急ぎ足の観光客だけでなく、地元の「みやこ人」たちからもこよなく愛される京都の「おうどん」。出汁や麺、具材など個性豊かなメニューの数々と、その美味しさの秘訣を紹介する。

早朝から営業する製麵所直営店。できたての麵は抜群ののど越し

京聖護院 早起亭うどん(きつねうどん)

「きつねうどん」600円。大きな甘ぎつねが3枚も入った食べ応えある一杯。ツルンとした打ちたての麺の瑞々しさが味の要。
4代目店主の谷口秀弥さん。前日に練り上げ寝かせたうどん玉を深夜から早朝に製麺する。

京都でもひと際風情ある街並みで知られる岡崎。春は桜並木が美しい琵琶湖疏水沿いに『京聖護院 早起亭うどん』はある。

大正13年の創業時は市場や町の食堂にうどんを卸す製麺所だった。その後、タクシー運転手や早朝まで働く人を相手に直営のうどん店を開業。早朝4時から商うこともあって、朝食に訪れる人が増え、2年前には店の前にテーブル席を増設した。

注文や受取り、返却は、客が自分で行なう。麺、出汁、甘ぎつねなどは、持ち帰り用もある。

「うちでお出しするのは、家庭でお母さんが作ってくれるうどんです。きつねや玉子とじなど簡素な味ほど食べたくなるものでしょう」と3代目店主の谷口秀弥さん(65歳)は語る。

京都では、きつねといえば細く刻んだお揚げさん(薄揚げ)を具材にするのが主流。だが、ここでは甘ぎつねと呼ばれる甘辛く炊いた大きめの揚げを3枚。蒲鉾と刻み葱が添えられ、食欲をそそる。しっかり味のついたきつねから染み出す甘みが、うどんに絡んでまた美味しい。名物の「おかあちゃんのうどん」(玉子とじ)とともに、安定の売れゆきを誇る一杯だという。

現在は麺を卸す仕事は控え、うどん店としての営業に注力している。

京都市左京区聖護院蓮華蔵町9谷口製麺所内
電話:075・761・0091
営業時間:4時~13時
定休日:水曜
交通:京阪本線神宮丸太町駅より徒歩約8分

 

取材・文/中井シノブ 撮影/高嶋克郎、竹中稔彦
※この記事は『サライ』2022年3月号別冊付録より転載しました。

 

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