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春の寄せ植えは、形状や草丈違いの組み合わせがポイント

春の開幕を知らせる黄色の花色が終わりかけ、ハナズオウや、ハナモモ、トキワナンサクなどさまざまなピンク色の花木が咲き始めます。もちろん草花も多種多様なピンク色が溢れ出し、春が来たなと感じることが増える時期です。花より団子派の皆様も、桜色のお菓子に目移りする時期でもあります。多種多様な草木の色数を眺めながら、旬を味わう草花巡りを少しご紹介します。

セルリア

桜色やいろいろな濃淡のピンク色が街中に溢れてくると、春が本番になってきたなと思うことがあります。お日様の光の影響からなのか、ピンク色が一番似合う季節がきたな! と、ピンク色の花色ばかりを手元に引き寄せてしまう癖が私にはあります。花色で見るピンク色は面白く、花弁の形状によって見え方が変わってきます。花弁が多いと、ぽってりとした和菓子の練り菓子のような愛らしさを感じ、花弁が薄いピンク色は透け感があり、オーガンジーのような繊細さを感じることがあります。光沢がある花弁のピンクもあれば、金平糖の飴細工のような形状の花形まで、ピンク色といえども花形、花弁の質感や形状などの違いによって、さまざまなピンク色が楽しめるのもこの季節ならでは。ピンク色のナチュラルブーケのような寄せ植えを楽しむなら、花形の違いを楽しむ組み合わせがおすすめ。高低差を利用した植木鉢の組み合わせも素敵ですが、一つの植木鉢の中で、庭の景色を作るような寄せ植えが良いでしょう。

セイヨウオダマキ

寄せ植えの際のポイントは植物の形状違いや、草丈違いの組み合わせに注目すること。この違うもの同士を組み合わせることで、野山や庭を切り取ったようなナチュラル感溢れる寄せ植えに仕上がります。

色も形もバリエーション豊富! 春を彩るピンクの植物

気温が高くなってくると、植物の花茎がスッと伸びる植物が増えてきます。地面に近い場所で葉が茂り、花茎をすっと伸ばし、春風を楽しむように花が咲く種類のものが多く見られます。中でもアネモネは、その代表選手! 学名になったアネモネの語源は、「風に揺れる」という意味。このアネモネも、最近ではビビットなピンクの他に、シックなピンクやベビーピンクなど、色のバリエーションが増えました。八重咲き品種も加わり、連続開花する春に咲く球根植物です。花がついた状態の開花株が手に入る便利さも魅力の一つです。

アネモネ

そして、花形のバリエーションが増えているのがマーガレット。八重咲きは花弁の多さが魅力的な品種や、丁字咲きといって花芯の部分が盛り上がり、花弁が外側に開く種類のものも増えました。花色も強いピンクや、ベビーピンクなど、色幅が増えたので選ぶのに迷ってしまうのも面白いところ。

八重咲マーガレット

マーガレットは青みがかった葉色とのコントラストも楽しめるので、組み合わせの面白さも増してきます。同じような花形でバリエーションが増えたのは、オステオスペルマム。おまじないのような名前ですが、花弁が八重になったり、スプーンのような形状で咲いたり、花弁の先だけピンクのマニュキュアを塗ったような花色など、心くすぐるピンクのバリエーションを楽しめる植物です。

オステオスペルマム

同系色の寄せ植えは、葉の形や花の形を不揃いにしてプロっぽい仕上がりに

寄せ植えを同系色で上手にまとめるポイントは、葉や花の形を揃えないこと。つまり、いろいろな葉や花の形で花色だけ揃えておくと、プロっぽい仕上がりを楽しむことができます。色が散漫になりがちな春のガーデニングは、一つの色のグラデーションを楽しむような組み合わせを作っておくと、引き締まってまとまり感のある景色を作ることができます。卵形のチューリップに、おまんじゅう形のラナンキュラスを合わせたり、花弁がひらひらした感じのキンギョソウにくるみボタンのようなデージーなど、植物の品種が増える季節なので、ピンク色に絞った花合わせも迷うことなくチャレンジできます。ピンク色は、和風にも洋風にも場所を選ばず組み合わせられる花色です。普段の景色の中では選ばない花色かもしれませんが、春に出会うピンクは旬を味わうような豊かさを感じることと思います。

ピンク色の草花の寄せ植え

失敗の少ない春こそチャレンジしたいガーデニング

春は、ガーデニングにチャレンジするなら、失敗が最も少ない季節です。冒険心を抱きつつ、ガーデニングの一歩を踏み出せば、まず失敗することはないかと思います。あえて失敗する原因を挙げるとすると、原因は水やりの問題だと思います。ついうっかり……が続けば枯れてきますし、植物自体がくたびれて病気や虫の餌食になることもあります。

また、心配で水を毎日かけてしまっていたら、葉っぱが黄色く変色してきます。これは、根が空気を吸えず困っているサインです。水やりの基本は、「土が乾いたら鉢底から水が流れてくるぐらいたっぷり」が、一度の水の量になります。土が乾いたら、土の中の古い空気や病気の菌などを洗い流すようにたっぷりと水を施せば、あとは植物が頑張って花を咲かせたり、葉の数を増やしてくれます。水がかかっているようで、実はまったくかかっていないのが、花や葉に水がかかるようにするシャワー方式。花や葉っぱに水がかかって植物が喜んでいるように感じますが、実はいい迷惑。花弁が濡れたり葉が濡れると病害虫の原因になります。水は必ず土の表面にかけるようにするのが、お花の扱い上手さんへの近道です。

されど、菜種梅雨や穀雨と呼ばれる春の長雨もあります。一雨ごとに春が近づくことも、一雨ごとに草木が成長するのも、ガーデニングビギナーさんには気持ちが浮き立つシーンとなります。花が咲けば嬉しくなり、思いがけず蝶々や鳥が遊びにくる姿など、おまけが満載の春です。

ユキヤナギ(枝物)とスイートピー(ムラサキ)とノシラン(シロとミドリのストライプ)。育てるのはハードルが高いという時は花木の枝物をダイナミックに飾ってみるのもおすすめ。

植物がいろいろ動き出すこの季節は、新しいことにチャレンジするきっかけにもなります。ガーデニングも、まずはやってみなければ分からないことばかりです。いろいろなピンクに背中を押されながら、いろいろな引き出しを持っている自分に気づく春でもあります。生き物的センサーを働かせて、花も団子も楽しんではいかがでしょうか。

撮影協力/花のワルツ

杉井 志織(すぎい・しおり)
1972年生まれ、埼玉県出身。建築の専門学校を卒業後、フラワースクールで植物の生態やアレンジメント、花屋運営のノウハウなどを学ぶ。現在は、ガーデニングや花壇ボランティア運営の指導、イベント装飾、執筆活動の他、NHK『趣味の園芸』へ出演する等、各メディアで幅広く活動中。上海花卉博覧会(10th CHINA FLOWER EXPO)海外招待ガーデナー・最優秀設計賞受賞。

杉井志織さんのインタビュー記事はこちら

 

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