終盤を迎え、一瞬たりとも見逃せない怒涛の勢いで驀進中の『麒麟がくる』。第40回では、ついに安土城が登場する。大河史上最大規模という安土城セットに込められた思いとは?
今週は、脚本、演出、演者とともに〈大河の四輪〉を担う美術チームに話を聞いた。
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ライターI(以下I): 1月10日放送の第40回では、ついに安土城が登場します。
編集者A(以下A): すごいセットが造られているという噂だったので、年甲斐もなくわくわくが止まりませんでした。わくわくし過ぎて、ついに「大河ドラマを大河たらしめている」美術チームを統括している犬飼伸治さんとチーフデザイナーの山内浩幹さんに話を聞きにきてしまいました。
I:『麒麟がくる』でいえば、前半によく登場した稲葉山城の野外セットなどが目を見張りましたし、京都の作庭家の北山安夫さん監修で造られた光秀宅の庭や一乗谷朝倉義景宅の庭園など、ものすごいセットを短期間で造ってしまうプロフェッショナル集団なんですよね。
A:それではさっそくお話を聞きたいと思います。『麒麟がくる』では、まず光秀の居城坂本城が登場しました。
山内:では、資料を見ながらお話をしましょう。
A:(坂本城遠望の天主の画像を見ながら)これがすごかったですよね。
山内:今回は建築考証の三浦正幸先生(広島大学名誉教授)が図面を起こしてくれて、それもツイッターで紹介したところ反響が大きかったようです。
I:こんなに緻密な図面を作成しているのですか(驚)。
山内:天主の形や、縄張り図、石垣の形など、こうであったろうという三浦先生の想定です。本編でも実際に、光秀がこの図面を見ながら添削するシーンがありましたが、こういう絵図は全部三浦先生が描かれたんです。ちゃんとこういう形になるように、こちらも完成図を仕上げたので、お城好きの方々は、図面にも反応して、盛り上がってくださったようです。
I:どんな天主なんでしょうか。
山内:この城は、大天主と小天主という天主がふたつあるのが特徴で、図面にもきちんと描かれています。上が華頭窓になっているとか、細かいところも図面と同じようにさせて頂いています。
A:坂本城の後に光秀が造った福知山城も参考にされたのでしょうか。
山内:そうですね。この坂本城の天主を作るのに、福知山城のこうした部分(側面を指さしながら)も参考にして作りました。
A:なんだか三浦先生、ものすごく力が入っていますね。
山内:坂本城は主人公が初めて持ったお城ということ、光秀は築城の名手でもあったという説もあるということ、ドラマの中では図面を添削するシーンもあるということで、小道具の図面も本格的に作ることになりました。場面としてはほんの一瞬しか映らないんですが、考証の先生に描いて頂いて、それをもとに作って、お芝居してもらいました。本編では本当にほんの一瞬しか映らなかったので、もったいないのでツイッター上でじっくり見られるようにアップして頂きました。
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