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  1. オリックス・リビング社長、森川悦明氏。「グッドタイム リビング センター南」にて撮影。

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【京都 美の鑑賞歩き】 第7回~信行寺本堂の天井に描かれた伊藤若冲の傑作が初公開!

(信行寺)本堂 天井画
信行寺本堂外陣の天井画(写真提供/京都古文化保存協会)。


京都では毎年春と秋に、通常は非公開の国宝や重要文化財を含む仏像や建築、絵画、庭園などが「特別公開」される。この催しは、「京都非公開文化財特別公開」と呼ばれ、この秋で通算68回を数える。今回は市内の20社寺などで開催されているので、京都を訪れた際はぜひ、普段見ることのできない「伝統の美」の数々にふれてみたい。

どんな天才的画家であっても、歴史の舞台から姿を消すことがある。そのひとりが伊藤若冲(いとう・じゃくちゅう 1716?~1800)である。若冲は京都の青物問屋に生まれ、23歳で家督を継ぐ。商売よりも絵描きに熱中し、40歳で隠居。翌年、早くも今の金閣寺大書院の障壁画を制作している。すでに彼の名は京都中に鳴り響いていた。

彼が活躍したのは江戸時代の中ごろ。当時、京都市中の四条烏丸(しじょうからすま)周辺には、若冲を含め4人の著名な画家が住んでいた。他の3人は、与謝蕪村(よさ・ぶそん 1716~83)、円山応挙(まるやま・おうきょ 1733~95)、池大雅(いけの・たいが 1723~76)である。彼らは歩いて10分ほどの距離に住み、互いに顔見知りであった。どのような交遊があったのか興味がつきない。

ところが若冲の存在は、明治になるとなぜか忘れさられてしまった。昭和の初め、やっと若冲研究の動きが生まれるが、長くは続かない。

1953年、ひとりのアメリカ人実業家がニューヨークの東洋古美術店で若冲の掛軸『葡萄図』(ぶどうず)に出会った。彼の名はジョー・プライスという。彼はそのとき日本語はおろか、その絵が若冲の作品であることも知らなかった。しかし、それが契機となり、彼は若冲のコレクターとなっていく。

それから約半世紀後、京都国立博物館でプライス・コレクションの企画展「若冲、こんな絵かきが日本にいた」が開かれ、若冲の名が一気に知れわたることになる。まさに劇的な里帰りである。

その後も若冲の作品は京都を中心に再発見されている。今回特別公開される信行寺(しんぎょうじ)本堂外陣(げじん)の天井画もそのひとつである。

(信行寺)伊藤若冲筆「花弁図」
伊藤若冲が描いた本堂外陣の天井画。格子のひとつの大きさは縦横約38㎝(写真提供/京都古文化保存協会)。

(信行寺)伊藤若冲筆「花弁図」部分
天井画「花弁図」のひとつ「菊」(写真提供/京都古文化保存協会)。

 天井は南北約4.8m、東西約11.5m。168の格子に分割された格天井(ごうてんじょう)である。そして各格子の円の中に様々な花が描かれており、牡丹、菊、梅、朝顔、蓮、桃など多種類に及ぶ。興味深いのは、当時、日本に伝わったというサボテンやヒマワリも取り上げられていることだ。北東隅には若冲の号である「米斗翁(べいとおう)八十八歳」の落款(らっかん)があり、若冲晩年の傑作であることがわかる。

若冲はデッサンに秀でていた。自宅に鶏を何羽も飼い、体型や動きを観察している。もちろん植物画も得意としていた。
ちなみに若冲の天井画は、この信行寺と滋賀県大津市の義仲寺(ぎちゅうじ)にしか確認されていない。信行寺の特別公開は今回だけという。若冲ファンならずともぜひ足を運びたい。

若冲は晩年を伏見区深草の石峰寺(せきほうじ)門前で過ごした。石峰寺には彼が造った五百羅漢像の石仏が立ち並ぶ。近年、若冲作と確認された貴重な石仏なので、こちらにも足を延ばしておきたい。

本堂の観音菩薩立像も特別公開

(信行寺)観音菩薩像
本堂に安置されている木造観音菩薩立像(写真提供/京都古文化保存協会)。

今回は、信行寺本堂内陣の木造観音菩薩立像も同時公開される。比叡山天台宗第3代座主(ざす)慈覚大師円仁(じかくだいしえんにん794~864)の作とされる貴重な木造仏だ。
この観音像に関する由来は『信行寺大悲尊像縁起絵巻』(同志社大学学術情報センター所蔵)に詳しく記されており、この絵巻も展示される。

 

信行寺
住所/京都市左京区北門前町472
公開期間/10月30日(金)~11月8日(日)
公開時間/9:00~16:00(受付終了)
拝観料/800円
問い合わせ先/075-754-0120(京都古文化保存協会)

 

文/田中昭三
京都大学文学部卒。編集者を経てフリーに。日本の伝統文化の取材・執筆にあたる。『サライの「日本庭園」完全ガイド』(小学館)、『入江泰吉と歩く大和路仏像巡礼』(ウエッジ)、『江戸東京の庭園散歩』(JTBパブリッシング)ほか。

 

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