急ぎ足の観光客だけでなく、地元の「みやこ人」たちからもこよなく愛される京都の「おうどん」。出汁や麺、具材など個性豊かなメニューの数々と、その美味しさの秘訣を紹介する。

濃厚なカレーがよく絡んで一度食べたらやみつきに

めん房 やまもと(カレーうどん)

「あげカレーうどん」780円。色めも濃いが味も濃厚。通常の出汁にザラメを加えてコクを出す。ご飯とのセットもある。
うどんは、下京区にある老舗の「田毎製麺所」製を使う。カレーとの絡みがちょうどいい。

こっくりとして濃厚、片栗粉などでとろみをつけているわけではないのに麺としっかり絡む。単に、出汁にカレー粉を溶いたものとは一線を画すのが『めん房 やまもと』のカレーうどんだ。一度食べるとこの味が忘れられなくて、わざわざ遠方から通う客もいるほどの人気ぶりだ。

出汁に薄揚げと葱ねぎを加えて煮込み、ルウやザラメで味を調える。夏場はあっさり仕上げる。

ちなみにカレーうどんの発祥は、東京・早稲田の『三朝庵』といわれている。明治時代になって洋食が台頭し、それに恐れを覚えた和食店がうどんとカレーを合体したハイカラ料理を考案したのだという。

『めん房 やまもと』の開業は昭和55年。店主・山本隆行さん(50歳)の父が、西陣の麺処で修業の後、現在の場所に自店を開いた。カレーうどんには秘伝のルウを入れ、具は薄揚げ、牛肉、ヒレカツと3種。呉服街の室町からすぐという場所柄、昼食に訪れる客に加えて出前も多く、開業時から人気の品だった。

実は新しいもの好きと評される京都人にとって、異国的な香味とコクのあるこのカレーうどんは、ひと味違う新しい味だったに違いない。

新町通と室町通の間の路地のそのまた奥という知る人ぞ知る場所にある。

京都市中京区新町通四条上ル東入ル観音堂町473
電話:075・255・0856
営業時間:11時~20時(土曜は~14時)
定休日:日曜、祝日
交通:京都市営地下鉄烏丸線四条駅、阪急京都線烏丸駅より徒歩約4分

 

取材・文/中井シノブ 撮影/高嶋克郎、竹中稔彦
※この記事は『サライ』2022年3月号別冊付録より転載しました。

 

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