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前列中央から時計回りに、ご飯、野蕗のきゃらぶき、煎り豆腐(人参)、鶏そぼろ、漬物(胡瓜と人参の糠漬け・壬生菜・刻み沢庵)、焼き海苔、ごんげん蒸し、大根おろし(葱・鰹節・胡麻)、納豆(葱)、絹さやの浸し(鰹節)、味噌汁(豆腐・若布・葱)、中央右は焼き鮭、左は蒲鉾と山葵漬け。今朝は小鉢に盛っているが、常備菜のきゃらぶきや煎り豆腐、鶏そぼろ、加えてごんげん蒸しなどは大皿で登場し、取り分けていただくことが多い。絹さやは昨夜の残りを浸しに。蒲鉾は、山葵漬け(静岡『野桜本店』の激辛口)をつけて食す。焼き海苔は東京・品川の『みの屋海苔店』のものを愛食。焼き海苔とごんげん蒸しの器の模様は、定紋である揚羽蝶。

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旅行

「世界一の朝食」実は〇〇の残りものだった?|ペルーで愛される「チチャロン」

文・写真/原田慶子(海外書き人クラブ/ペルー在住ライター)

ペルーのチチャロン

2010年にスペインの有力紙が行った投票で、「世界一の朝食」に選ばれた「ペルーのチチャロン」。ラテンアメリカでは肉や魚の揚げ物を総じてチチャロンと呼ぶが、この場合は“豚肉”のみを指す。豚肉から染み出た脂を使ってじっくり揚げたいわゆる素揚げのことで、首都リマではこのチチャロンをスライスしてパンに挟み、「チチャロン・サンド」として食べるのが一般的だ。

たっぷりの油で豚肉を揚げる。「油をもって脂を制す」だ。

たっぷりの油で豚肉を揚げる。「油をもって脂を制す」だ。

リマでは“家族がそろう週末にみんなで楽しむ、ちょっと贅沢な朝食”といった位置づけのチチャロン・サンド。もちろん24時間いつ食べてもいいのだが、朝食の代名詞であることには変わりない。スペインの「ホットチョコレート&チュロス」や、フランスの「コーヒー&クロワッサン」を押しのけての1位とあって、当時は国を挙げてのお祭り騒ぎとなった。今でもその人気は不動、週末のチチャロン屋は家族連れで大いににぎわう。

どんなグルメイベントでも人気のチチャロン・サンド

どんなグルメイベントでも人気のチチャロン・サンド。

塩味、甘味、酸味のバランスが完璧!

チチャロン・サンドの魅力は、チチャロンとそのわき役たちが奏でる絶妙なハーモニーにある。じっくりと揚げることで余分な脂が抜けた豚バラ肉は、見た目よりさっぱりした仕上がりで、ジューシーな味わいは残っているのにしつこさはまったくない。塩味が効いたこの主役を脇から支えるのは、ほんのり甘いカモーテ(ペルー産サツマイモ)と、酸味とシャキシャキ感が自慢のサルサ・クリオージャ(紫タマネギのレモン和え)だ。

チチャロン・サンドに使われるのは、パン・フランセスと呼ばれる丸いパン。外はパリッと、中味はふんわりとしたこのパンだからこそ、個性的な3つの食材を上手にまとめることができる。これだけでも完璧なのだが、さらなる刺激が欲しい人はペルー産のトウガラシソースをひと垂らし……。丸ごと豪快にかぶりつけば、もう言葉など不要だ。

チチャロン・サンド全体の味をぴりっと引き締める、オレンジ色のトウガラシソースを添えて

チチャロン・サンド全体の味をぴりっと引き締める、オレンジ色のトウガラシソースを添えて。

スペインが持ち込んだ豚、その意外な目的とは?

