もはや「ご飯のおかず」という考え方だけで食してはいけない。新たな可能性を探り続け、歴史に名を残すかもしれない店とは。
美濃焼きの皿に盛られた料理を音や香りが“五感”に響く席で
車力門ちゃわんぶ(東京)
東京・新橋の『京味』といえば、惜しまれつつ閉店した京料理の名店。ここで修業した『車力門ちゃわんぶ』店主の武澤剛志さん(44歳)は、その経験をとんかつ専門店で生かしている。「テンポよく提供すること」を心掛けているという武澤さん。カウンター席に座ると、素材を切る音や香りなどが五感に響くが、それも『京味』時代に学んだ「もてなし」のひとつだ。
豚肉は米沢三元豚や山形三元豚を中心に提供し、「ナチュラルな香りや脂の甘みに惚れ込んだ」という。米油を使って揚げるのは、「豚の脂をきれいに生かしてくれるから」、揚げ方も「油が切れるよう中温に変えました」という。
最近はカレー作りにも凝り始め、とんかつ用の豚肉を挽肉にして加えて締めに提供している。
武澤さんの趣味は釣り。修業時代に魚をおろす経験も長かったので、その技術も生かし、自ら釣った魚や仕入れた魚をおろしたてで提供している。定番のアジフライは身がふっくらと揚がり、かつ前に酒とともに味わいたい逸品だ。
美濃焼の基台付きの皿に盛って料理を出すのは、「ハレの日に楽しんでほしい」という願いからだ。
東京都新宿区荒木町3-22 島ビル1階
電話:03・3356・1680
営業時間:11時〜14時(11時〜、12時〜、13時〜の3部制)、18時〜21時30分(21時最終注文)
定休日:水曜
交通:地下鉄丸ノ内線四谷三丁目駅より徒歩約4分
※この記事は『サライ』2022年5月号より転載しました。