない、またはこの姿勢をとると症状が悪化する時はやめてください。
足の指が弱ると腓骨筋に負担がかかる
すねの外側に痛みがでるもうひとつの原因として、足の指の力が弱くなっている場合があります。
普段ほとんど意識していませんが、人間の足の指はふんばって身体を支えるために非常に重要なはたらきをしています。
これは野山や斜面、凸凹の悪路などでしっかり身体を支え、歩くために進化してきたといえます。
しかし現代生活では、靴をはいて舗装されたかたい路面や床を移動することが多いため、指で踏ん張る必要がなくなっています。
そのため知らず知らずのうちに足の指の力が弱くなってしまっています。
足の指の力が弱ると足首が不安定になってしまうのですが、これをカバーするのが先ほどの腓骨筋です。
足の指が弱い分、腓骨筋で頑張って足首を支えようとするため、だんだん疲労が蓄積し、ある日限界を超えて痛みやしびれがおこる……、ということなのです。
したがって足の指の力を回復させると、腓骨筋の負担が減りますので、痛みやしびれ症状の改善につながるのです。
足の指を強くする踵上げトレーニング
足の指のトレーニングにも様々なやり方がありますが、筆者の腰痛トレーニング研究所(https://www.re-studio.jp/)では、踵上げトレーニングをおすすめしています。
次のようにおこなってみてください。
イスの背もたれや壁などを使って軽く身体を手で支えて立ちます。
脚を肩幅くらいに開き、下腹を引っ込めるようにしてお腹を締めます。
そこから踵をあげて1秒ほど止め、ゆっくり下ろす、という運動を繰り返します。
この時に特に足の指でしっかり踏ん張ることを意識します。
膝が曲がったり、姿勢が前のめりになったり、ふらついたりしないように注意してください。
踵を高く上げるとふらついてしまったり、高く上げられなかったりする場合は、踵を1cmくらいだけあげるだけでも効果があります。
これを10~30回ほど繰り返します。
※ご注意)痛みのためにこの運動ができない、またはこの運動をすると症状が悪化する時はやめてください。
まとめ
すねの外側にいたみやしびれが起こる症状は、腓骨筋のストレッチや、足の指のトレーニングをすることで症状が改善する場合があります。
ぜひ取り組んでみてください。
この記事があなたの脚の痛みを改善する一助になりましたら幸いです。
その他以下の記事で様々な腰痛・坐骨神経痛改善エクササイズをご紹介しております。
ぜひお読みください。
腰・お尻・太ももの裏|痛む部位別におこなう腰痛・坐骨神経痛改善ストレッチ【川口陽海の腰痛改善教室 第100回】(https://serai.jp/health/1096269)
これだけでOK! 背骨矯正<大の字ストレッチ>で慢性腰痛を改善【川口陽海の腰痛改善教室 第97回】(https://serai.jp/health/1089887)
3分で腰の疲れをとって腰痛を予防! 誰でも毎日できる簡単ストレッチ【川口陽海の腰痛改善教室 第88回】(https://serai.jp/health/1070834)
《狭窄症・坐骨神経痛》太もも裏の痛みやしびれを改善するストレッチ【川口陽海の腰痛改善教室 第76回】(https://serai.jp/health/1046070)
オススメの腰痛・坐骨神経痛改善ストレッチ【川口陽海の腰痛改善教室 第61回】(https://serai.jp/health/1020567)
拙著「腰痛を治したけりゃろっ骨をほぐしなさい」が、全国書店にて発売となっています。
お読みいただけると幸いです。
文・指導/川口陽海 厚生労働大臣認定鍼灸師。腰痛トレーニング研究所代表。治療家として20年以上活動、のべ1万人以上を治療。自身が椎間板へルニアと診断され18年以上腰痛坐骨神経痛に苦しんだが、様々な治療、トレーニング、心理療法などを研究し、独自の治療メソッドを確立し完治する。現在新宿区四谷にて腰痛・坐骨神経痛を専門に治療にあたっている。著書に「腰痛を治したけりゃろっ骨をほぐしなさい(発行:アスコム)」がある。
【腰痛トレーニング研究所/さくら治療院】
東京都新宿区四谷2-14-9森田屋ビル301
TEL:03-6457-8616 http://www.re-studio.jp/index.html