チチャロンの材料となる豚を新大陸に持ち込んだのは、ほかならぬスペイン人たちだ。インカ征服の主役フランシスコ・ピサロが、貧しい生活の中で豚の世話を生業にしていたのはよく知られた話である。

ピサロがリマ遷都を行ったのは1535年。その翌年の1536年に「リマで初めて秤量されたのは豚肉だった」という記録があるほど、スペイン人たちにとって豚は大切な食料だったらしい。煮たり焼いたりするだけでなく、今でもハモンセラーノのようなスペイン名物に豚肉は欠かせない。なんでも食べる豚は牛や羊より成長が早く、国づくりを始めたばかりのスペイン人には貴重なエネルギー源であったに違いない。

ピサロたちが伝えた豚はクリオージョ(新大陸生まれのスペイン人)に受け継がれ、ハモンセラーノやハモンデルパイスなど本国に劣らぬ上等なハムが作られている。

ピサロたちが伝えた豚はクリオージョ(新大陸生まれのスペイン人)に受け継がれ、ハモンセラーノやハモンデルパイスなど本国に劣らぬ上等なハムが作られている。

だが、豚肉が欠かせない理由はそれだけではなかった。彼らが欲したのは、当時最も魅力的な調味料のひとつとされていた白いバター、「ラード」だったのである。ラードを少し加えるだけで、どんな料理にもコクが生まれる。チョリソなどスペイン由来の腸詰め料理にも欠かせないラード、これで揚げたジャガイモなどは主役級の美味しさになる。

そのラードを得るために、小さく刻んだ豚のバラ肉や脂身がグツグツと茹でられた。何度も火を加えると、鍋の中には脂が抜けきった小さな肉片が残る。すっかり硬くなっているものの肉は肉、どうしてこれを捨てられようか。少しでも美味しく食べられるよう、塩を振ったり付け合わせを工夫したり、色々と考えた。これがチチャロンの始まりなのだ。

元祖チチャロンはこんな感じだった?

ペルーの地方部を訪れると、「もしかしてこれがチチャロンの元祖では?」と想像させられるものに出会うことがある。レストランや一般の商店に卸されるような部位ではなく、安価な端肉を使った庶民の食べ物、屋台のチチャロンがそれだ。

焦げる寸前までひたすら揚げ続けたこの小さな肉片は、炒りトウモロコシや豚皮の素揚げと一緒に食べる。塩味の効いた庶民のチチャロンはジャーキーのように硬く、まさに“残り物”の名がふさわしい見た目だが、これはこれで悪くない。食事というよりはスナック風の位置付けらしく、歩きながら口に放り込む地元の人々をよく見かける。

庶民のチチャロンは脂も水分も落ち腐敗しにくく、露店販売に適している。

庶民のチチャロンは脂も水分も落ち腐敗しにくく、露店販売に適している。

観光客にも人気!クスコのチチャロン・ストリート

世界遺産の街として知られるアンデスのクスコ。世界中から観光客が集まるこの石造りの街に、パンパ・デ・カスティージョという名の通りがある。200mにも満たないこの小道には10件あまりのチチャロン店が軒を連ねており、別名「チチャロン・ストリート」とも呼ばれている。

クスコ市内、「太陽の神殿」のすぐそばにあるチチャロン・ストリート。

クスコ市内、「太陽の神殿」のすぐそばにあるチチャロン・ストリート。

アンデスのチチャロンは、ジャガイモや茹でトウモロコシ「モテ」と一緒に食べるのが一般的。ミント入りのサルサ・クリオージャを口に含むと、爽やかな香りが鼻腔に抜ける。バラ肉より赤身肉が多いところを見ると、肉そのものをしっかり噛みしめて味わいながら食べるのがアンデス風なのだろう。見た目以上にボリュームがあり、また腹持ちもいい。朝からこの一皿を平らげれば、一日中元気でいられそうだ。

見た目以上にボリュームのあるアンデススタイルのチチャロン。

見た目以上にボリュームのあるアンデススタイルのチチャロン。

リマとアンデスではそのスタイルに大きな違いがある「世界一の朝食/ペルーのチチャロン」。素材も調理法も同じなのに、その場所の食べ方で全く異なる味わいが楽しめるのもこの料理の魅力といえよう。かのピサロは、揚げた豚肉にジャガイモとモテを添えて食べるのがお気に入りだったという。さて、あなたはどのスタイルがお好みだろうか?

【リマで人気のチチャロン・サンドの店】
El Chinito / elchinito.com.pe
Chicharrones del Inca / chicharronesdelinca.com
Palermo / palermo.pe

【クスコのパンパ・デ・カスティージョ】

文・写真/原田慶子(ペルー在住ライター)
2006年よりペルー・リマ在住。『地球の歩き方』(ダイヤモンドビッグ社)や『トリコガイド』(エイ出版社)のペルー取材・撮影を始め、ラジオ番組やウェブマガジンなど多くの媒体でペルーの魅力を紹介。海外書き人クラブ(http://www.kaigaikakibito.com/)会員。

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