今も豊かな自然が残る北海道・青森県・岩手県・秋田県には、日本列島の中でも縄文遺跡が多数分布し、価値の高い遺跡が数多く残されています。
令和3年7月27日、17遺跡からなる「北海道・北東北の縄文遺跡群」が、北東アジアにおいて長期間継続した採集・漁労・狩猟により営まれた農耕以前の人々の暮らしや、精神文化を今に伝える貴重な文化遺産として、世界遺産に登録されました。
是川石器時代遺跡の軌跡
八戸市内にある是川石器時代遺跡は、縄文時代前期から晩期(約5,900~2,400年前)まで続いた青森県内でも有数の集落跡です。この遺跡は、中居・一王寺・堀田の3遺跡の総称で、遺跡の規模は東京ドーム7個分、約37万6千平方メートルにまで及びます。
縄文の成熟した姿を伝える中居遺跡からは、植物を利用した縄文人の生活を具体的に復元できる貴重な遺構や遺物などが発見されており、特に、縄文時代晩期の弓、櫛、腕輪、籃胎漆器など、先史工芸と呼ぶべき赤漆塗りの木製品類が、良好な保存状態で出土しています。また、一王寺遺跡からは、縄文時代前期、中期の円筒土器と呼ばれるバケツを縦に長くのばしたような土器が多数出土しており、円筒土器の名前は一王寺遺跡出土の土器をもって名付けられました。そして、堀田遺跡は、昭和11年に雑誌『ミネルヴァ』誌上で、縄文文化の終末年代を巡って大論争が行われた遺跡として知られています。
縄文文化が今なお残る是川石器時代遺跡は、昭和32年に国の史跡に指定され、この遺跡より発掘された出土品の963点が国重要文化財の指定を受けています。
こうした是川石器時代遺跡の出土品は、八戸市埋蔵文化財センター是川縄文館で展示されており、縄文時代の魅力に直接触れることができます。また、是川縄文館では、令和3年7月10日(土)に開館10周年を迎えたことを記念して、特別展『是川遺跡』を開催しています。
是川縄文館開館10周年記念特別展『是川遺跡』
是川縄文館では、開館以来、大学等研究機関との共同研究や各種展覧会を通して、是川遺跡の調査研究を進めてきました。特別展では、過去10年間の調査成果から是川縄文人の暮らしやものづくりの技術を紹介するとともに、是川遺跡を同時代の世界と比較しながら、是川の縄文文化の特徴を探ります。
〇特別展ギャラリートーク
学芸員による展示の解説を行います。
特別展をご観覧の方が参加でき、申し込みは不要となります。
日時:会期中毎週土曜日 午後2時~(8月28日は午前10時~)
会場:是川縄文館2階 企画展示室
〇小中学生向け特別展ギャラリートーク
学芸員による展示の解説を行います。
特別展をご観覧の方が参加でき、申し込みは不要となります。
日時:8月8日(日) 午前10時~
会場:是川縄文館2階 企画展示室
〇特別展考古学講座
申し込みが必要で、定員に達し次第受付を終了します。(定員:50名)
演題:『東アジアのなかの是川石器時代遺跡、そして世界文化遺産へ』
講師:水ノ江 和同 氏(同志社大学文学部教授)
日時:8月28日(土)午後2時~午後4時
会場:是川縄文館1階 体験交流室
是川縄文館 施設概要
常設展示室、企画展示室で構成されています。常設展示室は是川遺跡・風張1遺跡の国重要文化財となっている出土品を中心に発掘成果を展示し、企画展示室は、是川遺跡や縄文に関わる多様なテーマ、埋蔵文化財に関わるテーマの特別展や企画展を実施します。
是川縄文館では、是川遺跡や風張1遺跡などを通して東北地方の優れた縄文文化を発信し、市民や来館者が八戸の魅力を再発見し、誇りや愛着が感じられるように努め、埋蔵文化の重要性を伝えています。
開館時間:9:00~17:00(最終入館は16:30)
休館日:月曜日(祝日・振替休日を除く)、祝日・振替休日の翌日(土・日曜日、祝日を除く)、年末年始(12月27日~1月4日)、その他臨時休館日
利用料金:個人・一般250円、高校・大学生150円、小・中学生50円、団体・一般130円 高校・大学生80円、小・中学生30円
※特別展期間中は特別展料金となります。
※20人以上の場合、団体料金となります。
※分館(縄文学習館)は整備に伴う工事のため休館しています。
※市内の小・中学生は無料となります。
※8月22日は観覧無料です。
【ガイド】
ボランティアによる展示解説(日本語・英語)を無料で行っています。
1週間前までの事前予約が必要となります。
【アクセス】
青森県八戸市大字是川字横山1
車の場合 :八戸自動車道八戸I.Cより約10分
バスの場合:JR八戸駅より南部バス「是川縄文館」下車、中心街バスターミナルより「是川縄文館」下車
八戸市埋蔵文化財センター是川縄文館:HP: https://www.korekawa-jomon.jp/