宮崎市と鹿児島市のちょうど中間に位置する宮崎県都城市は、「肉と焼酎のふるさと」です。日本一の売り上げを誇る焼酎メーカー・霧島酒造の本拠地であり、日本一の産出額を持つ食用の牛、豚、鶏の産地でもあります。そして、この焼酎と肉をアピールした「ふるさと納税」が注目を集め、2015年度上半期には、ふるさと納税による寄付額が全国最多を達成しました。そんな「焼酎と肉のふるさと」都城市を訪ね、うまい芋焼酎と都城ならではの美味を紹介します。
前回は都城で極上の芋焼酎『黒霧島』を生産する霧島酒造を訪ね、その美味しさの秘訣を紹介しました(詳しくは前編をご覧ください )。
後編となる今回は、都城ならではの美味を案内します。
南九州では、晩酌のことを「だれやめ」というそうです。もちろんお酒は焼酎です。ちなみに、だれやめの語源は、「ダレ=疲れ」を「ヤメ=取る」ということからきているそうです。
都城市で昭和29年創業の『雨風』(あめかぜ)は、旨いおでんと都城の郷土料理を味わえる名店です。都城市にはおでん屋さんが多く、おでんは隠れ名物として知られ、季節を問わず一年中食べられています。『雨風』では、代々継ぎ足してきたおでんのつゆを使った老舗ならではの味が楽しめます。
おでんといっても練り物は少なく、サトイモやほうれん草といった野菜類が豊富で上品な出汁で煮た、あっさりした味わいです。おでんのほかにも、豚のなんこつの味噌煮など、同店自慢の献立がたくさんあります。
料理とともに楽しむのは、やはり焼酎がいいでしょう。お湯割りやロックで飲むばかりではなく、焼酎にはいろいろな飲み方があることにも驚かされました。お店のメニューには載っていないのですが、2種類の焼酎を合わせた「楊貴妃」という霧島酒造オリジナルの飲み方を教えてもらいました。
これは、冬虫夏草を加えた焼酎『金霧島』に甘酸っぱい風味の『Ax霧島』を上から注いだ、いわば焼酎のカクテルのようなドリンク。風味の異なる焼酎の出会いを楽しめます。
宮崎のおいしい肉を話題のレストランで味わう
旅の楽しみのひとつは食べることにあります。続いては、都城と地元宮崎で話題の料理店を紹介します。まずは、都城市の郊外にある一軒屋レストラン『心で描くイタリア料理 リストランテ 星の空』です。
自然光が降り注ぐ林の中に立つこのレストランは完全予約制。新鮮な地元の食材を使い、その日の仕入れによって料理の内容を決めています。店内にはグランドピアノがあり、クラシックやジャズの生演奏が行なわれることもあるそうです。
おいしいワインと料理長のアイデアが随所に満ちた優しいイタリア料理がゆっくりと味わえる同店では、自然に囲まれた開放的な雰囲気の中で大地の恵みをいただく至福の時間を過ごせます。
また、この日は特別に宮崎市にある『ビーフアトリエ うしのみや』の料理長も合流して、気持ちのいいテラスで、宮崎牛のステーキを焼くデモンストレーションが行なわれました。
都城市がある宮崎県は、黒毛和牛の生産県としては全国第2位。宮崎牛を名乗れるのは宮崎県生まれ、県内で肥育された牛の中でも肉質等級の高い牛のみとあって、その品質が高いことでも知られています。
『うしのみや』は宮崎牛を様々なスタイルで調理する、わずか6席の小体な牛肉割烹店です。鉄板で焼くステーキだけにとどまらず、炭火焼、湯引き、煮込み、揚げ物など、部位ごとに旨みを引き出した調理法で、ひとつのコースを割烹料理のように小さなポーションで味わえます。
郷土料理からイタリアン、新進気鋭の牛肉割烹まで、南九州の食材を堪能できるスポットで旅の醍醐味を味わってみてはいかがでしょうか。
■雨風
TEL/0986-22-2398
住所/宮崎県都城市上町5-14
■リストランテ 星の空
http://www.btvm.ne.jp/~hoshinosora/
■うしのみや
http://www.seagaia.co.jp/japanese/rbs/sgor/ushinomiya.html
文/岡本ジュン