文・写真/宮本薫(海外書き人クラブ/ドイツ・ベルリン在住ライター)
北海道は北緯43度。ベルリンの緯度は、北海道よりもはるかに北の52度。
ということで、ベルリンの夏は25度程度の気候で日が長く過ごしやすいはずなのだが、ここ数年は30度を超える夏日も珍しくない。
ベルリンにはエアコンが普及していない。一般家庭はもちろん、カフェやレストラン、バスや電車もエアコンなしがほとんど。
30度台後半の日のガラス張りのカフェやレストランは、温室を通り越してサウナ。そんな日、地元のベルリンっ子たちは、ランチボックスを持って湖に出かける。
自然に親しむことを目的にベルリンに来る人は少ないと思うが、実はベルリンは緑と水に囲まれた街だ。
内外には多くの湖が点在している。海のような大きな湖から、上から見ると森の木々が丸く切り取られたように見えるこじんまりした湖まで。遊泳可能なところも多数ある。
カフェやビアガーデン、デッキチェアなどの設備がある有料の湖畔もあるが、ベルリンでは小さめの隠れ家っぽい湖で、ほぼ自然そのままの雰囲気を楽しむのが贅沢だ。
クルンメ・ランケ湖
私のオススメは、西ベルリンの中心から地下鉄U3線で20分、森の中をさらに20分ほど歩いたところにあるクルンメ・ランケ湖。首都の中にあるとは思えない素晴らしい自然を味わうことができる。
木々のささやきや小鳥のさえずりを聴きながら、森の中の平坦な小道を20分。
ちょっとしたハイキング気分を味わえる。歩きやすい道なので、ビルケンシュトックなどのサンダルで大丈夫。
ひたすらまっすぐ進むと、湖畔が見えて来る。
遠浅なので小さい子供連れの家族が多い。大人も本格的に泳ぐというよりは、水辺でのピクニックがメイン。
森の中なので木陰がたくさんあるので、気に入ったところに大判のバスタオルを広げて寝転がるだけ。お店やカフェなどはないので、食べ物・飲み物持参で行こう。さわさわさわという木々の音と日差しが気持ちよく、うっかり眠ってしまうかも…。真夏日の日差しは強いので日焼けにご注意を。
シャワーなどはないので、日向で甲羅干しをして、水着が乾いたら、上から服を着て帰る。
帰り道の森の中、昔の人々は、馬に乗り森を旅し、湖で休憩したのだろうなあ…、などと想像しながら歩いていたら、本当に乗馬クラブがあった。
馬に乗れる人は、こんな森の中を歩いてみると気持ち良いかもしれない。
ちなみにこの湖にはヌーディストのためのビーチもある。
水着で泳ぎたい場合は、湖の北側のビーチで泳ごう。
濃い青のUという文字が地下鉄駅。最寄りの” Bhf Onkel Toms Hütte”駅(地図右端)を降りたら、オンケル・トム通りを北上。緑の点線の道を西に進み、湖の北にある“Badestelle Krumme Lanke”を目指す。緑色の点線は、森の中の未舗装道。
【湖に持っていくもの】
水着(更衣スペースはないので下に着ていく)
日焼け止め
大判のタオル
食べ物&飲み物
必要な場合は浮き輪など
本
【湖で泳ぐ際の注意】
・淡水なので浮かばない! 淡水での立ち泳ぎは海水よりも難しいので足がつかないところに行く場合は気をつけて。
・水草・藻が茂っているところには近づかない。足を取られて溺れる可能性がある。
・地元の人の行動をよく観察して、人がいないところには行かないようにする。
・Badestelleと書かれているところが遊泳ポイント。それ以外の場所では泳がない。
・デジタルデトックスを楽しんでいる人も多いので、スマートフォンなどの音に注意。
・森林火災防止のため、森の中、周辺での喫煙、バーベキュー、キャンプファイヤーは禁止。
日本のように細かい注意書きなどはない。自己責任でよく気をつけて。
ドイツ内外の湖情報サイト。
https://www.seen.de/
ベルリン当局による入浴可能な湖一覧と、水質検査結果
https://www.berlin.de/lageso/gesundheit/gesundheitsschutz/badegewaesser/karte/
文・写真/宮本 薫(海外書き人クラブ/ベルリン在住ライター)
2001年から2016年までモロッコ、マラケシュ在住、2016年からドイツ・ベルリン在住。著書:「モロッコのバラ色の街 マラケシュへ」「彩りの街をめぐる旅 モロッコへ」共にイカロス出版。海外書き人クラブ(http://www.kaigaikakibito.com/)所属。